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いざ宝塚記念!ヒットザターゲットはGIIレベルの馬ではない

  • 2016年06月21日(火) 18時01分
小牧太

今回は、安田記念と目黒記念を振り返りつつ、宝塚記念の意気込みに迫ります!


今週は、いよいよ春競馬の総決算、宝塚記念です。小牧騎手のパートナーは、ご存知の通りヒットザターゲット。前走の目黒記念でも、トップハンデを背負いながら3着と健闘し、古豪健在をアピールしてくれました。今回は、安田記念と目黒記念を振り返りつつ、宝塚記念の意気込みに迫ります!
(取材・文/不破由妃子)


珍しく鳴いていたし、ゲート裏で馬っ気を出してたわ(笑)



──今回はレース回顧のリクエストがたくさんきています。まずは安田記念から。

小牧 安田記念ねぇ…。ハナに行くつもりやったんやけど、なんかもうひとつ二の脚が付かなくて。スタートで出遅れたわけじゃないんやけど、スーッとスピードに乗っていけなかった。あとから思えば、あの日はやけに落ち着いていたから、そのぶんかなと思ったり。とにかくあの日はものすごく馬がおとなしかった。

──スタートから出して出してポジションを取りにいきましたものね。でも、外からきたディサイファのほうが速くて。

小牧 そうそう、僕なりに押して押してポジションを取りに行ったんやけど、ユタカくんにスッと入られてしまった。あれ以上、強引に行くわけにもいかんしね。結果的に、かなりスローペースになったんでね。逃げていたらひょっとして…という思いはあるけど、まぁそれも含めて結果なんでね。残念やけど仕方がないです。

──逃げたロゴタイプが勝ったわけですから、余計に思いが残りますよね。

小牧 うん。オーナーにも「なんで行かんねん」って言われてしまったわ。逃げた馬が勝ったわけやから、そりゃあそう思われても仕方がない。僕も本当に悔しいです。

──続いては目黒記念。8番人気の低評価を覆しての好走でした。

小牧 目黒記念は完璧に乗ったつもりやし、勝った去年と同じようなレースになったね。5枠やったけど、道中でうまいこと内に入れたのが大きかったんじゃないかな。ただ、休み明けのぶん、いつもよりキレがなかったね。一度使っていたら、もっと際どかったと思うわ。

──やはり久々の影響があったんですね。抜け出してくるときの脚は、一瞬“おっ!”と思わせるものがありましたが。

小牧 そうやね。一瞬いい脚を使ったけど、最後は止まってしまったからね。あとはいつもより力んでいて、ちょっと掛かるところもあった。実際、返し馬からいつもよりテンションが高くて、珍しく鳴いていたし、ゲート裏で馬っ気を出してたわ(笑)。聞いたら、休み明けのときはいつもなんやて。

──8歳という年齢ももちろんですが、休み明けでトップハンデを背負いながらの3着。大した馬ですよね。ユーザーから「GIIレベルだから好走したのでしょうか? また、8歳ですが、まだまだ走れそうな感触でしょうか?」という質問もきていますが、そのあたり、小牧さんの感触はいかがですか?

小牧 内に入れることができたから、あそこまできたんやろうけど、まだまだ衰えがないことを確認できた一戦でもあった。結果だけではなく、実際に乗っていても衰えは感じないからね。あの馬には本当に感心するわ。

──いよいよ宝塚記念です。一昨年も12番人気で4着ですからね。衰えがないとなれば、どうしても善戦以上を期待してしまいます。

小牧 相手は強くなるけど、ハマればGIでもやれる馬だと思うよ。決してGIIレベルの馬だとは思わない。内枠を引くのがベストだけど、たとえ内枠じゃなかったとしても、ラチ沿いで脚をタメられれば面白いと思う。

──なにしろ、小牧さんが騎乗されてからの5戦は、負けてもコンマ7秒まで。展開次第の面はありますが、十分夢を見ていい位置にいると思います。

小牧 そうやね。ここはひとつ、馬にも頑張ってもらって、“高齢”の底力を見せてやりますか(笑)。

──ぜひ! そういえば、こんな質問もきています。「ヒットザターゲットを筆頭に、今年は重賞戦線で高齢馬の活躍が目立ちます。この要因について、小牧騎手はどのようにお考えでしょうか?」。確かに天皇賞(春)2着のカレンミロティックが8歳、ヴィクトリアマイルを勝ったストレイトガールも7歳で、GII、GIIIでも7歳以上の馬の好走が目立ちますね。

小牧 ああ、ダコールも僕だね(笑)。調教施設だったり飼い葉だったり医療だったりの質の向上も大きいと思うけど、ジョッキーとして思うのは、やっぱりひと癖ある馬は息が長い気がする。

──ずる賢かったり?

小牧 そうそう。真剣に走るときと走らないときがあったり、レース中もうまいこと抜いているというかね。そういう馬を丁寧にケアすれば、息の長い活躍が見込めるんじゃないかな。常に全力で走るような馬は、7歳、8歳になる前に燃え尽きてしまうよ。

──ヒットザターゲットも、ラチ沿いを走れないと力を出せなかったり、返し馬ではボーっとしていたり(笑)、ひと癖、ふた癖ありますものね。

小牧 そうそう。だからこそ、ハマるかハマらないか。ハマればすごい脚を使えるのはわかっているからね。僕も腹をくくって乗りますわ。
小牧太

僕も腹をくくって乗りますわ

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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。2024年には再度園田競馬へ復帰し、活躍中。史上初の挑戦を続ける。

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