▲稲葉訓也カメラマン(右)、筆者・大恵陽子(左)
仕事帰りに気軽に立ち寄れるナイター競馬。今月から園田競馬場では2016年の「その金ナイター」がスタートし、大井競馬場では月末に帝王賞(JpnI)がナイターで行われます。普段と違う雰囲気のナイター競馬は開放感と高揚感がありますが、一方で写真を撮るのには少し苦労します。
そこで今回は、園田競馬場でナイターも含め毎週撮影をしているプロカメラマンの稲葉訓也さん(フォト・チェスナット)にナイター撮影のコツを教えていただきました。
「一眼レフは持っているけど、あまり使いこなせていない」「ミラーレス一眼やデジカメで気軽に撮影を楽しみたい」「スマホをもっと活用できない?」
そんなお悩みを解決すべく、筆者がセールで3万円だった初心者モデルのミラーレス一眼レフ片手に聞いてきました。細かい設定の解説を含む【レース写真の基本をマスター編】と、イメージ写真やスマホでもトライできる【気軽にステップアップ編】に分けてご紹介します。(解説:稲葉訓也 フォト・チェスナット、取材・文:大恵陽子)
※ISO=感度、シャッタースピード=シャッターが開いている時間、F値=絞り値、ピントの合う範囲
【レース写真の基本をマスター編】
●暗い!ノイズが入る!馬体がブレる!を一発解決● ナイターのレースを撮影するときに一番困るのが明るさ。暗くなりすぎたり、感度を上げすぎて粗い写真になったり、馬体がボケた写真になってしまったり。昼間の撮影では感じないようなポイントに悩まされることが多々ありますよね。
一眼レフやミラーレス一眼、さらに最近は多くのデジカメでもISO、シャッタースピード、F値をマニュアルで設定できます。
いきなり“答え”にたどり着いてしまうのですが、まずは小難しい解説は抜きにして、稲葉カメラマンお薦めの「シャッタースピード:1/1000、F=4.0、ISO-1600」(園田競馬場ゴール前の場合)に設定してみてください。
▲1/1000、F=4.0、ISO-1600 撮影:稲葉訓也
初心者の私も同じ設定で撮影してみました。
▲1/1000、F=4.0、ISO-1600 撮影:大恵陽子
カメラの望遠があまり利かないのでやや引きの写真ですが、馬の脚元まできっちり写っています! ピントを馬ではなくゴール板に合わせてしまったので拡大するとピントの甘さがやや露呈してしまいますが、カメラのオートモードを使用している時より格段に明るくて鮮明な写真が撮れました。
●競馬場ごとに異なる照明● ただし、上記の値は「園田競馬場のゴール前」の設定値。稲葉カメラマンによると「ゴール前と直線半ばでも明るさが違いますし、場所によっては照明の色まで違います。場所毎の設定が必要ですが、慣れるまでは撮る場所を固定する方がいいでしょう」
同じ競馬場の中でも違いがあるということは、競馬場が変わればもっと大きく変化します。
「特に大井競馬場は馬場幅が広いので、撮影する場所から馬までの距離が遠くなります。また、ライトが取り付けられている位置が高いため、園田に比べるととても暗く写ります」(稲葉カメラマン)
実際に写真を比べてみると、園田競馬場とシャッタースピードは同じもののISOは高い=明るく撮影できる設定になっているにも関わらず、暗く写っています。
▲1/1000、F=4.0、ISO-2500 撮影:稲葉訓也
「各競馬場や撮影ポイントに合わせて値を変更する場合は、表を参考(後述)に変更していくと、比較的うまく撮れると思います」(稲葉カメラマン)
●プロに訊いたQ&A●Q.暗い写真になってしまう
A.ISOを上げるか、シャッタースピードを遅くすることで解決します。ただ、明るすぎる写真よりはやや暗めの写真の方がいいです。