スーパージョッキーズトライアル(SJT)で優勝した永森大智騎手(中央)
地方の代表、高知の代表として積極的なレースを
赤見:まずはワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)出場、おめでとうございます!地方代表枠は1人しかない上に、全国のリーディングジョッキーが4レース戦ってポイントで優勝を決めるという険しい道のりでしたが、見事優勝を果たしたお気持ちは?
永森:ありがとうございます。いや〜まぐれですよね。ものすごく嬉しい反面、「え?僕でいいの?」という気持ちでした。優勝した直後は全然実感が湧かなかったんですけど、時間が経つにつれて緊張してきました(笑)。JRAに初めて遠征する上に、世界のトップジョッキーと一緒に戦えるわけですから。ずっと出たいと思っていた夢の舞台に立てると思うと、もう今から緊張です。
赤見:見事優勝を勝ち取ったスーパージョッキーズトライアル(SJT)のレースを振り返っていただけますか?
スーパージョッキーズトライアル(SJT)の出場騎手
永森:第1ステージの盛岡では気負いすぎてしまって、初戦で出遅れて14着だったんです。その時は、「うわ〜またこの流れか…」って思ってました。SJT本戦出場は2回目だったんですけど、周りは全国のすごい人たちばかりでなかなか自分のレースができなくて。第2戦は芝のレースだったんですけど、直線に入ったところで「勝てるかも?!」というくらいの手応えがあって。結局3着だったんですけど、これで第2ステージに行ける(第1ステージの下位2名は脱落)と思ったら嬉しかったです。
第2ステージの名古屋では、暫定順位も真ん中辺りだったので、優勝したいというよりも、まずはこのメンバーの中で1勝挙げたいというのが目標でした。第3戦はかなり気難しい馬だと聞いていたので、無理に急かしたりはしないで馬なりで進みました。向正面で少し外に出したらグイグイとハミを取ってくれて、そこからは気分よく行くことが出来たんです。最後は詰め寄られてしまって、勝ちたい気持ちが強すぎて人間の追い方がバラバラになってしまいました(苦笑)。それでもクビ差で勝ってくれたので、がんばってくれた馬にも関係者にも感謝です。
赤見:さらに、第4戦も勝利して名古屋ステージ2連勝で優勝を決めたわけですが。
永森:さっきも言ったように、あのメンバーの中で1勝を挙げるということが目標だったので、第4戦の時は気持ちがかなり楽になっていました。いい意味でリラックスできたのが良かったのかなと思います。レースは1900mで、僕が乗せてもらったのは差し馬だったので、折り合いに気を付けてゆったりと進みました。4コーナーでもかなり手応えがあったし、第3戦よりも気持ちの余裕がありました。ただ、自分のポイントを確認していなかったので、まさか優勝しているとは思わなくて。検量に上がって来る時に(山本)聡哉くんが「優勝ですよ」って言ってくれたんですけど、「え? ホントに?!」という感じでした(笑)。
ワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)出場を決めた永森大智騎手
赤見:今回がJRA初参戦ですけれども、どんなイメージを持っていますか?
永森:(赤岡)修次さんが初めてWSJSに出た時(2007年 / 総合3位)、最初は誰も修次さんのことを知らなくて、居場所がなかったって言ってて。緊張でお腹が痛くなって、部屋から出たくなかったけど、成績を挙げたらみんなが認めてくれて、世界が変わったそうなんです。僕も間近でそういう場面を見させてもらっているので、最初は僕のことを知らなくても、レースでアピールして覚えてもらえればなと思っています。
赤見:やはり赤岡騎手は意識する存在ですか?
永森:意識というか、僕はずっと修次さんの背中を追いかけている感じです。まだまだ届かないですけど、何年か前と比べたら少しだけ近づけたかなと。今回SJTで優勝できたこともすごく喜んでくれて、「これからは県外で活躍できるようにならないと」と言われました。
赤見:具体的にはどんなところがまだ届かないと思いますか?
永森:騎乗馬の質だけでみたら、僕の方がいい馬に乗せてもらっているんですよ。うちの厩舎(雑賀正光厩舎)は全国リーディングですから。でも修次さんは、少し能力が足りない馬でも、クセのある馬でも勝負できるんです。自分の方がいい馬に乗っているという自覚があるだけに、本当に悔しいですけど。でも、そんなすごい先輩と一緒に戦えることは、素直に幸せだと思いますね。
赤見:では、今後の目標をお願いします。
永森:所属の雑賀先生にはほとんど褒められたことがないんですけど、今回名古屋で2連勝した時、初めて褒めてもらいました。それがすごく嬉しくて。先生にリーディングジョッキーにしてもらったので、少しでも恩返しできるような騎手になりたいです。27日28日の札幌では、地方の代表、高知の代表として積極的なレースをして来ます!