四位が胸躍らす スワーヴリチャード/吉田竜作マル秘週報
◆1歳の時からハーツ産駒としてはあか抜けていた
温暖化の影響か、年々厳しさを増す夏の暑さ。今夏の小倉は特にすごかった。小倉記念時にアングライフェンで競馬場に滞在した山下助手は「夜になっても涼しくならないし、とにかく蒸し蒸しして…。栗東の方が楽だよ」。記者の実感もまさにこれ。栗東は熱帯夜と定義される25度を超えた日が少なかったのではないか。お盆を過ぎたころに栗東にやってきて、秋開催を目指して調整されてきた2歳馬にとっては願ってもないコンディションだったはずだ。
2〜3歳馬の番組編成と、サラブレッドの生産サイクルの“高速化”によって、以前よりも2歳馬の始動が早くなっているのは、当コラムでも何度か触れている通り。より早くデビューして賞金を稼がないとクラシックへの出走が難しくなる流れは簡単に変わることはないだろう。そのためか今週から始まる4回阪神開催には大物が多数スタンバイしている。
その中でも注目しているのはスワーヴリチャード(牡=父ハーツクライ、母ピラミマ・庄野)。14年のセレクトセール当歳で1億5500万円で落札されたこの馬、オクテに出ることが多いハーツクライ産駒とあって記者はデビューするにしても晩秋あたりとばかり思っていたのだが…。
7月中旬の入キュウから、とにかく順調に調整が進められ、中間のウッド追いでは抜群の動きを連発。2日目(11日)の芝内2000メートル新馬戦で早くもお披露目となりそうなのだ。この意外なほどに早いデビューとなりそうな理由を庄野調教師はこう解説してくれた。
「1歳の時からハーツ産駒としてはあか抜けていた。緩いところがないので、この時期からでも動けるんだろう」
毎週のように好時計が出ることについては「手綱を引っ張りきりでも動いちゃうんだよね」と苦笑いするが、「この時期の暑さがどうかと思っていたけど、馬は元気でへこたれない」と、その活発さに庄野調教師は頼もしさを感じている。
ちなみに鞍上予定の四位も「顔を合わせるたびに“いいらしいじゃん”と言ってくるんだよ」と指揮官。四位もまたクラシック級の大器に胸を高鳴らせているのか。今から週末が待ち遠しい。
待ち遠しいといえば、初日(10日)の芝内1400メートル(牝)予定のデリスモア(父ワークフォース、母アルティマトゥーレ・大久保)も同様。あまりに早い段階から坂路ではじけるような伸びを見せていただけに、キュウ舎スタッフは「何とか今の状態を維持しなくては」と毎週苦労していたのでは。
先週はコンビ予定のミルコ・デムーロを背にウッド追い。「ミルコも“もう仕上がっているから”と無理せず乗ってくれた。カイバを食べてくれて、いい状態。ようやく使えるっていう気持ちですね。スタートがいいし、芝ももちろん大丈夫。かなりの手応えを感じているよ」と高野助手の鼻息も荒い。こちらも来春のクラシックを意識できるような走りを期待したい。