“母の闘志”継承 コロナシオン父キンカメの成長力でたくましくなった!!/吉田竜作マル秘週報
◆春先から徐々にたくましく成長
5月に発売した「ザッツPOG」紙上で、自信を持ってピックアップした10頭。おおむね満足な結果を残してくれているのだが、ちょっと残念なのがアドミラブルとエジステンツァ。前者は「ゲートを出てから隣の馬をかみにいったりしていたし、息遣いも本物ではなかった」(音無調教師)ということで放牧へ。ただ「乗り味がいいし、キャンターもいい。ゆくゆくは走っても」(生野助手)というから、心身の成長を待ちたい。
後者は京都大賞典の追い切りをご覧になった方なら目にしているはず。先週サウンズオブアースのパートナーを務めたのがこのエジステンツァ。今週の京都の未勝利戦で復帰する予定となっている。しかし、相手が格上というだけでなく、体を並べた瞬間に「同じサラブレッドかいな」と嘆かわしくなった。もちろん、もともと攻め馬駆けする上に「頭が非常によくて天才的」(藤岡調教師)というサウンズと2歳未勝利馬を比べるのは失礼といえば失礼。ただ、グッと重心を沈めて豪快にチップを蹴り上げるサウンズに対し、ゴールが近づくにつれて重心が上がっていくエジステンツァ…見ようによっては、ただの「引き立て役」だった。
しかし藤岡調教師はサウンズオブアースがエジステンツァに与える効果に期待して、パートナーに起用している。
「以前は1頭で運動をしているとうるさくて。立ち上がったりいろいろと悪さもしていたんだけど、サウンズが近くにいるとおとなしくなるんだ。馬だってやっぱり相手を見て、取るべき行動を取るんだよ。実際に一緒に運動をするようになってからは悪さもしなくなった」
落ち着くことができて、ようやくこれから本格的に調教を強化できる。見栄えこそ悪かったが、1週前追い切りはその第一歩となるかもしれない。「まだ腰が甘く力をうまく伝えられていない感じ。ただ、いいものはあると思うんです。これから力をつけていってほしい」とは手綱を取っていた仲田助手。08年エリザベス女王杯を制した母に少しでも近づいてほしいものだ。
話は戻って「ザッツPOG」の10頭で真っ先に取り上げたのがブエナビスタの初子コロナシオン(牝=父キングカメハメハ・池添学)。いよいよ今週の京都芝外1800メートルの新馬戦(16日)でデビューを迎える。いまさらで申し訳ないが、今年の4〜5月あたりは「お母さんよりもまだ小柄」と伝え聞いていたので、どちらかといえば心情的な理由で指名したという感じだった。しかし成長力のある父の血がうまくブレンドされたのだろう。そこから徐々にたくましく成長。北海道ではゲート試験を落ちるという憂き目に遭ったが、栗東に戻ってからは順調に調教を積めるようになってきた。
先週はルメールがまたがり、ウッドコースで3頭併せを行ったが、格上の相手に食らいつく動きを披露。根性の塊だった母の闘志もしっかりと受け継いでくれているようだ。「追うごとに良くなってきました。レースまでにはちょうど良くなりそう」と池添学調教師。追い切りを見守った梅内キュウ舎時代からの付き合いの藤原助手も「ルメールも“走るね”と言ってくれた。うちの中でも攻め駆けする相手と併せたからね。数字以上に評価できると思うよ」と絶賛。牝馬戦線にはすでにミスエルテ(父フランケル、母ミスエーニョ・池江)という怪物が鎮座するが、同じ勝負服のこの馬がこれについていけるのか、それとも…。新たな絶景が開けると信じて、16日のゲートインを待ちたい。