母に似てきたメイショウテンシャ/吉田竜作マル秘週報
◆中身もベルーガに近づいていければ
知り合いの子供を見て「あっという間に大きくなったなあ〜」と感じる今日このごろ。まあ、たまにしか顔を合わせないからこそ、そう感じるのだろうが、一方で毎日、顔を合わせる自分の娘ときたら、あれほどかわいかったのが、今や反抗期真っただ中(苦笑)。気付けば自分の髪にも白いモノが交じり始めてきた。確実に時間が流れていることを痛感する…って、おっさんの悲哀話はどうでもいいか。
人よりも早く成長し、人に置き換えたくないほど、早いサイクルで馬が入れ替わるこの世界。それこそ1か月、いや1週間ぶりに目にするだけでも、ハッキリとした変化が表れるものだ。以前、当コラムで取り上げたメイショウベルーガの2番子メイショウテンシャ(牡=父ディープインパクト・池添兼)はその典型例と言えるだろう。
ゲート試験を受験する前後は担当の土屋助手が「背中の感触とかはいいんだけど、まだトモが緩くて…」と語ったように、目に見えてトモのボリュームに欠けていた。グラマラスだった母親を知っている身とすれば、余計に物足りなく感じてしまう。ゲート試験合格後、池添兼調教師は成長を願って、迷わず放牧へ出す決断をした。
トレセン再入キュウ後、「正解だったね」とトレーナーは即答。何よりメイショウテンシャ自身の変化がそれを雄弁に物語っていた。トモは丸々とふくらみ、芦毛の馬体もあいまって母の面影が感じとれるようになってきたのだ。
「(池添)謙一も“お母さんに似てきた”と言ってたよ。あとは見た目だけでなく、中身もベルーガ(重賞2勝含め現役時7勝)に近づいていければ」と池添兼調教師。先週(13日)の追い切りこそ坂路4ハロン55.9-13.8秒と要したが、「まだ緩さが完全に解消されたわけではないからね。馬場が重いと時計は出ない。走りからはやっぱり芝(向き)じゃないか」
初陣予定の日曜(23日)京都芝内2000メートル新馬戦には他にも素質馬が名を連ねるが、果たして母譲りの末脚を見せてくれるのか。現在ケガで療養中の土屋助手にも、その成長した姿を見せてほしいものだ。