▲マカヒキが出走した凱旋門賞、初の海外馬券発売は記録的な売上額に(撮影:高橋正和)
国内初の海外主要競走の馬券発売として大きな注目を集めた10月2日の第95回凱旋門賞(仏シャンティイ、GI・芝2400m)は、4歳牝馬ファウンドが優勝。2着ハイランドリール、3着オーダーオブセントジョージと、上位をエイダン・オブライエン(47=アイルランド)厩舎所属のガリレオ産駒が占める結果となった。
GI4勝を含む重賞6連勝中で1番人気に推されたポストポンド(牡5、父ドバウィ)は5着。5月に日本ダービーを優勝し、日本馬初優勝の期待を背負ったマカヒキ(牡3、栗東・友道康夫厩舎、父ディープインパクト)は16頭中14着と大敗した。
日本にとっては厳しい結果となったが、JRAのネット投票システムを利用した馬券発売は、売り上げが41億8599万5100円という記録的な額となった。同日のスプリンターズS(中山・GI)が126億6409万3600円で、ネット発売分が約76億円だったことを考慮すれば、いかに大きな額かがわかる。
今回の発売額は、日本のファンの馬券に対する熱意と凱旋門賞のブランド価値が重なった結果と言える。JRAは10月7日、凱旋門賞に続く海外発売として、11月1日のメルボルンC(豪GI・フレミントン・芝3200m)と同月5日のブリーダーズCフィリー&メアターフ(日本時間6日未明、米サンタアニタ、GI・芝2000m)の2競走の発売を発表した。今回は初の発売を通じて明らかになった部分や今後の展望と課題について、振り返ってみる。
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売り上げはスーパーGIIに匹敵
今年のJRAの総売り上げに占めるネット発売分は約65%。逆算すると、今回の凱旋門賞は売り上げ約64億円のレースに匹敵する水準となる。凱旋門賞の発売は当日の午前10時から約13時間。当日はGIのある日曜で、ネット投票ではJRAのほかに、盛岡、高知、佐賀の地方3場も発売された。こうした条件下で42億円近い売り上げは全く衝撃だった。5億円から良くて10億円という予測は大外れである。
最初の発売とあって、JRAも宣伝に相当、力が入っていたし、スポーツ紙の報道も、当該週はスプリンターズSを上回る厚みだった。とは言え、ここまでの水準には、驚きを通り越して半ばあきれてしまった。
今年のGII以下の重賞で売り上げが65億円を超えたのは、シンザン記念、中山記念、弥生賞、大阪杯、毎日王冠の計5回。うち、シンザン記念、弥生賞、毎日王冠は、同日に他の重賞がなく、売り上げが集中していた。同時開催場で重賞があっても、この水準の数字が出たのは、ドゥラメンテが出走した中山記念と、来年からGI昇格が決まった大阪杯の「スーパーGII」2戦だけ。凱旋門賞は「スーパーGII」並みの威力を示した格好だ。
今回、ネット投票で凱旋門賞を購入した人は79万4474人。当日のネット投票全利用者数が138万3975人で、57.4%が凱旋門賞に参加したことになる。1日のネット投票利用者数が多いのは日本ダービーや有馬記念当日で、今年のダービー当日は176万8086人。通常の日曜は100万人程度と言われており、ここでも関心度の高さがわかる。
ネット投票の会員数自体が9月以降、かなり増えており、同月10日時点の365万1252人から、凱旋門賞当日は367万4485人と2万3233人増加。何より、当日だけで8600人も増えている。筆者は一昨年と同様、東京競馬場のパブリックビューイング会場を訪れたが、今回は現場で会員加入を受け付ける光景も見られた。普段使用しているキャッシュカード1枚で加入できた。
次に、現地フランスの売り上げ動向を見てみよう。売り上げの大半を占めるPMU(場外発売公社)分は、1565万8777ユーロ(約18億75万円)で、日本の売り上げは現地の実に約2.3倍である。PMUはカフェなどの小規模発売窓口の多さが特徴で、