■マイルCS(G1・京都芝1600m外)フルゲート18頭/登録19頭
【特注データ】〜レースデータより〜 マイルCSのデータで最も注目したいのが、馬番別成績だ。全人気を対象とした前者のデータでは「外枠がイマイチも内〜中はフラット」といった印象なのだが、5番人気以内馬だけを対象とした後者のデータでは、それがガラリと一変する。内枠である馬番1〜6番の勝率や回収率が、突出して高いのである。
単純に内外を比較したデータにおいても、馬番1〜9番が勝率22.2%、連対率44.4%と高信頼度であるのに対して、馬番10〜18番は勝率8.7%、連対率17.4%と大きく見劣る。しかも、平均人気は2.7と外枠が最も高いのに、である。さらに回収率の差も歴然で、人気馬を狙うなら内枠が圧倒的にオススメ。外枠に入ると、人気馬でもけっこう厳しいと考えたほうがいい。
【コース総論】京都芝1600m外 Cコース使用
・コースの要所!
★3着以内馬の約半数が3番人気以内と、基本的に堅く決着するコース。
★信頼度、回収率、枠番値のいずれも内枠がトップ。やや内枠が有利。
★直線平坦で先行勢が優勢。やはり中団より前のポジションが欲しい。
目立っているのが、かなり順当決着傾向が強いコースだということ。今回は16頭立て以上で行われたレースを集計対象としたが、1番人気が複勝率68.1%、複勝回収率103%をマークしているのを筆頭に、人気サイドが全体的に好成績。3着以内馬の49.6%が、3番人気以内によって占められている。それ以外では、10〜12番人気の勝率の高さが目立つ程度。大波乱を狙ってブンブン振り回すのは、あまりオススメできないコースである。
馬番別成績では、すべての指標において内枠である馬番1〜6番がトップ。極端な差が出ているわけではないのだが、外よりも内のほうがベターであるのは確実だ。また、脚質については先行勢のほうが優勢。逃げ馬の好成績を見てもわかるように、最後の直線が長い外回りコースでも、けっこう前が残っている。対照的に、4コーナーを13番手以下で回った追い込み勢は大不振。勝ち負けに持ち込むには、やはり中団より前のポジションが欲しいところである。
【レース総論】マイルCS(G1) 過去10年
・レースの要所!
★4番人気以内[7-8-4-21]と好成績。近年はとくに順当決着傾向強し。
★馬券に絡んだ馬の80%を4〜5歳が占める。人気薄でも狙うはココ。
★前走から距離短縮となる人気馬が狙い目。勝率差はかなり大きい。
コースデータ同様に、マイルCSのレースデータも人気サイドの強さが目立つ。平均配当も、単勝1202円、馬連4736円、3連複1万7484円と低めの水準だ。13番人気のエーシンフォワードが制した2010年、14番人気のマイネルファルケが2着に食い込んだ2009年など波乱決着となった年もあるが、2012年以降のふたケタ人気馬は全滅しており、順当決着傾向が強まってきている印象を受ける。
脚質に関しては、コースデータよりもかなり差せるという結果に。2013年のトーセンラーのように後方から追い込んだケースもあるが、信頼度が高いのはやはり「中団からの差し」で、勝率、連対率、複勝率のいずれもトップだ。最速上がり馬も半数以上が連対しているように、速い上がりが使えるのは大きな武器。「差し→差し」や「差し→先行」での決着を前提に、馬券を組み立てたい。
注目すべきは、4〜5歳馬の圧倒的な強さだ。トータル[7-9-8-67]で複勝率26.4%と、なんと馬券に絡んだ馬の80%を占めている。6歳馬もそれなりに健闘しているが、4〜5歳馬と比べるとその成績は雲泥の差。また、3歳馬が[0-0-1-35]とサッパリなのも、このレースの大きな特徴といえる。
ローテ面で目立つのは、天皇賞・秋から出走する馬の好調ぶり。この組を含む「距離短縮組」の強さも、かなり意識しておきたい。4番人気以内馬に限定したデータでは、距離延長組が[0-5-0-4]と未勝利であるのに対して、距離短縮組は[6-2-1-12]と、勝利数では前者が後者を圧倒。冒頭の特注データも組み合わせて考えると、「距離短縮組で内枠に入った4〜5歳の人気馬」から入るのが、最も効率がいいと思われる。
【馬場&血統総論】・現在の馬場
B→Cコース替わり。ラチ沿いを走れる馬に有利な馬場になる可能性が高い。
・天候予測
日曜日は好天も土曜日に降雨がありそう。やや含水率の高い良馬場か。
・注目血統
ディープインパクト産駒◎
最近の馬場は読みづらくて辟易するが、今週からのB→Cコース替わりで、ラチ沿いを通れる馬に有利な方向へとシフトしそう。先週がけっこうフラットな馬場だった印象だけに、イメージ以上に内有利となるかもしれない。外からの差しがどれだけ届くのかを、土曜日のうちにキッチリ把握しておきたい。
血統面は、ディープインパクト産駒だけをプラス評価。ダイワメジャー産駒も悪くはないが、ディープインパクト産駒に比べると、コース適性はかなり見劣る。ネオユニヴァース産駒やフジキセキ産駒も可もなく不可もなしといった印象で、プラス評価には至らないと判断している。
★出走登録馬・総論×各論 ドイツのスペクトゥルが回避して、キッチリ18頭立てとなりそうな今年のマイルCS。スワンSを快勝したサトノアラジン、昨年3着に好走しているイスラボニータ、富士Sの覇者ヤングマンパワーなど、短距離路線の強豪が顔を揃える。とはいえ、この路線の横綱モーリスの姿はなく、どの馬も一長一短というのが正直なところ。順当決着傾向の強いレースではあるが、どうも雲行きが怪しい。
というのも、このレースで非常に強い「距離短縮組の4〜5歳馬」が、登録馬にほとんど見当たらないからだ。この両条件を満たすのは、なんとネオリアリズムとマジックタイムの2頭だけ。しかし、前走スワンS組が過去10年で1勝しか挙げておらず、スプリンターズS組も未勝利であるのを考えると、距離延長組を本命には推しづらい。また、枠番の影響が非常に大きいレースであるのも、現段階での取捨を難しくしている。
……と前置きした上で、トップ評価は
ネオリアリズム。マイル戦に初出走、さらに京都でも初出走という危なっかしい存在ではあるが、同時に数少ない「距離短縮組の4〜5歳馬」でもある。レース傾向を考えると買うべきであるのは間違いなく、前走の札幌記念でモーリスとレインボーラインを退けているのは、やはり高評価すべき。今週からのCコース替わりも、プラスに働きそうだ。
二番手評価に
サトノアラジン。いかにもディープ産駒らしい決め脚の持ち主で、力をつけているのも間違いない。昨年も0秒2差の4着に来ているわけで、さらに力をつけた今年は、それ以上が狙えて当然だろう。しかし、データ的には「2着」の可能性が非常に高く、連軸や3連複の軸では買いやすいが、1着ではけっこう狙いづらい面がありそう。あえて2着固定で狙うという変則的な買い方も、ここではアリかと思われる。
三番手評価に
ヤングマンパワー。この路線における最大の「上がり馬」で、関屋記念、富士Sとマイル重賞を連勝中。最も信頼度の高い4歳馬であるのも、ポイントが高い。気がかりなのは鞍上の乗り替わりで、戸崎騎手とかなり手が合っていた印象だけに、バルザローナ騎手にスイッチ予定であるのはやはり割引。それでも、現在の勢いを考えるとやはり侮れず、勝ち負けに持ち込める可能性も高そうだ。
四番手評価に
イスラボニータ。昨年は後方からの競馬となったが、それでも直線でいい脚を見せて3着まで詰め寄った。前走を見るかぎり力の衰えは見られず、内枠でも引き当てればかなり面白いはずだ。そして五番手評価に、もう1頭の「距離短縮組の4〜5歳馬」である
マジックタイム。牡馬相手の関屋記念でも、最速上がりでヤングマンパワーに詰め寄っており、ここでの激走があっても不思議ではない。
以下はミッキーアイル、ガリバルディ、フィエロという序列だが、なにぶん枠番が決まっていない段階での評価で、最終的には大幅に入れ替わりそうだ。内枠に入った人気馬が猛烈に強いのは、冒頭の特注データで解説した通り。トップ評価したネオリアリズムにも、ぜひ内枠を引き当てていただきたい。
■総論×各論・先週の馬券回顧
京都11レース エリザベス女王杯(G1)
1着 03クイーンズリング
2着 09シングウィズジョイ
3着 01ミッキークイーン
複勝を買えばキッチリ4着(#^ω^)ビキビキとはいえ、大外からあれだけスムーズな競馬ができたのだから、愚痴の言いようもなし。人気薄で激走したシングウィズジョイは、情けないことにノーマークだったしなあ……。しかしこの負け、有馬記念までに回収できるのか?(無理)
※コースデータと血統データは2012年以降、レースデータは2006年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。
【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!