浴衣姿のおふたりも新鮮ですが、 年の差24歳の対談も新鮮です!
貸切露天風呂のあとは源泉風呂のある大浴場に移動し、そこでも時間をかけて名湯を満喫した小牧騎手と高倉騎手。そして、旅のもうひとつの楽しみといえば…そう、夕食! 温泉同様、ここでしか味わえない野菜料理に舌鼓を打ちながら、競馬談義に花を咲かせます。今回は、親子ほども年の違う二人のガチンコ対談第一弾です!
(取材・文/不破由妃子)
「これじゃアカン、自分から動かな」と思って…
小牧・高倉 カンパーイ!
高倉 温泉も最高でしたけど、料理も美味そうっすね〜。
小牧 野菜中心でヘルシーやろ。味付けも優しくて、この料理もお気に入りやねん。
たらの芽や春かぶらなど、旬の素材が並ぶ先付。小牧さんの言う通り、素材の味を生かした優しい味付けです。
※お料理の献立は季節毎に変わります。写真は3月時のものです。
──大阪での食レポから、もう2年以上経つんですね。
高倉 そんなに!? 早いですねぇ。
小牧 時間が過ぎるのがホンマに早いなぁ。俺、いよいよ50(歳)やからね。
高倉 うちの親父とまったく同じ年です…。
小牧 お父さんやん!
高倉 はい、お父さんです(笑)。でも、小牧さんは全然老けませんよね。まったく変わらない。
小牧 それこそ榊原温泉の美肌効果やで(笑)。あと俺ね、白髪がないねん。自分でも不思議やねんけど。今もむっちゃ真っ黒で、そのままやと重たーく感じるから、明るい色に染めてるんやけどね。気持ち的にも、お前らよりよっぽど元気やで。
鯛と鮪と貝柱のお造り。お皿や盛り付けなど、細部にまでこだわりを感じます。
高倉 去年の暮れは、口癖のように「もう辞める!」って言っていたような…。まぁ誰も信じていませんでしたけどね(笑)。
小牧 あ〜、去年の暮れはホンマにしんどかったわ。でも今年は違うで。今年は高倉も、年明け早々に重賞を勝ったしな。
高倉 はい。久々に重賞を勝てたことはもちろんですけど、宮本厩舎の馬で勝てたのが嬉しかったです。宮本先生にはずっとバックアップしていただいていて、まるで所属のように乗せてくださっていますから。
小牧 そういえばそうやな。なんで乗るようになったの?
高倉 フリーになったとき、どこか手伝わなアカンなぁと思って、宮本厩舎にふらふら〜っと(笑)。その前からけっこう競馬は乗せていただいていたので繋がりはあったんですけど、確かフリーになる直前に宮本厩舎の馬で勝って、その流れだったような気がします。
小牧 関西は所属していないと調教に乗る機会が少ないからな。(トレセンに)出てこなくてもいい日があるくらいやわ。橋口(弘次郎)厩舎があるころは、常に4頭は乗っていたけど。
高倉 追い日以外は、2頭くらいのときもありますよね。火曜日は休みになってしまうこともあるし。
小牧さん一押しの源泉を用いた温泉野菜蒸し。10種類の旬の野菜が一度に味わえる、なんとも贅沢な一品です。温泉と合わせて抗酸化力アップ!
──スタッフと騎手の役割分担が、よりハッキリしてきたということですよね。
小牧 そうやね。今は厩舎のスタッフで仕上げるところが多いから。でもね、今年から笹田さんの厩舎を手伝ってんねん。レースはいいから、水木金だけ調教を手伝わせてくださいってお願いしてね。
──そういえば、調教もそうですが、橋口慎介厩舎の騎乗が減ったことで、「何かあったのでしょうか?」という質問がいくつかきていました。
小牧 何もないよ。時々は乗ってるし。定年になった厩務員さんが多くて、スタッフがガラッと替わってん。それで、ほとんどのスタッフが馬に乗れるようになったから、必然的に僕が乗る必要がなくなったというか。レースにしても、3キロ減をようけ乗せてるやろ? それはそれで厩舎の戦略やからね。ただ、僕としても、これじゃあアカンなと思って。それで笹田さんのところで乗るようになったんやけど。
高倉 そうですよね。やっぱり常に馬には乗っておきたいですね。
小牧 そうやろ? 最初は調教が少なくなったぶん、有意義に時間を使ってたんやけど、だんだん「これじゃアカン。自分から動かな」と思うようになってね。トレセンに行くことだけでも大事やし、やっぱり水木金と馬に乗っていたら体も感覚も全然違う。なんか基本に帰った感じやわ。それに、笹田厩舎は常に500で乗るねん。
──「500」とはなんですか?
高倉 ウォーミングアップ用の1周500mの小さい馬場です。乗馬のような感じで、馬をゆっくりゆっくり動かしていくという。
小牧 今までそういう調教をしたことがなかったから、僕自身、よう体を使ってるわ。それも今年の大きな変化。やっぱりジムで鍛えるのとはワケが違うから。高倉も俺も、一時より乗り鞍も勝ち鞍も少なくなったけど、やっぱり自分が資本やからね。
高倉 そうですよね。勝つことで打開するしかありませんから。
小牧 そうそう。エージェント云々ではなく、やっぱり自分の力が一番大きいわけやから。口で言うほど簡単じゃないのは俺もよーくわかっているけど、ジョッキーは勝ったらええんや。それしかないねんから。
小牧「ジョッキーは勝ったらええんや。それしかないねんから」
──シンザン記念の勝利は、大きなモチベーションになっているのでは?
高倉 それは間違いなく。やはり宮本厩舎の存在は大きいです。(元所属の)崎山厩舎にも引き続きお世話になっていますし。そういえば、キョウヘイのおかげで、オーナーからヒストリカルも頼まれたんですよ。そういうこともモチベーションに繋がっています。だからこそ、ヒストリカルの小倉大賞典(2着)は勝ちたかったなぁ。
小牧 勝ったらまた変わってくるからな。
高倉 そうなんです。僕らにとっては2着じゃダメなんです。勝ったと思ったんですけどねぇ。前に1頭残ってましたわ(苦笑)。
小牧 キョウヘイはNHKマイルC?
高倉 はい。NHKマイルCからダービーの予定です。たぶん乗せてもらえると思うんですけど…。
小牧 ダービーはいいよ〜。俺も乗りたいなぁ。高倉は初めてやろ?
高倉 はい。初めてです。そういえば小牧さん、マイルの馬で2着にきたことありましたよね? 確か競馬学校時代に東京まで観に行ったような。
小牧 ああ、スマイルジャックね。あれこそ勝ったと思ったわ、「あ、勝ったー!!! ……いや、負けたぁ…」みたいな感じやった(苦笑)。悔しかったけど、あの頃は俺自身、ダービーの重みをわかっていなかったからね。
高倉 実は僕も、ダービーの特別感がもうひとつわからなくて…。乗ったことがないからでしょうね。
──小牧さんはこれまで、結果的にマイラータイプの馬でダービーに出ることが多かったですよね。
小牧 そうやねんな。スマイルジャック以外にも、ペールギュント(15着)、アイアンルック(17着)、クラレント(15着)、サトノルパン(14着)、ダノンメジャー(11着)…。思い返すと、ほとんどマイラーやね。
──そういえば、キョウヘイのお父さんは、小牧さんもよくご存じのリーチザクラウン。距離が不安視されたダービーでも2着にきましたよね。
小牧 リーチザクラウンの仔は走るなぁ(JRAのレースに22頭が出走して計8勝)。
高倉 走りますねぇ。小牧さんは新馬戦で騎乗されたんですよね?
小牧 うん。最初に跨ったとき、なんと素晴らしい馬かと思ったもん。新馬戦も、こんなにすごい馬で負けるわけがないと思って、あえて中団から行ったんやけど、アンライバルドを捕まえられへんかった。
高倉 3着ブエナビスタ、4着スリーロールスの伝説の新馬戦ですよね。
小牧 そうそう! あのレースはガックリきたわ…。でもね、高倉、スマイルジャックの例でいえば、息さえ入ればマイラーでもけっこう大丈夫やねん。だからキョウヘイだってわからんで。
高倉 そうですよね。NHKマイルCにしろダービーにしろ、キョウヘイで一発狙っていきますよ。しぶった馬場が得意なので、今から雨乞いしようかな(笑)。
高倉「しぶった馬場が得意なので、今から雨乞いしようかな(笑)」