見事に「凱旋勝利」を収めた
週の前半が比較的好天に推移しながらも、木曜日になると天候が崩れ出し、週末は雨に祟られる。4月以来、そういう周期になっているのが今年の北海道の天候だ。先週もまた木曜日に雨となり、ホッカイドウ競馬にとっては前週の北海優駿に続いての不良馬場になってしまった。
しかし、北海道スプリントカップの行なわれた8日は、朝から降り続いていた雨も午後には回復に向かい、馬場は悪化したままだったが、今季初の交流重賞とあって、門別競馬場には多くのファンが集まって活況を呈した。
![門別スタンド風景](https://cdn.netkeiba.com/img.news/style/netkeiba.ja/image/column/tanaka/170614_01.jpg)
門別スタンド風景
出走馬は16頭。地元ホッカイドウ競馬から10頭、佐賀と高知からそれぞれ1頭ずつで地方所属馬は計12頭。それに、中央から4頭が参戦し、計16頭のフルゲートとなった。
![レース前のパドック風景](https://cdn.netkeiba.com/img.news/style/netkeiba.ja/image/column/tanaka/170614_02.jpg)
レース前のパドック風景
人気の中心はニシケンモノノフ。横山典弘騎手が騎乗。続いてショコラブラン(戸崎圭太騎手)。さらにスノードラゴン(大野拓弥騎手)という順で、中央所属馬が人気の上位を独占する傾向は今年も変わらない。
![パドックを周回するニシケンモノノフ](https://cdn.netkeiba.com/img.news/style/netkeiba.ja/image/column/tanaka/170614_03.jpg)
パドックを周回するニシケンモノノフ
![ニシケンモノノフ返し馬](https://cdn.netkeiba.com/img.news/style/netkeiba.ja/image/column/tanaka/170614_04.jpg)
ニシケンモノノフ返し馬
一方の地元勢では、アウヤンテプイが5番人気に支持された。前走、ジャスタウェイ・プレミアムを制しており、今季2戦目で中央勢を迎え撃つホッカイドウ競馬の古豪である。それでも、単勝で31.8倍。他はすべて50倍以上の配当になっており、今年も中央勢が断然有利の下馬評であった。
午後8時。1着賞金2200万円をかけて、距離1200メートルの北海道スプリントカップが発走時刻を迎えた。各馬が一斉に飛び出し、外側からアウヤンテプイがハナを切ろうとするのを内側から難なくニシケンモノノフが抑えて先頭に立つ。横山騎手も無理せず馬に任せたまま楽に先行している。
必死に追走する他馬を尻目に、4コーナーを回ってもニシケンモノノフの脚色は衰えず、ぐんぐんと加速し、あっさりと逃げ切ってしまった。1分9秒4のレコードタイムであった。4馬身差をつけられての2着はショコラブラン、3着はクビ差でスノードラゴン。4着にゴーイングパワー。1着〜4着までは、人気順通りに入線し、しかもいずれも中央からの遠征馬に占められる結果となった。ホッカイドウ勢は5着にトウカイビジョン(服部茂史騎手)が入った。アウヤンテプイは10着、またかつてホッカイドウ競馬に所属し、現在佐賀競馬場に在籍しているウルトラカイザー(9歳)は12着であった。
![逃げ切ったニシケンモノノフ](https://cdn.netkeiba.com/img.news/style/netkeiba.ja/image/column/tanaka/170614_05.jpg)
逃げ切ったニシケンモノノフ
レコードタイムでの決着には横山典弘騎手も驚いた様子で「今日はただ乗っかっていただけ」と馬の力量を褒めちぎり「今回の勝利で賞金も加算できたんで、JBCスプリントに出走できるのなら楽しみ」とレース後のインタビューに答えていた。
![ウイナーズサークルに向かうニシケンモノノフと横山騎手](https://cdn.netkeiba.com/img.news/style/netkeiba.ja/image/column/tanaka/170614_06.jpg)
ウイナーズサークルに向かうニシケンモノノフと横山騎手
ニシケンモノノフは牡6歳栗毛で、父メイショウボーラー、母グリーンヒルコマチ(その父アフリート)という血統。栗東・庄野靖志厩舎の管理馬。馬主は西森鶴氏。生産者は新冠・八木常郎氏。余談ながら、この馬は東日本大震災の発生した2011年3月11日生まれである。
![インタビューに答える庄野靖志調教師](https://cdn.netkeiba.com/img.news/style/netkeiba.ja/image/column/tanaka/170614_07.jpg)
インタビューに答える庄野靖志調教師
ニシケンモノノフはホッカイドウ競馬で2013年7月4日にデビューし、5戦3勝2着1回の成績をひっさげて中央に移籍した「道営出身馬」だ。当時より能力の高さが話題になっており、2歳時の9月26日、門別で行なわれたイノセントカップ1200メートルにて1分11秒5のレコードタイムをたたき出し、この記録は未だに破られていない。ニシケンモノノフはしたがって、門別1200メートルに関してはこれでふたつの記録を保持する馬となった。
![北海道スプリントカップ口取り](https://cdn.netkeiba.com/img.news/style/netkeiba.ja/image/column/tanaka/170614_08.jpg)
北海道スプリントカップ口取り
![ニシケンモノノフ関係者(前列)](https://cdn.netkeiba.com/img.news/style/netkeiba.ja/image/column/tanaka/170614_09.jpg)
ニシケンモノノフ関係者(前列)
中央に移籍してから大きく出世した典型例で、これで通算成績は35戦11勝2着7回、獲得賞金も中央地方合わせて2億5498万円となった。重賞は兵庫ジュニアグランプリ、兵庫ゴールドトロフィーに続きこれで3勝目である。
今回は2013年9月以来の門別競馬場での出走となり、見事に「凱旋勝利」を収めたと言える。
なお、このレースには「もうひとつのレコード」が誕生するおまけつきであった。1レース単独の発売金額が2億8625万円を記録し従来のレコード(2012年8月12日ブリーダーズゴールドカップ)を更新したのである。
1日の売り上げは5億8019万2960円。入場人員1219人は昨年とほぼ同じだが、ネット発売が好調で、昨年より8347万円の増となった。今のところひじょうに順調に推移しており、何よりである。