7年振りに重賞勝利した西田雄一郎騎手を直撃
「辛抱強く追いかけてもらえたら嬉しいです」
赤見:ラインミーティアでのアイビスサマーダッシュ制覇、おめでとうございます!8番人気を覆しての差し切り勝ちでした。
低評価を覆しアイビスSDを制したラインミーティア(撮影:下野雄規)
西田:ありがとうございます。いろんなことが上手く行きましたね。
赤見:2年前にこのコラム
【新ローカルの帝王へ! 千直の支配者・西田雄一郎】で千直の支配者としてインタビューさせていただきましたけれども、改めてこの舞台に強いと証明しましたね。
西田:あの取材の後、あんまり勝ててなかったんですけど、今回重賞の舞台で勝つことができて本当に嬉しいです。
赤見:ラインミーティアも今回の重賞だけではなく、3走前のテン乗りで、千直を勝ってますよね。
西田:それはめぐり合わせです。水野先生からは前から声をかけていただいてたんですけど、同じクラスに乗り馬がいてなかなか乗る機会がなかったんです。でもずっと気にして見ていました。この春にタイミング的に乗れるチャンスがあったので、自分から水野先生に「乗せて下さい」ってお願いしたんですよ。自分で言ったからにはしっかり結果を出さないといけないと思っていたので、結果を出すことができて良かったですね。
赤見:レース前はどんなことを考えていたんですか?
西田:春は3回乗っていて、1000万条件は勝って、次の準オープンは雨降りで落鉄してそれでも4着で。その後のオープンはゲートの最後入れがあだになっちゃったんです。この馬、ゲートの中で1回立ち上がるんですよ。それ以上はやらないんですけど、1回立ち上がって納得するみたいな。でも最後入れだった分、立ち上がったタイミングでゲートが開いて出遅れてしまったんです。それでもラスト31.6の脚を使えたので、アイビスでこの脚を使えれば上位争いはできるなと。あとは、この末脚を使うためにはどうしたらいいかということを考えていました。
赤見:道中は後方からでしたけれども。
西田:無駄な動きをしたら、車でいうところのガソリンを使ってしまうので、なるべくガソリンを使わないように、ゴールに合わせて最後しっかり使えるようにと思ってました。勝ちに行こうという意識よりも、ミーティアがリラックスして走れることだけ考えて。
赤見:他の馬たちと比べて早めに追い出しているように見えました。
西田:あれは合図ですね。500mくらいのところでムチは入っているんですけど、「さあ行くぞ」っていう感じで、これからエンジン掛けるよという合図です。あそこから目いっぱい行ったわけではなくて、徐々にギアを上げて行きました。
赤見:最後すごい末脚でしたね。
西田:正直届くかどうかはわからなかったですけど、徐々にポジションを上げて行って、本当にいい脚を使ってくれましたね。前に行った馬は必ず最後の1ハロンが鈍るのはわかっているので、諦めずに追いました。
赤見:久しぶりの重賞制覇はいかがでしたか?
西田:気持ちよかったです。もちろん馬の状態も絶好調で、この状態に仕上げてくれたスタッフに感謝の気持ちでいっぱいです。その上で、ここまで自分が思い描いた通りにいくっていうのはなかなかないし、しかもそれが重賞の舞台でできたっていうのが気持ちよかったです。ファンの方からもたくさん声援をいただいて、本当に勝って良かったですね。
久々の重賞制覇は気持ちよかったです
赤見:前は、「3着で良かったのに」って言われたって仰ってましたよね。
西田:今回もそう思っている人はいっぱいいると思いますよ(笑)。でもホント、ファンの方からの応援はすごく力になります。「西田!ありがとう!」とか言ってもらえると「よし!」って思いますね。あと今回は、「馬券外したけど見てて気持ちよかった」という声もいただいたので、そういうのも嬉しかったです。
赤見:話は戻りますけど、ラインミーティアはこれまでも千直の経験があって、でもなかなか勝ち切れなかったじゃないですか。その中で、西田騎手に乗り替わって初戦で1000万条件を勝ち、4戦目で重賞勝ち。何が違うんですか?
西田:別に前に乗った乗り役がどうとかじゃないんですよ。馬の状態が良くなったタイミングだったということも大きかったと思います。さっきも言いましたけど、オファーは去年からいただいていて、乗れなくてもずっと注目して見ていました。今までの乗り役さんが下手な乗り方をしているわけではないんでね、逆を言えば違う乗り方をしないといけないなと。だから、前に行く脚があるけれども、そこで使うと最後が甘くなってしまうと考えて、最後の末脚をどれだけ使うかという競馬をしたら勝ってくれて。そこからは末脚を武器にして、この末脚を必ず使う競馬をしようということだけ考えてました。
赤見:アイビスサマーダッシュは今回が2勝目(2010年ケイティラブ)ですけれども、他にも2勝した騎手はいるんですけど、同じ馬で2勝なんです(大西直宏騎手カルストンライトオ、小牧太騎手カノヤザクラ、ミルコ・デムーロ騎手ベルカント)。違う馬で2勝したのは西田騎手が初めてということになりました。
西田:それを聞いた時は嬉しかったですね。あと、千直でオープン3勝したジョッキーは初めてだって聞きました。それも光栄に思います。
赤見:馬券のヒントを教えていただけますか?
西田:難しい質問ですね(笑)。どの馬でも一発常に狙ってます。逃げ馬に乗ったら逃げ馬のポイントで追い出すし、でもだいたいが差し馬に乗っているんですけど、基本的に前を負かしに動いて行くという競馬はしていないので。前に残られたら仕方ないと腹を括って、自分の馬の末脚がどのくらい使えるかということを考えてます。それが僕のスタイルです。
西田雄一郎騎手が騎乗した人気薄エタニティーワルツで差し切り勝ち(写真は2017年2月11日・500万下優勝時、撮影:下野雄規)
赤見:春と夏で新潟の芝は違うと仰ってましたけれども、今年の傾向はいかがですか?
西田:本当に全然違いますね。今年は思った以上に春がいい馬場で、時計も速かったので、夏に近い感じの馬場でした。夏は逆に雨が降った影響があるのか、千直に限らずどのレースも意外と差しが決まってますよね。開幕週はたいがい前に行って止まらないというレースが多いんですけど、今年はちょっと違うイメージです。
赤見:しつこいですが、穴を開けるヒントは?
西田:みんなに注目されなくなった頃に開けるんだと思います(笑)。だいたいそういう図式になっているんですよ。辛抱強く追いかけてもらえたら嬉しいです。