驚異的な売り上げで最高落札価格も更新
国内最大規模を誇るサラブレッド1歳市場「サマーセール」が全5日間の日程で8月21日(月)より始まっている。「今年は売れ行きが良いだろう」という大方の予想通り、いやその予想以上に、連日盛況が続いている。
これで初日、2日目の2日間が終わったことになるが、この時点での数字を簡単にまとめてみると、以下の通りになる。
上場頭数 初日251頭(牡148頭、牝103頭)
2日目248頭(牡126頭、牝122頭)
落札頭数 初日205頭(牡128頭、牝77頭)
2日目188頭(牡98頭、牝90頭)
売り上げ 初日11億9815万円
2日目12億6220万円
売却率 初日81.67%(牡86.48%、牝74.75%)
2日目75.8%(牡77.77%、牝73.77%)
平均価格 初日584万4644円
2日目671万3809円
因みに昨年の初日と2日目の数字も参考に以下に記す。
上場頭数 初日263頭(牡148頭、牝115頭)
2日目248頭(牡122頭、牝126頭)
落札頭数 初日160頭(牡99頭、牝61頭)
2日目167頭(牡88頭、牝79頭)
売り上げ 初日8億1421万円
2日目8億7728万円
売却率 初日60.83%(牡66.89%、牝53.04%)
2日目67.33%(牡72.13%、牝62.69%)
平均価格 初日508万8825円
2日目525万3197円
これらの数字を比較してみると、今年のサマーセールがいかに好調にスタートしたかがおわかり頂けよう。初日は、朝から好天に恵まれたこともあり、午前8時から始まった比較展示の時から多くの来場者で賑わっていた。
セリ開始は、予定通り午前11時半。それに先立ち、7月12日のジャパンダートダービー(大井、統一G1)を制したヒガシウィルウィンの馬主である(株)MMCに対し、優勝の記念品授与が行われた。同馬は、当サマーセール出身馬で、2015年に443万円(税込)で取引されたサウスヴィグラスの牡馬である。道営から南関東に転じ、地方所属馬として7年ぶりとなる勝利であった。
セール開始に先立ち行われた記念品の授与式
予定通り始まったセリは、最初から落札馬が続き、初日はずっと売却率80%台をキープしたまま、夕方まで勢いが衰えなかった。牡牝まんべんなく売れた印象で、とりわけ牡馬は、価格こそピンキリとはいえ、大半が落札されていたように感じた。
多くの購買者の目に触れた中で付けられた価格だから、現在のその馬の客観的な評価がその価格ということであろう。低い価格でスタートしても、その後激しい競り合いが演じられ、思いがけない価格まで上昇する馬が多かった半面、一声で落札されてしまう馬も少なからずいた。
しかし、一頃のように、お台付け価格を無視した低価格のサインに鑑定人が思わず唸り、傍らの販売申込者と“相談”して、不本意ながらその価格提示を受け入れる、というような場面は激減した。それだけでもずいぶん健全なセリになってきた印象が強い。
なお、初日の最高価格馬は47番「ダイヤモンドリング28」の2808万円(税抜き2600万円)。父ロードカナロアの牡鹿毛で、生産者は日高町・佐々木康治氏、飼養管理者は浦河・NO9ホーストレーニングメソド。落札者は松本好雄氏。
セール初日の牡馬最高価格馬「ダイヤモンドリング28」
また、牝馬の最高価格は96番「パッションレッド28」の1404万円(税抜き1300万円)。父ロードカナロアの黒鹿毛で浦河・(有)酒井牧場生産、新ひだか町(有)ノルマンディーファームが落札者である。
セール初日の牝馬最高価格馬「パッションレッド28」
2日目は、一転して雨に見舞われるあいにくのコンディションとなったが、セリの勢いは衰えなかった。
初日と比較すると、やや主取り馬が増え、価格もいくぶん低めに経過しているように感じていたが、中盤を過ぎた頃から、初日以上の高額馬が続出し、410番「プレッピー2016」(父サウスヴィグラス、牡鹿毛)、415番「ポリリズム2016」(父ローズキングダム、牡鹿毛)と3348万円(税抜き3100万円)が相次いで登場した。
410番は浦河・(有)辻牧場、415番は新ひだか町・乾皆雄氏の生産馬で、いずれも落札したのは了徳寺健二氏である。
3348万円で落札された「プレッピー2016」
同じく3348万円で落札された「ポリリズム2016」
しかし、その後に、454番「ラブディランの2016」が上場されると、さらなる活発な競り合いが演じられ、ついにサマーセールと名称を変えてから最高価格となる4320万円(税抜き4000万円)まで価格が上昇した。
本馬は父スクリーンヒーローの牡黒鹿毛馬で、周知のように、先月、半兄カシアスが函館2歳ステークスを制したばかり。これ以上ないタイミングの良さでの上場となった。新ひだか町・(有)谷岡牧場生産、落札者はDr.コパさんこと小林祥晃氏である。
4320万円で「ラブディランの2016」が落札される
サマーセール史上最高落札価格馬となった「ラブディランの2016」
「ラブディランの2016」の生産者谷岡康成氏(写真左)と落札者小林祥晃氏(写真右)
これら高額馬の出現によって、2日目は初日を上回る驚異的な売り上げとなった。まだ今日を含めて残り3日間あるが、すでに初日と2日目の2日間だけで、24億円を超える総売り上げとなっている。昨年は5日間の合計が約40億円の売り上げであったことを考えると、サマーセールのレコード更新はまず間違いなさそうだ。