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ウインフルブルームとマイネルアウラートとプレイズエターナルはどんなレースをするのかな。

  • 2017年09月07日(木) 12時00分


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サマーマイルと京成杯AH
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サマーマイルシリーズを奪い取りに来る陣営とさい先のよい秋のスタートを目論む陣営と夏はあくまでひと叩きで秋に備える陣営が混ざり合うレース。

この10年で夏(7月8月)に使われていた馬は6勝、休み明け(6月以前)に使われていた馬は4勝。夏に使われていた馬の方が少しだけ分があるけど、6:4では夏組断然有利とも決めつけにくい。

サマーマイルシリーズのチャンピオンの権利のある馬を狙いすぎると、去年みたいに休み明けの馬で1・2・3(ワンツースリー)を決められてしまったりもする。そもそもサマーシリーズのチャンピオンになるには1着が必要になることが多いから、勝ちに行って凡走するパターンも多い。

だからサマーマイルのことはあまり考えすぎないようにしたほうがいいのかもしれない。その場合、一番手っ取り早いのは騎手に頼むことだ。最近の開幕週の馬場はエアレーションの影響で、差しが決まりやすくなってることも多い。それを一番敏感に察知できるのは騎乗している騎手でもある。

本日発売の「コース別本当に儲かる騎手大全・2017秋〜2018」(著・伊吹雅也)は毎年この時期に最新版が発売される騎手の攻略本で、今年で第3弾になるベストセラー本だ。2年前に13人気(単6270円)で勝ったフラアンジェリコを、鞍上田辺が好走条件を満たしていることを理由に推奨していたことを自分はずっとずっとずっと覚えている。

なぜなら自分もフラアンジェリコを推奨したのだが、自分の場合はフィーリングで推奨したのに対し、本書は明確な理由を記しての推奨で、大人と子供、天と地ほどの違いを突きつけられたようだったからだ。もちろん本書が大人で、天だ。だからずっと覚えている。

最新版の中山芝1600のページを見ると(そう、読むというより見る感覚だ。だから一目でわかって、チェックが簡単だ!)、いた。今年も田辺は『好走率偏差値60以上』でいた。つまり田辺はずっとこのコースが得意だということだ。

本書では好走率偏差値と回収率偏差値があって、そのネーミング通り、このコースをどれくらい得意としているかがわかる指標になる数値だ。偏差値60を超えると、勉強界では優秀な判定を受けるけれど、ここでも同じだ。

ちなみに中山芝1600で、好走率偏差値が60を超えてる騎手は3人いる。田辺と戸崎と横山典だ(回収率偏差値で60を超えてる騎手も二人いるけど、騎乗馬がいないので省略)。京成杯AHに騎乗するのは田辺(グランシルク)と横山典(ウキヨノカゼ)。どちらも好走条件を満たしている。ヌヌヌ! 今年の田辺は人気馬に騎乗だから当然としても、横山典の騎乗馬は予想8人気の伏兵馬だ。ヌヌヌ!

自分は騎手読み派だけど、そこで出した答えと本書の答えが一致してるとテンションが上がる。

馬の能力で優劣を決める場合でも、同じくらいの能力で取捨に困るときがある。そんなときには騎手の優劣で選択するのもアリだ。迷ったときの決断の書としても本書は大いに役立つのではないか。

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2位マルターズアポジーと1位ウインガニオン
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サマーマイルの行く末に翻弄されない方がいいと思ってはいるけど、今年は“その行く末”が少々気になったりする。理由は現在1位のウインガニオンが出走しないからだ。

サマーマイル
1位 ウインガニオン   15点
2位 マルターズアポジー 10点
3位 ダノンリバティ   6点
4位 グランシルク    5点
4位 ブラックムーン   5点

1位10点 2位5点 3位4点 4位3点 5位2点 6位以下1点

京成杯AHに出走する馬で、1位のチャンスのある馬は、
マルターズアポジー
ダノンリバティ
グランシルク
の3頭。

1位になるためには最低でも15点にする必要があるけど、どこかで1着にもなっていないといけないから、マルターズアポジー以外の2頭はここで1着しないとチャンピオンにはなれない。

マルターズアポジーは1着すれば単独チャンピオンになれて、2着だとダノンリバティが1着しなければウインガニオンと同率チャンピオンになれる。

ダノンリバティは1着したら16点になり、単独チャンピオンになれる。
グランシルクも1着したら15点になり、ウインガニオンと同率チャンピオンになれる。ただしそのレースでマルターズアポジーが2着だったら、3頭が15点で並ぶから3頭がチャンピオンになる。

つまり、ウインガニオン陣営にとっては、マルターズアポジーとダノンリバティの1着は回避したいということだ。

ダノンリバティ 中山成績0-0-0-3 去年の京成杯AHも3人気で10着
マルターズアポジー 中山成績2-0-1-3 中山マイル1-0-0-1(着外は4着)

しかもマルターズアポジーの全成績は8-1-3-10。走るときは1着する馬。

警戒するならどうみてもマルターズアポジーだろう。
しかし、ウインガニオンは出走しない。警戒するにしても、遠くからマルターズアポジーの凡走をお祈りするくらいしかない。

「マルターズアポジーが1着しませんように〜〜」

こんなんで効果があるのか? 

場合によってはある。

どんな場合か?

ウインやマイネル、コスモといったいわゆる岡田繁幸氏系の馬が何頭か出走してる場合にはお祈りが通じるかもしれない。

京成杯AHには、岡田繁幸氏系の馬が2頭出走する。
ウインフルブルーム
マイネルアウラート

ウインフルブルームもマイネルアウラートも逃げもできれば番手競馬もできる。その2頭が今回どんなチームオーダーで戦うのかとても気になる。

関屋記念はマルターズアポジーが内枠から好スタートを切って、はじめの3ハロンでセーフティリードを取って逃げ切った。前半3ハロンは35.2だった。スタートして一気にリードしたけど、マイルの重賞では速い逃げではない。

その前の2000の七夕賞での「絡まれた」というコメントがいい牽制球になっていたのかもしれない。実際、七夕賞の前半3ハロンは33.9でマイルの関屋記念より1秒以上も速かった。

関屋記念で2番手に控えたのがウインガニオンだった。控えて2着したことで、現在1位にいるのだから、それはそれで作戦だったのかもしれない。もし、マルターズアポジーにプレッシャーをかけていたら、もっと速い展開になって、京成杯AHにも出走するダノンプラチナやロードクエストやウキヨノカゼやトーセンデュークといった上がり上位の馬たちの餌食になっていたかもしれない。

ウインフルブルームとマイネルアウラートは、2頭ともにマイル実績のある馬だから、露骨な仕掛けというより積極的追走を試みるような気がしている。要は、関屋記念のときより詰めて追走し、4角で馬体を並びかけるような競馬だ。

そもそも開幕週だけど、京成杯AHは逃げる馬に厳しいレースだったりもする。この10年で逃げて馬券圏内に残った馬は1頭もいない。しかも最近は、開幕週ほど馬場が軟らかくなって、差しが決まりやすくなってもいる。

今度は人気になるはずのマルターズアポジーをみんながふつうに追っかけたら、先行した馬たちがみんな沈没する可能性も十分あり得る。去年がまさにそんな競馬だった。6着までが3角まで真ん中より後方にいた馬たちだった。

馬場と展開は決めつけたくない。少なくともこの目で確かめるまでは決めつけたくない。でも、ここ2年と同じ感じなら、先頭から3番手くらいにいる馬には厳しい馬場になるかもしれない。

どんな馬場にせよ、自分はみたい! こういうシチュエーションでウインフルブルームとマイネルアウラートがどんな騎乗をするのか、そこは知りたい!

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1人気と田辺
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逃げ馬に厳しい京成杯AHだけど、1人気も苦戦するのが京成杯AHだったりする。

この10年で1人気は1-0-1-8。

こう書くと2回は馬券圏内だけど、これを年齢で分けるとこうなる。
3歳1人気 1-0-1-1
4歳以上1人気 0-0-0-7

3歳で1人気になる馬は実力とハンデのバランスがちょうどいいのかもしれない。

今年1人気になりそうな馬は予想では、グランシルク。
そう、1着になればチャンピオンになれる権利のある馬だ。ただし5歳馬でもある。伝統と照らし合わせればナイガシロにできる。

しかし、今回の鞍上は田辺だ。前記した「コース別本当に儲かる騎手大全」でも好走率偏差値が高い、あの田辺が騎乗だ。そこが悩ましい。

田辺は京成杯AHのリピート・ジョッキーだ。
ここ5年ずっといい成績だ。

12年 スマイルジャック 6人気2着
13年 ゴットフリート  7人気3着
14年 クラレント    2人気1着
15年 フラアンジェリコ 13人気1着
16年 クラリティスカイ 9人気4着

人気よりすべて上の着順。っていうかほぼほぼ馬券圏内。人気馬でも人気薄でも勝っている。クラレントはここを1着して、サマーシリーズのチャンピオンになった。導いてもいる。

田辺ならば1人気でも1着させるのではないか? そう思わせる実績だ。

1人気の苦戦っぷりを重大視するか、田辺の好走っぷりに敬意を表すか。

こういう場合の答えは決まっている。基本的に自分は1人気を◎にはしない。でも相手として田辺をナイガシロにもしたくない。つまり◯だ。3連複の相方としてリスペクトする。うむ、これだ!

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京成杯AH 注目馬
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基本的には差し有利だと思うけれど、馬場を見るまでは決めつけたくない。
だから以下のような体勢でリラックスしておき、土曜の競馬などを見て、比重をどちらに置くか決めたい。

差しチーム
ウキヨノカゼ   予想8人気
トーセンデューク 予想14人気
ダノンプラチナ  予想2人気

真ん中チーム
グランシルク   予想1人気

逃げ先行チーム
マルターズアポジー予想3人気
マイネルアウラート予想9人気
ウインフルブルーム予想10人気
ボンセルヴィーソ 予想4人気

前々走6番手、前走8番手で競馬をして2着したグランシルクが真ん中を追走できれば、前に傾いても、後ろに傾いても対応できるのではないか? うむ、相方としてちょーどいい。

人気のない馬が絡んでくれるといいな。


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セントウルS 注目馬
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ファインニードル
プレイズエターナル

ファインニードルは昇級して、2、3戦して1着するタイプで、前走の北九州記念は、前々走1600万からの挑戦、しかも1人気で、少々ツラかったのかもしれない。前走がちゃんと「肥やし」になっていれば、今回は勝ち負けしてくれるのではないか?

しかも今回はフィドゥーシアが1人気になってくれそうで、そこもいい。

そもそもセントウルSは、スプリンターズSで1、2人気になりそうな馬がここでも人気になって、少し取りこぼすレース。

今年の1人気は予想ではフィドゥーシア。この馬はここで2着か3着に取りこぼしてもスプリンターズSで1、2人気になるのだろうか? 1着したら人気になるかもしれないけれど、2、3着では違うような気がする。

だとしたら、例年の1人気とは別のイメージでいいのではないか。つまり1着するかもしれないし、しないかもしれない。そんなの。
そして、それはメラグラーナにも言えそう。

だから2頭をナイガシロにはしにくい。だからプレイズエターナルのような人気薄が絡んでくれると嬉しい。

プレイズエターナルは展開に左右される馬だけど、今回はデビュー2戦目〜5戦目に騎乗していた初期メンの池添が乗る。なんか狙いがあっての復刻騎乗と思い込みたい。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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