■スプリンターズS(G1・中山芝1200m)フルゲート16頭/登録23頭
【特注データ】〜レースデータより〜 スプリンターズSの特注データとして取りあげるのは、騎乗パターン──つまり、乗り替わりの有無だ。一昔前に比べて、乗り替わりが割引材料にならないケースが増えているのは事実だが、このレースにおける継続騎乗組の強さは、圧倒的といっても過言ではないほど。乗り替わりは大幅マイナスである。
継続騎乗組が[8-9-5-66]で連対率19.3%であるのに対して、乗り替わり組は[1-0-4-49]で同1.9%と、その差はなんと10倍以上。しかも、唯一の1着馬であるアストンマーチャンが勝ったのは2007年と、10年も前の話だ。人気別に見ても、やはり継続騎乗組のほうが期待できるのは間違いなし。昨年のソルヴェイグのように、乗り替わりの人気薄が3着に激走するケースもあるが、積極的には買いづらい。
好成績な継続騎乗組を「ふるい」にかけるなら、前走での4コーナー通過順位に注目。スプリントG1らしく、これが10番手以下だった馬は一気に信頼度が低くなる。逆に猛烈な強さを見せているのが、前走4コーナーを「1〜3番手」で通過していた先行勢と、「7〜9番手」で通過していた差し馬。これに該当しそうなのは、先行していた組では
セイウンコウセイ、
ダイアナヘイロー、
ワンスインナムーン。差していた組では、
スノードラゴン、
ダンスディレクター、
ラインミーティアだ。
【コース総論】中山芝1200m Cコース使用
・コースの要所!
★人気サイドの信頼度はイマイチ。7〜9番人気や10〜12番人気がアツい。
★内外による成績差が意外に小さいコースだが、馬番9〜12番はプラス。
★先行勢が圧倒的に強いコース。差しも決まるが予想の軸足は先行馬に。
2コーナーを回りきって、外回りの向こう正面に入ったあたりがスタート地点。そこから直線に入るまで、延々と下り坂が続くという特徴的なコース形態である。当然ながらテンの3ハロンは非常に速く、馬場によっては32秒台となることも。序盤から厳しい流れを追走できるスピードと、最後までバテずに伸びる持久力が要求される、かなりタフなコースである。
また、展開の紛れが多いのも中山芝1200mの特徴。1番人気は勝率や連対率は及第点も、複勝率は48.1%と平均値を大きく割り込んでいる。全体的に人気サイドをアテにしづらい面があるようで、ここは穴馬を積極的に狙ったほうが面白いはず。具体的には、7〜9番人気や10〜12番人気を2〜3着で狙うスタンスをオススメする。
中山芝なので枠番の内外でかなり成績差が出る──と読んでいたが、こちらは空振り。枠番の内外による成績差は、意外なほど小さなものだった。注目すべき馬番を挙げるならば、信頼度、回収率、枠番値のすべてが優秀である馬番9〜12番。中山の路盤改修以降、差しが決まりやすくなっているのもコレに影響していると思われる。
最後に脚質面。路盤改修以降は差し馬の活躍が目立つようになったが、トータルで見るとやはり、芝1200mでは先行勢のほうが強い。上がり最速〜2位馬の勝率が13%前後しかないというのが、レースの流れが「ちゃんとしたスプリント戦」であることの証明だ。序盤〜中盤の流れや出走馬の組み合わせ次第ではあるが、意識すべきは「前」で間違いなし。好位追走から早め先頭で押し切るのが理想形である。
【レース総論】スプリンターズS(G1) 中山過去9回
・レースの要所!
★3番人気以内[7-7-0-13]と高信頼度。7〜9番人気の3着が非常に多い。
★コースデータと違い外枠が好成績。中団から差す馬の外枠は要注意。
★逃げた馬が[3-3-0-3]と絶好調。基本的にはやはり先行勢が優勢か。
★年齢別では完全に5歳以下馬が優勢。牝馬や関西馬の強さも目立つ。
昨年は、1番人気のビッグアーサーが12着に大敗したスプリンターズS。レースの平均配当は、単勝907円、馬連4221円、3連複1万9581円である。1番人気の信頼度がやや低めなので、単勝平均はもっと高いと予測していたが、2〜3番人気の踏ん張りもあってこの数値に落ち着いている。トータルで見ると、人気サイドはコースデータよりも信頼できるといえそうだ。
面白いのが、過去10年の3着馬がすべて「5番人気以下」であること。そして、7〜9番人気が[0-1-6-20]で複勝率25.9%と、3着にきまくっているのである。このゾーンが強いというのは、コースデータの傾向にも合致。人気薄を狙うなら、今年もここは絶対にチェックしておきたい。ちなみにnetkeiba.comでの予想オッズでは、水曜日の時点でレッツゴードンキ、ファインニードル、ラインミーティアが7〜9番人気だ。
次に枠番だが、外枠である馬番13〜16番の信頼度がずば抜けて高いという、コースデータとは大幅に異なる結果に。もっとも、平均人気も7.4と高いので、ある程度は好成績であって当然ではある。コースデータで好成績だった馬番9〜12番は大不振だが、こちらも平均人気の10.0という低さが背景にある。いささか偏りが大きい印象なので、枠番に関してはコースデータを信頼すべきだろう。
脚質面で目立っているのは、4コーナーを先頭で通過した逃げ馬の強さだ。[3-3-0-3]で連対率66.7%と、芝G1とは思えないほどの強さを誇っている。さすがはスプリント界の頂上決戦で、4コーナー11番手以下から追い込んでの連対例もゼロ。ある程度は前の位置にいなければ、勝ち負けに持ち込めないレースである。
もし中団から差す馬を狙うなら、その場合は枠番を絡めて考えるべき。馬番×脚質データをご覧の通り、先行勢は内外を問わず強いが、差し馬は外に入った馬のほうが格段に活躍している。前述したように「人気馬だから」という側面もあるが、「内×差し」の信頼度が連対率6.1%、複勝率12.1%に過ぎないのを考えると、外を引いた差し馬のほうがベターである可能性が高い。
次に年齢別だが、これはハッキリと5歳以下馬が優勢。なかでも注目したいのが、[3-2-3-12]で連対率25.0%、複勝率40.0%をマークしている4歳馬だ。それに次ぐ存在が12回の馬券絡みがある5歳馬で、6歳以上になると信頼度が大幅にダウン。鞍上の乗り替わりなどマイナス材料がある場合は、スパッと「消し」で勝負したい。
そして最後に、オマケ的な小ネタを紹介しよう。スプリンターズSは異様に「3月生まれ」が強いレースで、なんと過去10年で馬券に絡んだ馬の過半数を占めている。あとは、レースキャリア11〜20戦の馬が圧倒的に強いのも、覚えておいて損はなさそうなデータ。この両方をクリアする「小ネタ注目馬」は、シュウジ、セイウンコウセイ、ビッグアーサーの3頭である。
【馬場&血統総論】 ・現在の馬場
引き続きCコース。先週は土日ともに先行勢が強かった印象を受ける。
・天候予測
木曜日に降雨があるも週末には天候回復。良馬場前提で問題なし。
・注目血統
アドマイヤムーン産駒◎、キンシャサノキセキ産駒○、スウェプトオーヴァーボード産駒▲
4回中山開催は4週目に突入。エアレーションなどの影響で開幕週から外差しが決まるか──と身構えていたところ、内&前が強いごくフツーの開幕週で拍子抜けした記憶がある。その後も傾向は大きく変わらず、先週も中山芝は内の先行勢が強いままだった。となれば今週も、おそらく劇的な変化はないはずだ。
血統面は、アドマイヤムーンなど3種牡馬の産駒をプラスに評価。サンデー系の種牡馬で、上位に食い込んだのがキンシャサノキセキしかいないあたりに、いかにもスプリント戦らしさを感じる。注目はやはり、セイウンコウセイとファインニードルと有力馬2頭を送り込むアドマイヤムーン産駒。コース適性の高さは文句なしだ。
★出走登録馬・総論×各論 春のスプリント王であるセイウンコウセイに、昨年の覇者であるレッドファルクス。さらにダンスディレクター、メラグラーナ、ファインニードル、そしてビッグアーサーなど、スプリント界のトップクラスが一堂に会する今年のスプリンターズS。香港からブリザードも参戦と、秋のG1シリーズ開幕を告げるにふさわしい素晴らしいメンバーとなった。
netkeiba.comでの予想オッズは、水曜日の時点でレッドファルクスが断然の1番人気。メラグラーナ、セイウンコウセイ、ダイアナヘイロー、ビッグアーサーと続くが、2番手グループは大混戦である。実際にこのような人気になった場合、レッドファルクスの着順次第では、かなりの高配当が出現する可能性もありそうだ。
当データ分析のトップ評価は、
セイウンコウセイ。前走の函館スプリントSでは人気を裏切ったが、超ハイペースを追いかけた影響も大きかったはず。それで4着に踏みとどまったあたり、やはり力がある。冒頭の「特注データ」該当馬であり、その他も血統から脚質、小ネタに至るまでプラス評価のオンパレード。ファンの期待に応えてくれそうだ。
二番手評価に、前走で初重賞制覇の
ダイアナヘイロー。北九州記念からのローテでアストンマーチャン、スリープレスナイトと2頭の勝ち馬が出ており、しかもいずれも牝馬。先行脚質であるのも同じで、オーバーラップする部分が何かと多い。4連勝で重賞を制した勢いそのままに、ここでもその快速ぶりを見せてくれそうである。
三番手評価に、ド人気薄となりそうな
ワンスインナムーンを抜擢。春の高松宮記念で16着に惨敗しているが、立て直されて夏競馬で2連勝と、再び勢いに乗ってきた。プロフィル面でプラス評価となった項目は、セイウンコウセイとタメを張れるほどの多さ。波乱の立役者になれるだけのポテンシャルを十分に秘めた1頭といえる。
四番手評価に、セントウルSで3着に好走している
ダンスディレクター。7歳と高齢である点などマイナス材料もあるが、前走からも地力上位の存在であるのは事実で、侮りがたい1頭といえる。中団からキレのある末脚を繰り出せるので、枠番は内ではなく、ぜひ外を引き当ててもらいたいところ。順調にトライアルを叩かれているのも強みだ。
以下は、レッドファルクス、シュウジ、メラグラーナ、ラインミーティア、レッツゴードンキ、フィドゥーシアという評価の序列。これが今年の国内初出走となるビッグアーサーは、ポン駆けするタイプとはいえ、相応の割引は必要だ。あとは、モンドキャンノやファインニードルもプラス材料が少なく、過信は禁物である。
■総論×各論・先週の馬券回顧
阪神11レース 神戸新聞杯(G2)
1着 08レイデオロ
2着 05キセキ
3着 02サトノアーサー
自業自得とはいえ(#^ω^)ビキビキというわけで、やっぱり今年も堅かった神戸新聞杯。そして、フツーの流れでもやっぱり強かったレイデオロ。これなら菊花賞に出ても勝ち負けになりそうなものですが、次走はジャパンCのようで。菊花賞がとんでもない混戦模様になりそうなので、それはそれで楽しみ。よし、そこで一気に取り返そう!(泥沼)
※コース&血統データは2014年以降、レースデータは2007年以降が集計対象です。
※枠番値は、当該枠番における「平均人気-平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。
【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!