東出昌大さんとの対談、第2回目のテーマは「コンプレックスとの向き合い方」。10代でモデルデビューし、パリコレにも出演。現在は役者として活躍する東出さんにも、人知れず悩むことはあると言います。一方の福永騎手も、“天才の息子”というプレッシャーがデビューから絶えずついてまわっていました。演技も騎乗も明確な正解がない世界。それぞれコンプレックスとどう向き合って、越えて来たのでしょうか。(構成:不破由妃子)
(前回のつづき)
「自分の話を聞いているようでゾクッとした」
福永 モデル時代は、まさか役者になるとは思っていなかったとのことだけど、今こうして俳優さんとして活躍されているということは、演技の世界に興味を持つきっかけが何かあったということだよね。
東出 『桐島〜』が終わったあとに、「映画に出ることは、仕事の幅を広げるきっかけになるよ」というようなことを示唆されて、それならもうちょっと続けてみようかなと。ただ、自信もなかったし、5年経った今、まさか続けていられるとは当時はまったく思ってなかったです。
福永 「俳優に向いてるよ」とか、誰かに言われたりしたことは? そういう言葉がきっかけになることもあるよね。
東出 いえ、誰にも言われなかったです。『桐島〜』が完成する前に今の事務所が声を掛けてくれたんですけど、それも『桐島〜』のオーディション会場で偶然僕を見かけたらしく、そのあと「あの子、受かったらしいよ」という噂を耳にして「ウチにこない?」と。それでモデル事務所から移籍したんですけど、事務所のワークショップ(俳優を目指す人のための実践的講座)に参加した僕を見て、「『こんなにできないのか…』と愕然とした」と社長が言ってました(苦笑)。それくらいダメだったんです。
福永 そうなんだ。じゃあ、わりとコンプレックスを持ちながら続けてるの?
東出 いまだにそうですね。コンプレックスというか、得意不得意でいったら不得意なことのほうが多いですから。踊れないし、歌えないし、身長(189cm)もデカすぎるし…とか。
福永 背が大きすぎたらダメなの?