◆少ない開催日数で全国リーディングを争うというのは、まさに“あっぱれ”
今年も残すところ2週間とちょっと。この時期になると気になるのが、NARグランプリ各賞のゆくえだ。
年度代表馬は、2013年のハッピースプリント以来、GI/JpnIタイトル・レベルでの争いとなる。3歳以上のGI/JpnIタイトルとなると、2011年のフリオーソ以来ということになる。
年度代表馬は、ジャパンダートダービーのヒガシウィルウィンか、JBCレディスクラシックのララベルか。ヒガシウィルウィンにはJpnIIの浦和記念2着もあり、東京大賞典の結果もかかわってくる。またグレードではないが東京ダービーのタイトルもある。一方のララベルはほかに勝ち星はないが、JpnIIIでの2着が2回ある。ララベルのほうがやや不利にも思えるが、JBCを勝った地方馬は17年の歴史でフジノウェーブに次いで史上2頭目。地方競馬においてJBCは他のGI/JpnIよりワンランク上と評価する選定委員もいるかもしれない。
東京大賞典でヒガシウィルウィン以外の地方馬が勝たなければ、どちらかが年度代表馬となることはおそらく間違いない。一方で、どちらかには“JpnIを勝っているのに年度代表馬になれなかった”という結果も確実に待っている。我々ファンにとっては、「年度代表馬はどっちだろう?」と、ある意味、無責任な議論をしながらわくわくして待っていればよいが、関係者にとっては心中穏やかではないだろう。
“人”の部門では、ひとまず12月11日現在の成績で見ていく。騎手の全国リーディングでは、254勝を挙げている下原理騎手(兵庫)が2位の田中学騎手(兵庫・235勝)に19勝差をつけているので、このまま逃げ切りそうだ。勝率では32.4%の山口勲騎手(佐賀)がダントツ。収得賞金では、森泰斗騎手(船橋)と矢野貴之騎手(大井)が6億9千万円台で接戦となっており、南関東は大晦日まで重賞があるので最終日までもつれそうだ。
そして大接戦となっているのが、調教師の全国リーディング争いだ。今回はこれを取り上げておきたいがために、NARグランプリのネタにした。毎度のことながら前置きが長くて申し訳ない。
12月11日現在、角田輝也調教師(愛知)202勝、金田一昌調教師(金沢)201勝、雑賀正光調教師(高知)193勝という争いとなっている。12月12日を含めて残された開催日数は、金沢5日、名古屋7日、高知8日となっているから、雑賀調教師にも逆転の可能性がある。さらに角田調教師には笠松開催も含めれば東海地区は12日間も開催が残されているので、条件的にはもっとも有利といえるかもしれない。思えば2015年、12月に入ったところでは雑賀調教師がリードしていたが、角田調教師は12月だけで28勝を挙げる固め勝ちで、雑賀調教師をわずか4勝上回る235勝で逆転1位となったことがある。
前述のとおり、東海地区では一部の条件を除いて名古屋・笠松双方のレースに出走できるが、高知の開催は今年108日間、冬期の開催がない金沢はさらに少なく82日間。その開催日数で全国リーディングを争うというのは、まさに“あっぱれ”。ちなみに2015年以降、トップ3の顔ぶれはこの3名が順位を入替えているだけで変わっていない。
勝率では、川西毅調教師(愛知・29.6%)、新子雅司調教師(兵庫・27.4%)による2人の争い。収得賞金では小久保智調教師(浦和)が2位にダブルスコア近い数字をつけてダントツとなっている。
なおNARグランプリの表彰では、中央での成績も含めての評価となり、制裁など欠格事項に該当する場合、最高の数字を残しても表彰対象とはならない場合があるので、念のため。