ディープインパクト×Storm Catのニックスから誕生したダノンカイザー
●ダノンカイザー(牡 栗東・安田隆行 父ディープインパクト、母ゼラスキャット)
セレクトセール1歳で落札価格1億6000万円。母ゼラスキャットは米5戦1勝と平凡な成績ながら、繁殖牝馬としてフロリダオークス(米G3・芝8.5f)を勝ったTapicat(父Tapit)を出した。本馬はその半弟。「ディープインパクト×Storm Cat」はキズナ、エイシンヒカリ、リアルスティール、サトノアラジン、ラキシスといったGIウィナーが誕生している有名なニックス。この組み合わせは母方の奥に重厚なヨーロッパ血脈、とくにHyperion-AlibhaiやSon-in-Lawといったイギリス血統をどう取り入れるかが重要となってくる。本馬は「Hyperion+Son-in-Law」のSwapsがサポートしているので高く評価できる。2代母の父Alydar、3代母の父No Robberyはさほど切れるタイプではないので、サトノアラジンのような末脚勝負型ではなくエイシンヒカリのようにスピードの持続力を武器とするかもしれない。芝向きの中距離タイプ。
●トラベリング(牡 栗東・高橋亮 父ゴールドアリュール、母シークレットジプシー)
母シークレットジプシーは現役時代、ディスタフH(米G2・ダ6f)など3つの重賞を制したスプリンター。近い世代にStorm CatとRahyを抱えているので名種牡馬Giant's Causewayと配合構成がよく似ている。3/4姉レッドアルカナはディープインパクト産駒ながらダートで勝ち上がったように、母は芝向きの素軽さではなく主にダート向きのパワーを伝えている。父がゴールドアリュールに替わった本馬はダート専用馬として才能を伸ばしていくはずだ。Storm Cat、Mr.Prospector、Blushing Groomといった活力旺盛な血を抱え、1600〜1800mのレンジで手堅く活躍できそう。
●パクスディオラム(牡 栗東・河内洋 父ロードカナロア、母オメガクリスマス)
母オメガクリスマスは現役時代、芝1400mで2勝を挙げた。近親にオークス馬エリンコート、毎日杯(GIII)を勝ったミュゼエイリアンがいる。3代母エリンバードは伊1000ギニー(G2)の勝ち馬で、ブリーダーズCディスタフ(米G1)では4着と健闘した。同じくエリンバード牝系から出たロードカナロア産駒には現2戦1勝のオメガラヴィサンがいる。同馬は昨年暮れの阪神芝1600mの未勝利戦を勝ち上がった。母の父にフレンチデピュティ-クロフネのラインを持つロードカナロア産駒は芝コースで連対率50%(22戦11連対)と走っており、アンヴァルが福島2歳S(OP)を勝っている。芝向きのマイラー。
●リッキー(牡 栗東・吉村圭司 父ルーラーシップ、母ブルームーンピサ)
母ブルームーンピサは現役時代、芝短距離を得意とし準OPまで出世した。「クロフネ×サンデーサイレンス」の繁殖牝馬は連対率20.9%、1走あたりの賞金額150万円と優れている。ハービンジャー、シンボリクリスエス、タニノギムレット、ワークフォース、ジャングルポケット、メイショウサムソンといったややスタミナ寄りの種牡馬とも好相性を示しているのが特徴だ。同様のタイプであるルーラーシップとも結果を出しており、新馬-特別を連勝したあと阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)で2着となったリリーノーブルを出している。距離が延びて良さそうなタイプなのでオークスあたりで楽しみだ。本馬はリリーノーブルと同じく「ルーラーシップ×クロフネ×サンデーサイレンス」という組み合わせで、8分の7まで血統構成が同じ。2000m以上の芝で楽しみな馬だ。
●レッドレネット(牝 栗東・須貝尚介 父キングカメハメハ、母プリンセスルシータ)
母プリンセスルシータはメイショウドトウ(宝塚記念など5つの重賞を制覇)の半妹にあたる良血で、現役時代はスプリント路線に進んでシルクロードS(GIII)で6着という成績がある。「サンデーサイレンス×Affirmed」はサイレントハピネス(重賞2勝)とスティンガー(2歳牝馬チャンピオン)姉妹と同じ。本馬と同じ「キングカメハメハ×サンデーサイレンス」の組み合わせは、ドゥラメンテ、ローズキングダム、ベルシャザール、トゥザグローリーなど多くの活躍馬が出ている。さらに、「キングカメハメハ+サンデーサイレンス+Nijinsky」は、ラブリーデイ、リオンディーズといった大物が出ている。血統表だけを見れば芝向きの中距離タイプだが、母の適性を考慮するとマイル前後で活躍すると思われる。