圧倒的な支持を集めそうな馬は不在で波乱も?
今年最初のJpnIレース『第67回川崎記念』が1月31日(水)、川崎競馬場で行われます。過去10年で1番人気馬が8勝2着2回と本命サイドの決着が多いレースですが、昨年は1着が5番人気オールブラッシュ、2着1番人気サウンドトゥルー、3着6番人気コスモカナディアンの決着で3連単は7万890円と高配当。また例年1、2着争いをする1番人気馬のほとんどが単勝1倍台に推された存在だったことにも注目。
今年もGI・JpnIホースが5頭と好メンバーが揃いましたが、3連覇を達成したホッコータルマエ(2014、2015、2016年)のように圧倒的な支持を集めそうな馬は不在。人気も割れそうで、波乱も予想されます。
3連勝で久々のJpnI制覇なるか、ディアドムス
そこで最初に挙げるのはディアドムス。2014年の全日本2歳優駿を制した2歳ダートチャンピオンですが、3、4歳時は勝つことができず低迷。昨年1月アレキサンドライトS(中山・1600万下・ダート1800m)で2年1か月ぶりに勝利するもその後は結果を出せず、大井・森下淳平厩舎に移籍しました。
大井所属となって2戦目・埼玉新聞栄冠賞でカンムルのハナ差2着に健闘し復活の兆しを見せると、続く勝島王冠では4馬身差の圧勝。重賞勝利は全日本2歳優駿以来、実に2年11か月ぶりのこと。今回と同じ舞台、川崎2100mで行われた報知オールスターCではゴール前で手綱をおさえる余裕を見せ快勝。2連勝で完全復活をアピールしました。
昨年の覇者オールブラッシュが1000万下、1600万下の連勝から3連勝で川崎記念を制覇したように、今回のメンバーで最も勢いのある馬と言っていいでしょう。前走のレース後に岡部誠騎手が「復活というより成長している」と語ったディアドムス。かつて全日本2歳優駿を制した川崎で、久々のJpnI制覇なるか、に期待したいと思います。
久々のJpnI制覇なるか、ディアドムス(写真は18年報知オールスターC優勝時、撮影:武田明彦)
“3度目の正直”となるかサウンドトゥルー
JRA勢はサウンドトゥルー、アウォーディー、ケイティブレイブが三つ巴の人気になりそう。3頭のうちどの馬が1番人気に推されるかにも注目。
その中でも筆頭はベテランのサウンドトゥルー。今年で8歳になる同馬は長い間ダートグレード戦線を引っ張ってきた1頭で、コパノリッキーが引退した今年は主役の座に就きたいところ。川崎記念は2年連続2着。2016年はホッコータルマエのアタマ差。昨年は逃げたオールブラッシュに3馬身届かず2着。追い込み一手の脚質ゆえ悔しい思いをすることも多いとはいえ、昨年はJBCクラシックで古豪健在を見せつけているだけに実力上位は間違いなく、3度目の正直でぜひ欲しいタイトルです。
“3度目の正直”となるかサウンドトゥルー(写真は17年JBCクラシック優勝時、撮影:高橋正和)
もう1頭の8歳馬はアウォーディー。5歳秋にダートに転向後、6連勝でJBCクラシックを制覇。1年以上勝ち星から遠ざかっていますが、勝ったJBCクラシックは今回と同じ川崎の2100m。相性のいい舞台で本来の力を発揮する可能性は十分。
相性のいい舞台で本来の力を発揮する可能性は十分あるアウォーディー(写真は16年JBCクラシック優勝時、撮影:高橋正和)
5歳の充実期を迎えたケイティブレイブは昨年2番人気で5着。その後3月の名古屋大賞典を制覇、さらに6月の帝王賞も勝利しJpnI制覇を達成しました。その後もGI・JpnI戦線で常に上位争い。メンバー的に前に行きそうな今回、こちらも目が離せない1頭です。
展開的にも目が離せないケイティブレイブ(写真は17年帝王賞優勝時、撮影:高橋正和)
アポロケンタッキーも2016年東京大賞典を制したGIホース。昨年9月の日本テレビ盃ではサウンドトゥルーを破り1着。前走・東京大賞典はチャンピオンズC取り消し後の一戦で馬体重プラス9kg、572kgはデビュー以来最高体重。それでも後方から直線で追い込んで4着に健闘。川崎コースは初めてですが、内田博幸騎手のエスコートで2個目のGI・JpnIタイトルを狙います。
内田博幸騎手のエスコートで2個目のGI・JpnIタイトルを狙うアポロケンタッキー(写真は16年東京大賞典優勝時、撮影:高橋正和)
メイショウスミトモは昨年9月のシリウスSで重賞初制覇。続くチャンピオンズCは14着でしたが、前走・名古屋グランプリで重賞2勝目を挙げました。こちらも川崎コースは初めてですが、鞍上はテイエムジンソクとのコンビで注目を集めている古川吉洋騎手。ダート戦線で勢いのあるジョッキーの手綱捌きにも注目です。
グレンツェントは3歳時・2016年のレパードSでケイティブレイブを破り1着。続く同年のみやこSでは古馬に混じってアポロケンタッキーの2着に健闘した素質馬。東海S優勝後は成績がいまひとつ振るいませんが、昨年のJBCクラシック(5着)以来2度目となる森泰斗騎手とのコンビで上位争いを狙います。
川崎の2100m戦はコース適性も重要。ディアドムスが2011年フリオーソ以来7年ぶりの地方馬による勝利を挙げるのか? サウンドトゥルー、アウォーディー、ケイティブレイブ、アポロケンタッキーがGI・JpnIホースの意地を見せるのか? それとも新星の台頭なるか? 例年以上に混戦が予想される真冬の頂上決戦、寒さを吹き飛ばす熱い戦いから目が離せません。
※次回の更新は2月5日(月)18時。翌日に佐賀競馬場で行われる「佐賀記念」のコラムをお届けします。
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中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。