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【大阪杯】スピードを抑えずに折り合いを付ける技術「動くだけなら誰でもできる。大事なのは…」

  • 2018年04月05日(木) 18時02分
哲三の眼

▲“動いて勝ち切る騎乗”を実現できる騎手の特徴は? (c)netkeiba.com


GI昇格2年目となった大阪杯を制したのはスワーヴリチャード×M.デムーロ騎手のコンビ。多くのファンが道中の思い切った仕掛けに注目する中、哲三氏の目を引いたのは迷わず動いた決断自体ではなく、そのあとの対処。昨年の日本ダービーでルメール騎手が見せたレースにも似た“動いて勝ち切る騎乗”。それを実現できる騎手の明確な特徴とは?(構成:不破由妃子)

スピードを落として修正するか、維持したまま修正するか


 大阪杯では、ミルコに導かれたスワ―ヴリチャードがGI初制覇を飾りました。ミルコの良さを語り出すといつも長くなってしまうのですが…、今回も間違いなく彼のファインプレーです。

 彼のすごさを端的にいえば、「やりたいことをやれること」。今回は1番人気を背負いながら、後方から先頭近くまで一気にポジションを上げたわけですが、決して内ラチ沿いがほしくて動いたわけではなく、彼にしてみれば、おそらく単純に勝ちたいから動いただけのはず。動くだけなら誰でもできるんです。大事なのは、動いたあとにどう対処をするかで、クリストフのダービー(レイデオロ)もそうでしたが、動いたあとのペースを整えるタイミングといい、扶助操作の出し方といい、本当にミルコらしいファインプレーでした。

 とはいえ、今回のような騎乗ができたのも、有馬記念と金鯱賞の経験をしっかり生かしたからこそ。その点もファインプレーですね。スワ―ヴリチャードはすごく走る馬ですから、おそらくミルコは「どうやったら御せるか」よりも、「どうやったらもっと速く走らせることができるか」をずっと考えていたと思います。そういうところがミルコの良さであり、先行した金鯱賞の時点で馬が譲るというか、ミルコに委ねて従うような関係性が見て取れました。

■4月1日 大阪杯(15番:スワ―ヴリチャード)

 では、なぜそういった騎乗が可能なのか。それはひとえに

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1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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