一月いっぱいで騎手免許を返上し、人生の新たなスタートを切った岩手競馬の元騎手・鈴木麻優さん。持ち前の明るいキャラクターで、今後の活躍にも期待!
岩手競馬の元騎手で、1月31日に引退することを表明した鈴木麻優さん。すでに評論家・予想家として精力的に活動中で、「ウマい馬券」での予想をはじめ、テレビの出演や講演会への出席など引く手あまたの多忙な毎日を送っている。そんな彼女の引退セレモニー・引退記念レースが行われた3月25日の水沢競馬場。わずかな時間を縫って、編集部のインタビューに応じてくれた。引退セレモニーでは「明るいキャラクターで、ファンに愛された」と紹介されていたが、その通りに人を惹き付ける彼女の魅力を強く感じさせてくれた取材となった。たくさんの人に予想を見てほしい
「あれはマジでイチオシです!」
鈴木麻優さんがそう明るい声を上げたのは、新馬戦で14番人気の馬(ヤマニンウリエル)に◎を打ち、複勝一点で会心の的中となった話になったときだった。
「新馬戦ってデータとかも少ないし、ファンの皆さんもよくわからないじゃないですか?だから『調教で格上に食らいついていた』とか『体をしなやかに使えているな』とか、そういうところを見て予想しています。それから、この新馬戦の本命馬はお姉さん(ヤマニンレガリーノ)に乗ったこともあって、すごく素直でゲートが上手な馬だったのも知っていたので、混戦ということもあり◎を打ちました」
予想家デビューが決まった際には「周囲から『ホントに当たるのかよ』って言われて(笑)」と、からかわれたという鈴木麻優さん。今ではこういった引退後の活動も「すっかり板についています!」と自画自賛できるほどになった。
そんな予想家としての活動からも、彼女が愛されている理由がよくわかる。引退セレモニーのスピーチでも感じたが、その言葉の端々にファンを大事にしたいという気持ちが見て取れる。
「やっぱり予想を公開するならできるだけたくさんの人に見てほしいですし、スケジュールがきついときでも朝の早い時間に予想を組み立てて、なるべく早く入稿するようにしています。(自身のツイッターでも)的中したときはファンの方も一緒に沸いてくれます。皆さんとても暖かくて、うれしいですよね」
基軸となるのは「展開予想」だが、その予想の切り口は多彩で、とくにポイントとなるのが「元騎手としての視点」だ。以前の取材でも使っていた言葉だが、確かに彼女の予想には、正に“元騎手ならでは”の視点がふんだんに盛り込まれている。
「予想として伝えるのは難しいんですけど、例えばハミなどの装具。元ジョッキーなので、パドックでもどうしてもそういうところを見ちゃいますね」
彼女のこれまでの予想を眺めていると、「“それっぽい”ですよね?」と可愛らしく笑い、取材陣を和ませてくれた。
引退式でのひとコマ。デビュー当時からずっと応援してきたファン代表の子から花束を贈られ、思わず感極まるシーンも。
元騎手だからできる柔軟な予想
今週末に中山競馬場で行われるGI・皐月賞。あくまで取材時点での、ということにはなるが、元騎手としての視点、予想理論で弥生賞やスプリングSなどの前哨戦を見てもらい、ダノンプレミアムがいなくなった影響や、1冠目に臨む各馬のレースぶりを診断してもらった。彼女はどのように予想を検討しているのか。その思考をほんの少し、見ることができた。「正直、ダノンプレミアムに関しては“ちょっとこの馬以外には考えられない”といった感じですね。弥生賞でも少し行きたがっているなかであの勝ちっぷりですし、距離が伸びるダービーも含めて負かせる馬はいないと思います」
取材当初はこう語っていた鈴木麻優さんだったが、一転、大本命のダノンプレミアムが回避。そこで急遽再度の取材をお願いしたところ、快く引き受けてくれた。ダノンプレミアムが回避したことで、ペースも落ち着き結果も変わってくるだろうという見立てだ。
「回避したことで、ダノンプレミアムがいた場合にマークして追いかけていく必要があった馬には有利に働くと思います。その意味で、スプリングSでも本命にしたエポカドーロはここでも良いと思います」
しかし、皐月賞で本命にしようと思っているのは別の馬だという。
「そのエポカドーロを差し切ったステルヴィオですね。走り方も良いですし、デビューからの馬体重の推移も理想的です。若い馬なので、夏にちょっと減らして、そこから少しずつ増やしてきているのがいいです。皐月賞で、またちょっとふっくらしてくれば“ちょうどいい”って感じだと思います。ワグネリアンも強いんですけど、それぞれダノンプレミアムと当たったレースを見てみると、こちらだと思います。今のところはこの馬が一番です」
そう解説してくれた鈴木麻優さん。予想の組み立てを心から楽しんでいる様子だ。そんな彼女の予想理論では、とくに3歳馬は“経験”が重要なファクターとなる。
「わたし、“経験”はめっちゃ大事派です!」
とのことで、基本的には重賞戦線で強い相手と戦ってきた馬が中心となる。それからもうひとつ、「コース適性はめちゃくちゃ重要ですよ!!」とも力説し、“コース適性”も重視されるポイント。
しかし、その基本から外れながらも、彼女が「おっ!」と反応せざるを得ない馬がいた。2月25日のすみれS(OP)を勝ってデビュー2戦2勝としたキタノコマンドールだ。
「中山競馬場の経験もないですし、重賞戦線や多頭数で走ったことはないんですけど、この瞬発力はすごいですね。別路線から選ぶんだったらこの馬です。揉まれた経験があるぶん、ステルヴィオのほうを上にとりますが、印を付けると思います」
キタノコマンドールが4コーナーで見せた瞬発力に、思わず反応してしまった。経験重視の原則に因われず、自分が見たものによって柔軟に判断できるのも元騎手ならではだろう。
さらにはこの視点で、鈴木麻優さんが選んだ人気薄激走候補も聞いてみたく思ったが、そこは「追い切り内容も見ているので、皐月賞でヒモに挙げる馬はそこを見てからにしようと思います」ということで、そこは週末に公開される予想を見てもらいたい。
「ちょっと最近、大きいのをあまり当てられてないんですけど、たくさんの人に見てもらえるように頑張ります! 回収率重視です!」
ダノンプレミアムの回避で一転、混戦となった皐月賞。まゆゆの注目はスプリングSを勝ったステルヴィオ。
鈴木麻優は『ウマい馬券』で予想を公開中!