▲西村「本当にこの顔でよかったなと思ってます」その真相とは!?
今回が西村騎手のインタビューの最終回。新人騎手にとって関係者やファンに顔を覚えてもらうことは、大事な仕事のひとつ。そこにはちょっと自信があるそうで…!「あばれる君と呼んでください!」とアピールしてきた結果、今やトレセンではほぼ「あばれる君」と呼ばれているんだとか。2勝目もマークし(5月4日現在)、プロの騎手として日々精進している西村騎手。最後は、「競馬で肝に銘じていること」「師匠への思い」を語ります。(取材:東奈緒美)
「瑠星先輩には何でも話せるんです」
東 ふたつ先輩の坂井瑠星騎手が、
netkeibaさんで「挑戦者」というコラムを連載されていて、以前、西村騎手について「明るくて誰からも好かれる性格で、昨年の北海道シリーズにも滞在し、多くの厩舎の調教に乗っていたことを覚えています」と書かれていました。ご覧になりましたか?
西村 読みました! そこに載っていた写真は、僕が瑠星先輩に送ったんです(笑)。
▲「同期の服部寿希騎手(上)と西村淳也騎手(下)」(提供:坂井瑠星騎手)
東 あ、そうだったんですね。瑠星騎手はどんな先輩ですか?
西村 本当に真面目で、馬乗りについて何を聞いても、全部教えてくれます。ご飯にも何度か連れて行ってもらいましたが、1年と3年で競馬学校が被っていたこともあって、瑠星先輩には何でも話せるんですよね。真面目で熱くて、本当にいい先輩です。
東 先輩とのエピソードが次から次へと出てきて、本当に愛されてますよね。
西村 いえいえ。あ、顔で得をしているところはあるかも…。
東 あばれる君! メディアでもよく、「あばれる君と呼んでください!」とおっしゃってますものね。
西村 はい。トレセンでは、ほぼ全員の方にそう呼ばれています(笑)。
東 たしかに、今日(取材場所に)入ってこられたとき、「あ、ホントにあばれる君だ!」と思いました(笑)。
西村 持って生まれた才能です(笑)。この顔のおかげで、厩舎の方たちにも親近感を持っていただけているようなので、今は本当にこの顔でよかったなと思ってます。ただ、逆に名前を覚えてもらえないんですが(苦笑)。
勝ちたいレースは桜花賞とダービー
東 あ、そういう弊害も(苦笑)。どんな先輩にも積極的に聞きに行き、いろいろなアドバイスをもらっているということですが、今までに受けたアドバイスのなかで、とくに肝に銘じていることは?
西村 基本的なことですが、「真っ直ぐに走らせろ」ということですね。「動くにしても、必ず確認してから動け」と。それは本当に肝に銘じています。
東 ということは、レース中もけっこう注意されたり?
西村 はい。「危ないぞ、危ないぞ」とか「(後ろに)おるおる!」とか、注意される場面がけっこうあります。あと、よく言われるのは、「ムチを使いすぎるな」ということですかね。道具に頼りすぎずに、できるだけハンドライドで追えと。
東 そうなんですね。それはなぜですか?
西村 鞭に頼っていると馬がフラフラしやすいというのが一番ですが、あとは「追える」という印象も大事ですからね。実際、上位のジョッキーは、ハンドライドでしっかり追ってきますし。
東 上を目指すためには、そういったアピールも大事ですものね。
西村 そうなのかなと思います。どこを一番見られているかといったら、やっぱり最後の直線だと思うので。今はそこでしっかりアピールできるようにしたいです。
東 師匠の田所秀孝先生はすごく優しい方というイメージがあるのですが、西村騎手にとってはどんな師匠ですか?
▲「師匠の田所秀孝先生はすごく優しい方というイメージがあります」
西村 本当に優しい先生です。まだ結果を出せていないのに、自厩舎の馬にたくさん乗せてくださって。
東 先生とはよくお話されるんですか?
西村 はい。競馬の話はもちろんですが、私生活の話も…。お金の使い方、言葉の使い方など、とにかく私生活はしっかりしておけと。僕、自分でもわかっているんですけど、すぐに調子に乗っちゃうんです(笑)。
東 そうなんですね(笑)。先生もそのあたりを見抜いて、厳しく指導されているのかも。
西村 本当にありがたいです。スタッフの方たちもみなさん穏やかで、すごく居心地がいい厩舎です。先生もあと3年で定年ですから、弟子として何とか恩返しをと思っています。
東 あと3年という期限を認識していると、気の持ちようも違ってきますよね。
西村 そうですね。今は一日も早く、自厩舎の馬で結果を残したいという気持ちが強いです。
東 では最後に、これからの目標と読者のみなさんにメッセージを。勝ちたいレースは、たしか桜花賞とダービーでしたよね。
西村 はい。桜花賞は地元での開催ですし、騎手になることを決めたきっかけにもなったレースなので。ダービーはやはり、12万人を超えるお客さんのなかで、騎手として一番輝ける舞台ですからね。いつかはそこで頂点に…という思いはあります。でも、今大事なのは、目先の1勝を積み重ねていくこと。前に行く競馬でしっかりアピールしながら早く3勝目を挙げられるように頑張りますので、応援よろしくお願いします!
(了)