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JRAの素質馬VS戦歴豊富な地方馬/関東オークス

  • 2018年06月12日(火) 18時00分


臨戦過程もさまざまで、力の比較が難しいメンバー


 6月13日(水)、川崎競馬場で行われる『第54回関東オークス(JpnII)』は2100mという長距離で争われる3歳牝馬によるダート女王決定戦。同時に南関東牝馬3冠戦線を締めくくる戦いでもある注目の一戦です。今年は浦和桜花賞を制したプロミストリープ、東京プリンセス賞を制したグラヴィオーラが不在。JRA勢も重賞ウイナー不在。ここまでの臨戦過程もさまざまで、現時点での力の比較が難しいメンバーが揃いました。

注目は伸びしろを感じるララプリムヴェール


 4頭のJRA勢で注目を集めそうなのはララプリムヴェール。3戦2勝【2-1-0-0】と戦歴は浅いですが、3戦ともダート1800mを使っているのは好材料。初勝利を挙げた2戦目(阪神・3歳未勝利戦)は先行して突き放しての勝利。出脚が悪く中段後方からの競馬になった前走(阪神・3歳500万下)は道中内々を回って、コーナーから外目に切り替えての差し切り。どんな競馬でもできそうな伸びしろを感じる走りで、距離延長にも対応できそう。クロフネ産駒は2007年ホワイトメロディー、2008年ユキチャン、2015年ホワイトフーガと3勝を挙げていて、このレースと相性抜群。川崎の2100mでどんな走りを見せてくれるか非常に楽しみです。

ララプリムヴェールはこのレースと相性抜群のクロフネ産駒(写真は18年3歳500万下優勝時、(c)netkeiba.com)


 JRA勢でいちばん実績があるメイショウヒサカタ。牡馬相手に昇竜S(中京・OP・ダート1400m)を勝利。初のダートグレード競走に挑んだ前走・兵庫チャンピオンシップでは5着。園田の1870mから今回さらに距離延長になる点は不安ですが、JRA勢で唯一の3勝馬、牝馬限定重賞なら上位争いを演じてくれるのでは。

JRA勢で唯一の3勝馬となるメイショウヒサカタ(写真は18年昇竜S優勝時、撮影:高橋正和)


 プリンセスノンコは新馬戦(東京・ダート1600m)で7馬身差の勝利を挙げると芝のオープン・アネモネSに挑戦(5着)。ダートに戻って1番人気に推された前走(東京・3歳500万下・ダート1600m)は先行勢に厳しいレースとなり、0.1秒差の2着と“負けて強し”の印象。3戦1勝馬ではありますが父オーブは2013年のケンタッキーダービー馬。スケールの大きな血統背景を武器に初めての舞台に臨みます。鞍上はデビュー戦を勝利に導いたC.ルメール騎手。ルメール騎手は昨年のクイーンマンボに続いて連覇を狙います。

昨年このレースを制しているルメール騎手とのコンビとなるプリンセスノンコ(写真は18年3歳新馬優勝時、撮影:下野雄規)


 ハービンマオはデビュー戦(東京・芝1800m)でブラストワンピースの5着。芝で3戦したのち、牡馬相手に4戦目のダート戦(中山・3歳未勝利・ダート1800m)で初勝利。前走(東京・3歳500万下・ダート2100m)は9着に敗れましたが、牝馬同士で改めて見直したい1頭。

牝馬同士で改めて見直したいハービンマオ(写真は18年3歳未勝利優勝時、撮影:下野雄規)


 関東オークスは地方勢も活躍するレース。過去5年の成績を見ると、2014年2着トーコーニーケ(兵庫)、2015年3着トーセンマリオン(浦和)、2016年2着ミスミランダー(船橋)、2017年3着ステップオブダンス(大井)と毎年のように上位争いに加わっており、地方馬の検討が大事です。

 今回の筆頭は大井のクレイジーアクセル。前走・東京湾Cではいつもの逃げの戦法。3、4コーナーを回って1番人気デイジーカーニバルに並びかけられるものの直線でもうひと伸び、後続を振り切っての勝利。見事な二の脚と勝負根性を見せてくれました。乗り難しいところがある馬で2歳時にはなかなか結果を出せませんでしたが、近走で手の内に入れた御神本訓史騎手とのコンビで3連勝を目指します。3枠3番からの逃げ切りに期待。

御神本訓史騎手とのコンビで3連勝を目指すクレイジーアクセル(写真は18年東京湾C優勝時、撮影:武田明彦)


 川崎のゴールドパテックも有力馬。地元川崎の生え抜きで、川崎の成績に限ると6戦4勝【4-0-1-1】。鎌倉記念でリコーワルサーの3着になったのちローレル賞で重賞初制覇。その後、東京2歳優駿牝馬、東京プリンセス賞でともに3着と南関東所属の牝馬では上位の力を持つ1頭。父ゴールドアリュール、母父ブライアンズタイムで距離延長も問題なさそう。川崎所属馬としては2005年のテンセイフジ以来の勝利を目指します。

2005年以来の川崎所属馬としての勝利を狙うゴールドパテック(写真は17年ローレル賞優勝時、撮影:武田明彦)


 さらに関東オークスは『グランダムジャパン2018・3歳シーズン』の最終戦でもあり、地方馬たちによるポイント争いにも注目。今回の出走メンバーでポイント上位馬は2位・北海道のエグジビッツ、3位・大井のアクアレジーナ、4位・佐賀のマイメン。現在1位は兵庫のレコパンハロウィー(今回は不出走)ですが、関東オークスの着順次第では逆転可能。またゴールドパテックも地方馬最先着で3着までに入れば逆転圏内にいて、こちらも大混戦模様(詳しいポイント制などについては地方競馬全国協会公式WEBサイトをご参照ください)。3歳シーズン優勝馬の行方にもご注目ください。

 関東オークスがダートグレード競走となった2000年(第36回)以降で地方馬が制したのは2005年テンセイフジ(川崎)、2006年チャームアスリープ(船橋)、2012年アスカリーブル(船橋)の3頭。今年は4頭目の地方馬による勝利なるか?それともJRAの素質馬が鮮やかに勝利を飾るのか?3歳ダート女王決定戦から目が離せません。

※次回の更新は6月26日(火)18時。翌日に大井競馬場で行われる「帝王賞」のコラムをお届けします。


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【ダートグレード競走とは】
中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。

埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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