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天候にも恵まれ、盛況に終わった北海道スプリントカップ

  • 2018年06月13日(水) 18時00分


生産地便り

盛況に終わった北海道スプリントカップ

大井との競合日でも、5億3984万円の売り上げを記録


 6月7日(木)、門別競馬場にて第22回北海道スプリントカップ(Jpn3、ダート1200m)が行なわれた。この日の門別は晴天微風、気温も15度〜16度とナイター競馬観戦にはちょうど良い気候に恵まれ、多くの観客が来場し、なかなか盛況であった。

 暖かくなってくる6月ともなれば、ようやく出走頭数が揃ってくる時期でもある。この日の門別は12レースが組まれ、メインのひとつ前10レースには、2歳オープンクラス(認定競走勝ち馬)10頭による「JRA認定ウイナーズチャレンジ1」(1着賞金200万円、1200m)が行なわれた。1頭出走取り消しとなり、9頭立てとなったが、いずれもこの春早々にデビューしたばかりの1勝馬が顔を揃え、興味深い一戦であった。

 このレースはラブミーリチャードが先行し、それをウワサノコウタロウが追う展開でレースが進んだが、3〜4コーナーにかけて外をエムティアンが楽な手ごたえでまくって行き、直線に向いてからも終始リードを保ったまま先頭でゴールイン。2戦2勝で、今後の重賞戦線にいち早く名乗りを上げることになった。

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エムティアンが楽な手ごたえで完勝

 エムティアンは父パドトロワ、母サンドハーブ(母の父エルハーブ)という血統の牝2歳馬。岩手の山本聡哉騎手が騎乗。山口竜一厩舎。馬主は(株)門別牧場、生産者は新ひだか町・漆原武男牧場。

 1馬身差の2着には7番人気ステッペンウルフ(山本咲希到騎手)、3着にはエアースピーダー(五十嵐冬樹騎手)が入った。

 この時期、生産地ではちょうど出産がほぼ終わり、種付けも一段落した頃で、このレースを制したエムティアンには多くの関係者が応援に駆けつけており、口取りは重賞並みの人数になった。これぞまさしく生産地ならではの光景で、普段からこれくらいの賑わいがあればと思う。

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口取りは重賞並みの人数に!

 さて、メインの北海道スプリントカップ。JRAから4頭、岩手1頭、高知からも2頭の参戦があり、フルゲートの16頭がエントリーしてきた。人気は2.6倍の中央馬テーオーヘリオスを筆頭に、昨年の覇者ニシケンモノノフ、岩手のラブバレットと続く。いつものように、馬券は中央馬から売れている。

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パドックの様子

 今年は中央馬2頭に地元ホッカイドウ競馬の騎手が乗ることになり、遠征してきている中央の騎手は浜中俊(テーオーヘリオス)、横山典弘(ニシケンモノノフ)だけであった。

 定刻通り午後8時にスタート。激しい先行争いからまずサトノプリンシバル、高知のコスタアレグレ、コパノマイケルと続く展開だが、差はない。その直後に、テーオーヘリオスとラブバレットが虎視眈々と先行3騎を射程に収めながら4コーナーを回る。

 岩手のラブバレット・山本聡哉騎手の手ごたえが良く、そのまま抜け出して先頭に立ったところで、すぐ内側から1番人気テーオーヘリオスが馬体を併せるようにラブバレットに接近してきた。外からは古豪スノードラゴンも必死に迫ってくる。ゴール前はこの3頭の叩き合いになり、最内のテーオーヘリオスが首差でラブバレットを抑え、優勝した。3着には頭差でスノードラゴンが入り、2番人気に支持されていたニシケンモノノフは2馬身2分の1差の4着に終わった。地元勢ではカツゲキライデンが5着に入り、何とか掲示板だけは確保した。

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1番人気テーオーヘリオスが勝利

 勝ったテーオーヘリオスは牡6歳鹿毛、父Fusaichi Pegasus、母Reagle Mary、母の父Afternoon Deelitesという血統で、米国Yanagawa Stud LTDの生産馬。栗東・梅田智之厩舎所属、馬主は小笹公也氏。このレースが初重賞であった。通算成績は25戦7勝、獲得賞金は1億4481万円。

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テーオーヘリオスの関係者の皆様


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ファンにサインする浜中騎手

 この日の門別競馬は、南関が大井との競合日ではあったものの、メインレースが16頭のフルゲートによる交流重賞であったことからネットを中心にこのレースだけで3億71万円もの売り上げを記録した。

 1日の総売り上げは5億3984万円。条件さえ揃えば、大井競馬との同日開催になっても、これくらいは売れるのである。最終12レースは3歳以上A1〜A3によるキタサンブラック・プレミアムが行なわれたが、頭数は7頭と寂しくなった。それでも、メインレースの熱気の余波なのか、9085万円を売り上げており、メインとこのレースだけで合わせると実に4億円近い数字となった。

 ホッカイドウ競馬は80日間の開催で、最低ノルマを1日3億円平均と計算すれば、年間240億円になる計算だ。そこからどれくらい上乗せできるかがポイントだろう。こういう好条件の日にできるだけ多くの「貯金」をして、概ね2億円台で推移している普段の開催日の不足分を穴埋めすることになる。更なる健闘を期待したい。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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