『ウイニング競馬』のMCがキッカケで競馬を猛勉強したという柴田さん。時折見せるその愛らしいスマイルは、もはや番組に欠かせない清涼剤となっている。
元SKE48メンバーで、現在はテレビ東京系の競馬中継番組『ウイニング競馬』の司会を務める柴田阿弥さん。最初は何も知らなかった競馬のことも熱心に勉強し、今ではすっかり競馬ファンに愛される土曜日の「顔」となった。そんな“阿弥ちゃん”の素顔と、競馬への愛に迫る。(取材・文=軍土門隼夫)番組出演をきっかけに、周囲もみんな競馬ファンに
柴田阿弥さんは愛知県出身。2016年にSKE48を卒業してフリーアナウンサーに。『ウイニング競馬』への出演が決まったことで、家族との会話にも変化が生まれたという。
「両親をはじめ、周囲に競馬をやっている人はいなかったんですが、今では祖母も私が出る番組を見てくれていて、GIになると中京競馬場に行って馬券を買ったりしているんですよ。今年の春には、安田記念の馬券が当たったよという連絡が来て、それ、けっこうすごい配当(9番人気モズアスコットが勝利)でしょ!? なんて話で盛り上がったりしました」
1歳下の弟とも仲が良く、よく連絡を取っているそうだ。
「小さい頃はよくケンカもしましたけど、だんだんお互いのやることを尊重できるようになってきました。歳が近いので、お姉ちゃんというよりは友達みたいな感じですね。弟も、私の番組出演をキッカケに競馬を見るようになって、競馬場に行ったりしてるみたいです。有馬記念、何買うの? とかLINEで訊いてきたりもします」(笑)
「競馬ファンを増やすことに貢献しているんですね」。そう伝えると「そうですね、地道に増やしてます!」と、屈託ない笑顔を返してくれた。
「今は東京ですが、地元愛はすごくあります。先日、雑誌で細江純子さんと対談させていただいたのですが、細江さんも愛知の蒲郡出身なので、愛知の話で盛り上がりました!」
馬券は儲けるより「当てたい」派
「競馬に縁がない環境で育ったので、『ウイニング競馬』のオファーをいただいたとき、最初はビックリしました。でも、ものすごいチャンスですし、何より、やったことのないことにチャレンジできることがうれしくて」
出演が決まってからは、競馬について猛勉強をしたという柴田さん。
「自分で座学と、事務所でオッズ読みの練習を始めたりしました。本当に何も知らなかったので、最初は言葉や競馬新聞の読み方からです。JRAのホームページの競馬用語のページはかなり読み込みました」
番組では、2017年シリウスステークスで3連複の4万馬券を的中させたり、今年の夏には7週連続的中の番組タイ記録を作り、話題にもなった。
「初めて馬券を買ったのはサトノダイヤモンドが勝った2016年の有馬記念で、しかも当たったんです(笑)。金額は、何万円も買ったりすることはないです。でもホープフルステークスだけは、ちょっと気合いが入るかも。『ウイニング競馬』で中継する貴重なGIですからね!」
購入した馬券は番組で披露しているが、あれは紛れもなく自腹なのだという。
「そのほうが真剣になれると思うんです。私は増やしたいというより当てたいタイプなので、取りガミにならない範囲で、増えてくれたらうれしいなぁ…と思って買っています。だからぜんぜん儲かっているわけではなくて(笑)。斉藤さんなんかは、すごい勝負師という感じですけど」
予想では、騎手を重視することが多い。
「自分のなかで、和田竜二さんは人気薄を3着以内に持ってくるのがうまいとか、武豊さんの逃げ馬とか、いくつか自分なりのポイントがあるんです。ダートの石橋脩騎手とか、重馬場のデムーロ騎手とか。以前、臨床心理士の先生にお話をうかがったときも、ジョッキーも人間だから、人気薄で強いとか、得意な状況というのはあるのではとおっしゃっていましたしね」
『ウイニング競馬』で見てほしいのはスタッフさんの頑張り
『ウイニング競馬』は2017年1月からの出演なので、もうすぐ丸2年になる。
「気をつけているのは馬の名前、とくにイントネーションを間違えないようにすることです。馬主さんにとっては自分で付けた大切な名前ですし、馬は他にもたくさん人の想いが詰まっている存在ですから。馬名は事前にレープロで確認して、わからないときは訊いたりしています」
ハプニングにも何度か遭遇した。とくにレースの発走時刻が遅れたりすると、そのあとの段取りが予定と変わってしまい、かなり大変な放送になるのだという。
「生放送ですから、プレッシャーはすごくあります。でも最近はようやく慣れてきて、想定外のことがあっても、ここはカットして進めようとか斉藤さんと判断できるようになってきました。そういう意味では、競馬番組をやるようになって、多少のことでは動じなくなってきたかもしれないです」
視聴者にぜひ見てほしいのは、楽しい番組になるよう、スタッフが頑張って作っている部分だという。
「ゲストの方を呼んだり、取材VTRを工夫して作ったり、毎週すごく考えて番組作りをしているのを間近で見ているので、そういう頑張りが詰まったすべてのコーナーを見てほしいなと思います。藤田菜七子騎手が女性騎手の最多勝記録を達成したときも、すごく愛情のこもったVTRを作っていて、私自身、放送しながら、いいVTRだなあと思って観ていました」
いつかはダービーの中継に関わってみたい
これまでの放送で印象に残っているレースは? そんな質問をすると、今年の7月7日、オジュウチョウサンが勝利した福島の開成山特別という答えが返ってきた。
「ちょうど土曜日で、番組で放送していたのですが、500万下のレースなのにまるでGIみたいな盛り上がりで、あれはすごかったです!」
そんな柴田さんは、競馬中継の仕事をしているうちに、ある夢を抱くようになったという。
「これはどの番組とかそういう話ではないのですが、競馬のお仕事をさせていただいているからには、いつかはダービーの中継に関わってみたいと思うようになりました。地面が揺れるような大歓声のなかでの中継を、一度はやってみたいなと憧れています」
でも今は目の前のレース、目の前の放送に全力で向き合っていきたい。そう話す柴田さんと『ウイニング競馬』にとって、ある意味で「大一番」といえるのが、年末のGIホープフルステークスだ。
「私は食べ物ではお肉が、とくにとんかつが好きで、大きな仕事の前にはよくゲンを担いで食べるんです。もちろん、馬体重も気になるので(笑)そんなにいつもは食べられないのですが、ホープフルステークスの前は食べようかな。そのくらい、気合いが入るレースなんです!」
そういって笑った柴田さん。これからもその明るく元気なキャラクターで、競馬ファンを楽しませ続けてくれることだろう。
予想は“当てたい派”だが、それでもしっかり高額配当も仕留めているあたりは、競馬キャスターの面目躍如といったところ。