今週末はダートの祭典JBC競走!今年の日本ダービーで行った企画「ゆる〜い出馬表」が帰ってきました!血統や競走成績ではなく、ここでは性格やくせなどをご紹介。出走馬たちの知られざる素顔に迫ります。予想に役立つ情報はほぼありませんので、ゆる〜い気持ちでご覧ください。
(取材=栗東/地方・大恵陽子、美浦・佐々木祥恵、南関東・高橋華代子)
※取材スケジュールの都合上、全頭ご紹介できませんが、ご了承ください。
アンサンブルライフ 牡5 (浦和/小久保智厩舎)
(橋本幸逸厩務員)
この仕事を初めて40年くらい経ちましたが、こんなに出っ歯な馬は初めてです(笑)。歯が大きいし、2センチくらいは前に出ているんじゃないですかね。カイバは普通に食べていますが、ニンジンはそのままの太さでは食べないので、細かく切ってあげています。
前に担当していた優子さん(池田優子厩務員)の話しでは、アンサン(厩舎での呼び名)がじゃれついてきた時に、優子さんのお尻に出っ歯が刺さって、しばらくは痛かったらしいです(苦笑)。牝馬が大好きで、どんなに離れていてもわかるみたいで、引き運動中にはハミがかりがよくなったり鳴き方も激しくなって、大喜びしています。まだまだ力を余している馬だと思っています。
ウインムート 牡5 (栗東/加用正厩舎)
(秦野貴弘厩務員)
「ウインムート」ってそのまま呼んでいます。子どもっぽいところがあって、メンタル的にも晩成型じゃないかなって思っていました。休み明けはボーっとしていて、追い切りの動きも全く違いますが、レースを使っていくとシャキッとしますね。食べることが大好きで、すごく集中して食べていますよ。
キタサンミカヅキ 牡8 (船橋/佐藤賢二厩舎)
(高橋栄喜厩務員)
普段は「ミカヅキ」ですが、時には、「ミカヅッキー」って呼んでいます。朝と夕方に馬屋の掃除をしている時に、ウウウッって(栄喜厩務員の)お尻の匂いを毎回嗅いできます(笑)。基本的にはじゃれてくるし、8歳ですが普段は甘ったれなおじいちゃんって感じで、かわいいですよ。
ミカヅキは隣の馬房にいるお嬢(ネイルアンドリング)のことがお気に入りです。お嬢の攻め馬が終わって、洗い場から馬房に戻ってくる時は、カイバを食べることが大好きな馬なのに、食べるをやめて、お嬢が通る一番近くで待っています。ミカヅキの馬房からはちょうど洗い場が見えるので、仕事ぶりを確認しているのでしょうね。牝馬によっては全く反応を示さないのですが、お嬢のことは大好きです。
キングズガード 牡7 (栗東/寺島良厩舎)
(内山淳二調教助手)
「キング」って呼んでいて、この馬の性格にうまく合っていますね。気が強くてガキ大将って感じで、周りの馬が暴れると「なに暴れてんだよ」みたいに怒っています。普段は無駄な力を使わなくて大人しいですけどね。あと、むっつりスケベで、牝馬が好きなんです。大っぴらにはアプローチせずに、ムフムフ言いながら女の子を横目で見ていますね。
セイウンコウセイ 牡5 (美浦/上原博之厩舎)
(矢野豊厩務員)
ハンサムな顔をしていますよね。基本的に大人しいんですけど、スイッチが入ると手がつけられなくなります。スイッチが入る原因はよくわからないですね。突然入る感じです。他の馬がそばにいないと嫌で、それでいてそばで暴れると嫌なんです。後ろでも前でも馬がいてくれれば良いのですけど、そばで暴れると一緒になって暴れちゃいます。1番最初に競馬を使った時にスイッチが入っちゃったので、暴れて怪我をするのではないかと心配しました。この頃だいぶ大人になってきて、それもだいぶ良くなりました。
食欲はありますね。人参が好きです。飼い葉に混ぜているのですけど、まず人参から食べて、そして1回休憩ですね(笑)。
テーオーヘリオス 牡6 (栗東/梅田智之厩舎)
(寺田義明調教助手)
「ヘリオス兄さん」って呼んでいます。「兄さん」って付けているのは、馬が人より上に立っている感じがあるので自分の不出来への皮肉も込めています。レッツゴードンキも担当していますが(馬房も隣)、対照的に怪獣みたいなヤンチャな男の子です。馬房でチップを浴びるのと食べることを楽しみにしている馬ですね。食べ方が派手で、飲み水を馬房前にまき散らすので、びちゃびちゃにならないように馬房前にもチップを敷いています。目の下まで顔を水につけてたまに遊んでいますよ(笑)。
能力はありながら気性の激しさが災いしていたんですが、最近落ち着きが出てきて成績も安定してきました。気性の激しさから(梅田)先生に一度「去勢してください」ってお願いしたことがあるんです。僕なんかがお願いすることじゃないし、おこがましいんですが、その時の先生の答えが「種牡馬になれなくなるからダメ」って。やっとG1の舞台に立てると思うと、感慨深いです。
ナックビーナス 牝5 (美浦/杉浦宏昭厩舎)
(永井智樹厩務員)
「ビーちゃん」と呼んでいます。性格はツンです、デレのところはないです。そしてプライドが高いですね。大人しい時と爆発した時の差が大きいです。大人しくしていたところから、突然暴れるんです。何かあったら逃げ脚も速いと思いますよ、きっと(笑)。思い出はいっぱいあるけど、これまでいろいろあり過ぎてそれが日常になっちゃってすぐには出てきませんね。でも落ち着いてきました。前は田面木さん(助手)も苦労していましたから、馬場からの帰りとか…。
特に仲の良い馬はいないですけど、馬を見ると鳴きますね。レース後に検体に行くと、後から来た馬に「遅い」みたいに鳴いたり、函館では勝ったセイウンコウセイにも鳴いてました(笑)。自分が勝った時も鳴いていました(笑)。好きな食べ物は青草ですね。青草を積んだ車が来ると鳴いています。永井さんの馬が1番鳴いてくれると、青草屋さんが喜んでますよ。体付き見たら飼い葉をガツガツ食べそうに見えるけど、時間をかけてゆっくり完食するタイプです。
ニシケンモノノフ 牡7 (栗東/庄野靖志厩舎)
(大野恭平調教助手)
「ニシケン」って呼んでいますが、心の中では「モフモフ」ってたまに呼んでいます。毛がふさふさしているからピッタリな名前だなって。目がキレイで大きいですね。ニンジンが大好きで、いつも(庄野)先生がニンジン片手に厩舎の反対側から1頭ずつ様子を見ながら歩いてくるんですが、「早く欲しい〜!」って遠目にじっと見つめているんです。「モノノフ」って名前なのでモモクロでも話題に上がるし、2011年3月11日生まれなので東日本大震災でも話題に上がったり、いろんなところで話をしてもらえますね。
ネロ 牡7 (栗東/森秀行厩舎)
(森秀行調教師)
大人しいですよ。去年のJBCスプリントは4着。ハナを取り切った方がよかったかもしれないけど、よくがんばったね。ニンジンが大好きなんですよ。
ノブワイルド 牡6 (浦和/小久保智厩舎)
(池田優子厩務員)
ワイルドは普段から大人しくて、レースでも入れ込まないですし、真面目に一生懸命走ってくれる優等生です。ただ、引き運動をしている時にものすごいスピードで噛んでくるんですが、ガブッとではなく、皮膚をちょこっとつまむ感じに……それも痛いんです(苦笑)。
前走のオーバルスプリントはワイルドにとって初めて重賞を勝たせて頂きましたが、小久保調教師のお話しでは、TUBEの前田亘輝オーナーも重賞初制覇だったそうです。シービスケットが好きで馬主を始められたそうで、2度の骨折など怪我から復活したワイルドとシービスケットを重ね合わせて喜ばれていたそうです。今回も相手は強くなりますが頑張りたいです。
ノボバカラ 牡6 (美浦/天間昭一厩舎)
(水野浩調教助手)
頭が良いですね。自分がやらなければならないことがわかっています。自分の仕事がわかっているので、このコースに行ったら追い切りをすると理解しています。自分の中でルーティンみたいのがあって、それをやっているという感じです。どちらかというと人に攻撃するようなタイプではなく、人懐っこくて愛嬌を振りまくタイプです。これだけ走る馬で大人しい馬は珍しいですね。走る馬の中には怪獣みたいのもいますから(笑)。そういう馬を見ると、こんな大人しい馬でこれだけ走ってくれて最高だなと思うこともあります。
門別競馬場で攻め馬をしたり、この馬とはいろいろな競馬場に行きました。このような馬ではないとなかなかそういう経験もできませんからね。一昨年の競馬でトモを滑らせて、トモを痛めてしまったんですよね。筋肉が落ちると治りが遅いので、放牧に出さずに在厩で目一杯手をかけて治療させてもらったんです。4か月くらい厩舎でケアをして無事に競馬まで行くことができたのですが、それも忘れられない経験になりました。この馬は他の馬と仲が良くて、馬懐っこいんです(笑)。馬房の扉をあけておくと、隣の馬と鼻をくっつけ合ったりしています。
マテラスカイ 牡4 (栗東/森秀行厩舎)
(森秀行調教師)
「マテラ」って呼んでいます。冠名だけど、うちの厩舎にはいまこの馬だけだから。普段から大人しいです。この春にはドバイ遠征をしましたが、多くの日本馬が海外に行くと落ち着くように、この馬もドバイでそうだったよ。環境が静かだしね。賞金的にJBCに出られるか心配していたけど、出走枠に入れてよかったよ。
ラブバレット 牡7 (岩手/菅原勲厩舎)
写真提供:岩手県競馬組合
(笹野美香厩務員)
癖は…ないです。悪さをすることもないので、扱いやすくて手が掛からないです。レースもいつも一生懸命ですが、調教でも真面目ですし、馬房でも落ち着いています。遠征時の環境の変化にもわりとすぐ対応できますし、本当にかしこい子です。
レッツゴードンキ 牝6 (栗東/梅田智之厩舎)
(寺田義明調教助手)
昔は「ドンキちゃん」って呼んでいましたが、馬への感謝を込めて今は「ドンキさん」って呼んでいます。みんなに可愛がられている馬ですね。頭が良くて真面目でかわいくて、「才色兼備」って言葉がピッタリ。ゲート練習や馬場入りの練習、馬運車の乗り方などスムーズにこなしてくれて苦労しなかったので、こちらが当時のことを覚えていないくらいです。
昨年末の香港遠征ではスマートレイアーと一緒に行動をしていたんですが、大好きになったんですよ。対面式の馬房で向かいにいたんですが、ちょっと陰に隠れて見えなくなるだけで探したり、離れると鳴いていましたね。他の馬にはそういうことはなくて、初めて女性らしい一面を見ました。