世代交代が早まる風潮はこれから強まるだろう
C.ルメールと、M.デムーロがそろって「ダートのアーモンドアイだ!」と絶賛する3歳ルヴァンスレーヴ(父シンボリクリスエス)の圧勝だった。
これで統一ダートGIを3勝して【7-1-0-0】。今週9日の香港カップデー、有馬記念、29日の東京大賞典…などを残してはいるが、少なくともアーモンドアイの「最優秀3歳牝馬」、ルヴァンスレーヴの「最優秀ダートホース」のタイトルは確定的となった。
中京ダート1800mのチャンピオンズCはここまで5回。すべて良馬場で行われ、流れは年によって異なるのに、もう16年から3年連続して「1分50秒1」の決着となった(2015年も1分50秒4)。
前半1000mの通過は16年が「60秒6」。今年はスローで「61秒9」。大きく1秒3も異なるペースなのに、勝ち時計はぴったり同じ1分50秒1。レース上がりは16年から順に「37秒7、36秒2、35秒9」である。ダートの質が変化しなければ、ペースにかかわらず、来年以降もだいたいこういうタイムで決着するレースになるのだろう。
ルヴァンスレーヴは、いつもは中団から早めにスパートするレース運びで、前回のこの馬の前半3ハロンは36秒3。今回は1800mに延びて、かつコーナーがあったとはいえ、推定37秒6。いつもと違って積極的に先行したのではなく、前半の超スローに自然と2番手追走になっていた。2コーナーを通過し向こう正面に入ったあたりで「確勝態勢」に持ち込めたのである。
古馬を圧倒し、統一ダートGI・3勝目を飾ったルヴァンスレーヴ
3歳馬の勝利は、JCダート時代を含めると、01年クロフネ、05年カネヒキリ、06年アロンダイトにつづき4頭目だった。ただし、これまでの3頭とは異なり、ダート路線の発展した現代のチャンピオン=ルヴァンスレーヴは、芝から出発したのではなく最初から「ダート」だった。実は今年だけでなく、2016年も、17年のダート路線でも、芝路線のジャパンCや、有馬記念と同じように3歳馬(もうあと1ヶ月で4歳馬)のトップは、4歳以上の古馬と互角に戦っていたという数字がある。
たしかに現3歳世代のトップは素晴らしいが、2歳馬のデビューが早まり、つれて2歳重賞も増え、さらに世代交代が早まるようなクラス分けになるJRAでは、世代レベルは関係なく、秋からの3歳馬の台頭は一段と多くなるだろう。
父シンボリクリスエス(19歳)産駒のGI勝ち馬は5頭目。社台SSから移動し、ずっと種牡馬ランキングのベスト10入りしていた時代は過ぎたが、久しぶりに大物を送ったシンボリクリスエスの評価は低いわけではない。レイデオロなどの出現によってブルードメアサイアー成績は上昇している。母の父といえば、ルヴァンスレーヴの母の父はM.デムーロの最初のJRAのGI勝ち馬ネオユニヴァース。ミルコは、こういうつながりをことのほか大切にして喜ぶ。
2着ウェスタールンドの父は、そのネオユニヴァース(18歳)だった。離れた最後方から注文をつけて狙いのイン強襲作戦。全体の流れがスローだったとはいえ、ダート1800mで上がり「34秒4」は信じがたい爆発力である。2位がルヴァンスレーヴの35秒6だった。
中京のダートは、とくにスパイラルではないが、新潟と同じように4コーナーで明暗が分かれる。今回のようにスローで直線に向いて横に広がると、最後方だったはずのウェスタールンドは残り400m標を過ぎたあたりで、最内からあっというまにもう何頭も抜いていた。
伏兵ゆえ…の決め打ちだが、実に鮮やかな藤岡佑介騎手のコース取りだった。15年に2着したノンコノユメも同じようなイン強襲。16年に差し切ったサウンドトゥルーも直線の中ほどまではインにいた。詰まる危険覚悟なので、人気上位馬はこういうレースはしにくいが、外から追い込みにくいコースでも、差す脚があるとどうしても外に回ることになる。こういうペースの中京ダートでは、たしかに内を衝かなければ届かない。負けはしたが会心の2着だった。
一旦先頭の3着サンライズソア(父シンボリクリスエス)は、結果は控えたのが裏目に出た印象があったが、慣れないコースのダートGIでテン乗り。さすがに、モレイラにもっと早めにスパートしてくれていれば…とはいえない。すんなり行けずに3着は立派なものだろう。
2番人気のケイティブレイブ(父アドマイヤマックス)は伸びきれず11着(2着と1秒0差)。案外な内容に終わってしまったが、快勝した前回の自身の上がりは「37秒0」。伸びずに凡走だった今回のそれは「36秒7」。ちょっと余裕残りに映った馬体が敗因ではなく(わたしは太めではないと思った)、直線「11秒7-11秒9」のような切れ味勝負が不向きなためだろう。