人気になりにくい個人馬主馬がねらい目
阪神JFはダノンファンタジー、朝日杯FSはアドマイヤマーズが優勝した。この2頭はともに、ノーザンファーム産のセレクトセール出身馬である。このところクラブ馬に押されていたセレクトセール組だが、これでまた個人馬主のモチベーションにも繋がるのではないかと思う。
今回取り上げたいのは、クラブ馬と個人馬主馬のPOG指名技術についてだ。ドラフト時期はどうしてもクラブ馬のほうが人気になりやすい。POG媒体が出たあともクラブからの情報が会員に流れ、そこから一般にも流布されて随時アップデートされるからである。
逆に言うと、個人馬主馬は相対的に人気になりにくいので、当てることができればよいねらい目となる。
そういう意味では、アドマイヤマーズの友道厩舎は良いねらい目になりやすい。POG取材を受けてくれる一方で、クラブ馬の比率が低い。今年の2歳馬で言うと、籍のついている20頭のうちクラブ馬は6頭しかいない。
クラブ馬で派手な血統が入るが、実は個人馬主も走っている厩舎というのも狙い目になりそうだ。例えば池江厩舎の場合、2〜12歳世代のPOG期間4000万円以上獲得馬が20頭いるが、内訳はクラブ馬9頭・個人馬主馬11頭。オルフェーヴル、アルアインと派手に成功馬がクラブだが、今後個人側が同様の成功を収める可能性もある。
比較対象としてグランアレグリアの藤沢和厩舎を取ると、ベスト20の内訳はクラブ馬13頭・個人馬主馬7頭。後者の主軸だった山本英俊氏の所有馬が減っているいま、このバランスはさらにクラブ側に傾く可能性もある。
このように数字で簡単に示せるものではないが、クラブ≒オーナーブリーダー側が、期待馬をよりハンドリングしやすい若手厩舎に付けて、そのぶんGI経験豊富な厩舎の所属馬が個人メインになっていくような雰囲気も感じる。前者の恒例として、POG期間内のGIではないがマイルCSを制したステルヴィオの木村哲也厩舎が挙げられる。逆に後者に該当する厩舎については、今後より個人馬主所有馬に目を向ける必要があるということになる。こういったトレンドの把握もまた、POG戦略として重要なことだろう。