今回は縁の下で競走馬たちをサポートする装蹄師さんたちにインタビューしました
感動の連続!今年もフェブラリーステークスは盛り上がりました
平成の歴史的1日に残るGIレース初戦、東京競馬場にてダート1600m、フェブラリーステークスが行われましたね。感動の連続でした!
女性である藤田菜七子騎手が初めてのGIレース騎乗で人気沸騰。カメラも報道も、そしてファンも凄いことになっていましたね。現地に行けずTV観戦でちょっと悔しい。初騎乗というプレッシャーをはねのけ、見事な騎乗ぶりだった菜七子騎手の芯の強さをみて感動しました。これからもっと強くなるだろうなと思います。GIレースを制覇する日が、きっとくるでしょう。
菜七子騎手が騎乗したコパノキッキングはちょっと難しいところがある馬ですが、上手くハミ受けし馬場におろして、この馬の良さを引き出したと思います。最後方から大外に出し5着まで持ってきた菜七子騎手の手腕は素晴らしいです。今回のレースでコパノキッキングのマイルへの対応能力を引き出し、彼女にとって大きな自信になったと思います。コパノキッキングとともに成長するのが楽しみですね。期待しましょう。
大舞台を乗り越え、さらに強い絆で結ばれた藤田菜七子騎手とコパノキッキング(C)netkeiba.com、撮影:下野雄規
そして、熟練の技が光る武豊騎手ともにGIレースを制覇したインティ号おめでとうございます!
スタートが抜群にうまいインティ号。返し馬から気合いが入っていましたが、見事に落ち着かせ絶妙なペースでハナを行き、豊ワールドに持ち込んだあたりは豊騎手のレース勘と一瞬の判断力。いつ見てもスカッとして気持ちがいいです。誰もまねのできない技ですよね。素晴らしいと思います。生でみたかったなー。
豊騎手のコメントに「思い通りのレースができました」とありましたが、こんな会心のレースができると気持ちがいいですよね。
1レースごとに強くなっているということから、どこまで成長するか楽しみです。7連勝の記録を伸ばしてください。
圧倒的な強さを見せつけ、フェブラリーSを制したインティ(C)netkeiba.com、撮影:下野雄規
野中調教師も初GIレースを制覇おめでとうございます。助手の頃からよく馬を見て育てていると評判でした。初とは思えないくらい馬の成長を大事にしていることがよくわかりました。新ダート王誕生おめでとうございます!
右から武豊騎手、武田茂男オーナー、野中賢二調教師。GI制覇おめでとうございます!(C)netkeiba.com、撮影:下野雄規
今年は豊騎手のブレイクの始まりと菜七子騎手の勢いで競馬界も盛り上がり、新しい旋風が巻き起こりそうな予感がします。
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そんな競走馬たちの縁の下の支えになっているのが、装蹄師さんたちです。
木原厩舎に来られていた西内荘装蹄師さんと柿元装蹄師に取材させていただきました。
常石 よろしくお願いします。この仕事で一番難しいことは、何ですか?
西内荘 馬の機嫌を損ねないように、手早く作業をすることです。
常石 それは大変なことですね。馬はけっこう動くことが多いので力もいりますよね。
西内荘 馬が無事にレースから戻り、その後も1回でも多くのレースに出れるように細心の注意を払い装蹄しています。安全が第一ですからね。
馬の様子をうかがいながら細心の注意を払い作業します
2人で協力して安全第一に手際良くやっています
常石 馬によって癖や爪の形も違うので、1頭1頭に合うものを選ぶのは大変な作業ですよね。
西内荘 それもありますが、左右のバランスと前脚と後ろ脚のバランスが一番難しいですね。僕たちでも靴の減り方が違うのと同じで、かかとなどが取れたら歩けないでしょう。作業中に馬が落ち着いてくれると作業もしやすいので、早く装蹄することができて助かります。装蹄中は馬がけがをしないように気をつけます。
馬に合わせて形を選んでいき、JRAによって決められた重さに従います
馬の脚の形に合わせて調整していきます
常石 時々レース中に蹄鉄が外れて走ったけどよく頑張ってくれたなど聞きますけれど、それって大変なことなんですよね。裸足で走っているような感じですもんね。
西内荘 外れないように細心の注意を払いながら装蹄していますが、時々そういったこともありますね。そんな時は馬が脚をけがしていないか心配です。
常石 蹄鉄はどれくらいの期間で交換するんですか?
西内荘 2週間から3週間で交換します。爪を痛めないように間隔を空けて交換しています。馬の歩き方の癖もですが、何より激走すると変形してしまうので、きちんと確かめてやっています。
常石 大変な作業ですね。装蹄師になるには資格が必要なんですよね。何年くらいでできるようになりますか?
西内荘 いろんな方がいますが、1人前になるには、10年くらいかかりますね。装蹄教育センターで教育を受け、認定試験に合格しなければなりません。1級、2級があるんですが、2級資格を習得し5年後に1級昇格試験があります。そして10年後に指導級認定試験があります。削蹄蹄鉄を作る蹄鉄装着と、大まかに3種類の作業があるので技術と知識と経験が必要になります。資格を取得しても独立は難しいので、弟子入りさせていただき経験を積むことが大事ですね。
常石 難しい作業をやられていますね。
西内荘 蹄を削ることで四肢のバランスを整え、蹄鉄を履かせると蹄の摩耗を抑えられます。馬場に合った蹄鉄を履くことで、競走能力を発揮できるのです。
爪を痛めないように慎重に釘を打っていきます
常石 ディープインパクトの装蹄は、普通のとは違っていたと聞きました。
西内荘 ディープインパクトは爪が弱かったので、釘が打てませんでした。なので、ゴムをつけ接着剤(エクイロックス)を施していました。また、歩様、姿勢の矯正や蹄の病気も作業中に治療していたんです。外れやすいので神経を使いましたね。でもよく走って記録を残してくれたのでうれしいです。ダービー制覇もしてくれましたからね。競走馬の脚元のメンテナンスをすることは装蹄師にしかできないケアですから、見逃さないように細心の注意を払っています。
常石 装蹄するときに病気などを発見したり治療するのは、すごいことですね。厩舎としては助かりますし、頼もしい人力です。ありがたいことですよ。他にも名馬を手掛けていましたよね。
西内荘 ウオッカ、ジェンティルドンナ、メジロマックイーンなども担当してきましたね。
常石 蹄鉄の役割は競走馬にとって命を守ってくれる大きな存在ですね。
柿元 そうです。馬の蹄を持っただけでも体調の変化や良し悪しがわかりますから、蹄の繊細な変化を見逃さずに装蹄するように心がけています。脚の病気や、骨や腱、関節の病気の予防にも役立ちます。また、レースの馬場の種類によっても蹄鉄は変わってきますね。
常石 芝とダートでは違ってくるんですね。
柿元 距離によっても違ってきますね。
常石 わーすごすぎ!ずっと話していてふと思ったんですが、元騎手だった柿元さんとは騎手時代仲良くしていただきました。病気をされとても残念でしたね。
柿元 僕のいとこです。いい男でしたよ。僕たちも頼りにしていました。病気は悔しいけど仕方ないね。お互いに健康に気をつけましょう。
常石 はい。馬も人も健康が一番ですね。競馬場にも行きますよね。
柿元 時には行きますが、トレセンの馬だけでも500頭くらいいるので忙しいですよ。何より無事に走ってくれることが一番の願いです。
常石 装蹄師の魅力は何ですか?
柿元 装蹄した馬が無事に走って、無事に帰ってきてくれるのが一番うれしいですが、勝って帰ってくると自分の仕事に自信が付くのでいいですね。
装蹄師さん、いつもありがとう!と、お尻にいたずら
常石 ありがとうございました。最後にファンにメッセージをお願いします。
柿元 生のライブを見たときは脚元もしっかり見て応援してください。
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元騎手をしていましたが、知らないこともいっぱいありました。蹄鉄があって当たり前のように思っていましたが、病気やけがの早期発見や予防にもつながっていたんですね。人も馬も足元が大切だと痛感です。
僕も足元をけがして思うように歩けない不自由を感じています。松葉杖も車いすも使いこなすのは難しいです。入院してから約1カ月間、自分の足でしっかり歩けるようにリハビリ特訓中です。
ギプスにかかとをつけて、つま先がつかない歩き方ができるように。オカンの靴履いてるみたい(笑)
木馬に乗り乗馬の姿勢を矯正しています。
木馬に騎乗し乗馬スタイルの安定リハビリ
脳トレにモグラたたきをして、集中力や判断力の強化もしています。あと少し頑張ります。
タイムをセットし、集中力を培うリハビリもやっています
時々外出許可をいただき取材の仕事もしていますが、競馬場へ行けないのが悔しい!生ライブを見たい!僕の代わりに皆さん応援してメッセージを送ってくださいね。楽しみに待っています。
つねかつこと常石勝義でした。