【無料】ダート向きのパワーを感じさせるマル外ジャスパージャガー
《2歳》
●エストラード(牡 美浦・武市康男 父トーセンブライト、母パームアイランド)
父トーセンブライトは現役時代に兵庫ゴールドトロフィー(Jpn3・ダ1400m)[2回]、黒船賞(Jpn3・ダ1400m)、サラブレッドチャレンジC(G3・ダ2000m)などを制した。種牡馬としてはほぼエスティファーム専用だが、ブライアンズタイム系らしいパワーを表現し、ダートで良績を挙げている。
エルムS(G3)を勝ったハイランドピークが代表産駒。2015年以降、JRAのダートで100走以上した種牡馬は145頭を数える。それらを産駒1走あたりの賞金額で並べると、トーセンブライトは第7位(161万円)という好成績。日本で繋養されている種牡馬に限ると、トワイニング、ウォーエンブレム、キングカメハメハに次いで第4位。ゴールドアリュールやシニスターミニスターといったメジャーどころを上回っている。ダート向きの隠れた名種牡馬といえるだろう。
母パームアイランドは現役時代にダートで1勝。「フジキセキ×フレンチデピュティ」という組み合わせで、フジキセキとDeputy Ministerのニックスから成る好配合馬なので繁殖牝馬として期待できる。ダート中距離で堅実に走りそうだ。
●ジャスパージャガー(牡 栗東・森秀行 父Declaration of War、母Flatbow)
父Declaration of WarはWar Frontを経てDanzigにさかのぼる父系に属し、現役時代にイギリスでクイーンアンS(G1・芝8f)、英インターナショナルS(G1・芝10f88yds)を制覇した。種牡馬としては初年度産駒から仏2000ギニー馬Olmedoを出している。
日本ではこれまでに6頭がデビューして2頭勝ち上がっている。2019年から日本で供用されている。母Flatbowは米8戦1勝。3代母Classy CathyはアラバマS(米G1)など米G1を3勝した名牝。本馬はRubiano≒Broken Vow 4×2で、ダート向きのパワーを感じさせる上々の配合構成。仕上がりは早く、距離はマイル前後が合いそうだ。
《3歳》
●アサカフロンティア(牝 栗東・笹田和秀 父ジャスタウェイ、母アサカプティット)
プロキオンS(GIII)で2着となったキョウワダッフィー(父キングカメハメハ)の半妹。同馬を含めて兄姉11頭中6頭がJRAで勝ち上がっているように母アサカプティットの繁殖成績は上々だ。2代母プティットイルは現役時代に愛セントレジャー(G1・芝14f)、サンセットH(米G2・芝12f)、ゴールデンゲイトH(米G2・芝11f)を制し、ジャパンC(G1)では15頭立ての12着。新冠の協和牧場が購買して日本で繁殖牝馬となった。
同牧場はエリザベス女王杯(GI)の勝ち馬キョウワサンダーを生産したり、米G1を7勝したグッバイヘイローを輸入してキングヘイローを生産したり、オーナーの浅川吉男氏がアメリカで購買したショウリノメガミ(重賞2勝)を繋養したり、80〜90年代に派手な話題を振りまいたことでも知られる。本馬は同牧場の生産馬。ブルードメアサイアーがブライアンズタイムなので、兄弟はダート向きに出ており、本馬は父がジャスタウェイでもダートで持ち味を活かすタイプとなりそうだ。
●カーディストリー(牝 栗東・長谷川浩大 父ノヴェリスト、母ダイワスピリット)
母ダイワスピリットはJRAで走り7戦2勝。わずか8ヵ月間の競走生活だったが重賞にも出走しており、それなりの素質を示した馬だった。2代母ロンドンブリッジはファンタジーS(GIII)を勝ち、桜花賞でも2着に逃げ粘った快速馬。繁殖成績は優秀で、ダイワエルシエーロ(04年オークス-GIなど重賞4勝)、ビッグプラネット(05年アーリントンC-GIII、06年京都金杯-GIII)、グレーターロンドン(18年中京記念-GIII)などの活躍馬を送り出し、孫の代からは菊花賞馬キセキを出している。活力旺盛なファミリーだ。母はこれまで2頭の産駒を競馬場に送り込み、それらはいずれも勝ち上がっている。
本馬の父はノヴェリスト。初年度産駒は伸びそうで伸びない産駒が目についたが、2年目の現3歳世代はラストドラフト(19年京成杯-GIII)を筆頭にコスモカレンドゥラ(18年ホープフルS-GI・4着)、ローゼンクリーガー(18年秋明菊賞-2歳500万下)などが出ており悪くない。芝向きの中距離タイプ。
●サツキシェラザード(牝 栗東・杉山晴紀 父ベルシャザール、母ニシノマイヒメ)
母ニシノマイヒメは、ニシノフラワー(92年桜花賞-GI、91年阪神3歳牝馬S-GI、92年スプリンターズS-GI)、ニシノタカラヅカ(05年ファンタジーS-GIII・3着/京阪杯を連覇したネロの母)を兄弟に持つ良血。現役時代はフォーティナイナー産駒らしいパワーを発揮してダートOPまで出世した。産駒も、ニシノオウガイ(準OP)をはじめダートで活躍し、勝ち上がった4頭の産駒がJRAで挙げた9勝はすべてダートでのもの。
本馬の父ベルシャザールはジャパンCダート(GI)の勝ち馬で、産駒がこれまでにJRAで挙げた9勝のうち7勝がダートと、パワー型の適性を示している。したがって本馬はダート向きである可能性が高い。ダートで2戦1勝(2着1回)と好成績を挙げているブリッツェンシチーと同じく母の父がフォーティナイナー系なので楽しみだ。ダート1600〜1800mがベスト。