▲デビュー4年目で初のクラシック騎乗へ! 坂井騎手が意気込みを語ります
ノーワンに騎乗し、フィリーズレビューを制した坂井瑠星騎手。デビュー4年目で念願の重賞タイトルを手にしました。次なる戦いは、いよいよ桜花賞。終いの脚がしっかりしているのはもちろん、馬の間を割れる根性があることも証明したノーワン。桜花賞の手応えを、坂井騎手が語ります。
(取材・文=不破由妃子)
1600mも問題なし、渋った馬場でも大丈夫
──オーストラリアから帰国して早3カ月。人気馬や重賞に騎乗する機会が目に見えて増えてきましたね。ご自身でも日々実感しているのでは?
坂井 もちろんです。だからこそ、そういう舞台でアピールしなくては…と思っていたんですが、帰国後は思うように勝てなくて、本当にどうしようかと…。そんななか、大きな反省が残る勝利ではありましたが、フィリーズレビューを勝てたことで少しはアピールできたかなと思っています。僕自身としては、まだまだトンネルから抜け出せずにいるんですけど(苦笑)。
──帰国後の成績に限ると、去年の年末が2週間で1勝、今年も2月末の時点では3勝でした(※取材時点。その後、勝ち星を伸ばして3月29日現在で9勝)。人気馬への騎乗機会が増えたことを思うと、ちょっとしんどい時期なのかなぁと思って見ていました。
坂井 そうですね。帰国してからずっと苦しかったです。なんでこんなに勝てないんだろうと…。
──
年明け一発目の『wit 佑』のゲストが矢作先生で、佑介さんと口を揃えて「瑠星には突き抜けるくらいの活躍をしてもらわないと。まだまだ甘い」というようなことをおっしゃっていました。期待の裏返しであることは言うまでもないんですが、ご本人にとってはさぞかしプレッシャーだったのではないかと…。
坂井 期待に応えられない自分には今でもモヤモヤしていますけど、矢作先生も佑介さんも、それだけ自分のことをちゃんと見てくださっているということですからね。そういう厳しい目があるということは、本当にありがたいと思っています。ただ、期待をしていただいているうちに結果を出さないと、すぐに見捨てられてしまう世界なので、本当に頑張らないと…。
先生からは、「焦るな」「考えすぎるな」というアドバイスをいただいています。自分ではそのつもりはなくても、やっぱり焦りがあるのかなぁと思ったり。いろんな方にいろんなご指摘をいただいたので、ちょっと頭が混乱していた時期もありましたけど(苦笑)。
──どんな指摘があったのですか?
坂井 指摘というか、ほかの厩舎の方からも「どうしたんだよ」とか「もっと勝てるだろ」とか心配されて。でも、自分が結果を出せていないことがすべてなので、自分の未熟さを感じています。
▲「結果を出せていないことがすべてなので、未熟さを感じています」
──そんななかでの重賞勝利。先ほど「まだトンネルを抜け出せていない」とおっしゃっていましたが、ひとつのきっかけになればいいですね。
坂井 はい。自分のなかで何かが変わったという実感はまだありませんが、LINEやメールの件数からも重賞を勝つことの大きさをものすごく感じているので、この1勝をこれからの自分に生かしていけるように頑張りたいです。
──クラシックでのパートナーを得たわけですからね。しかも、パートナーであるノーワンは、終いの脚がしっかりしているのはもちろん、馬の間を割れる根性があることもわかりました。手応えを持って桜花賞に向かえるのでは?
坂井 そうですね。フィリーズレビューの前からどんな競馬でもできそうな馬だなと思っていましたが、それを実証してくれたかたちです。1600mもまったく問題ないと思いますし、渋った馬場でも大丈夫。もちろん楽しみはあります。
──狭いところを抜けてこられるのは頼もしいですよね。牝馬らしからぬ精神力の強さがあるのかなと。
坂井 そうですね。ああいう競馬ができる牝馬は、あまりいないかもしれません。牝馬にしては480キロ前後と体もありますし、レースでもまったく怯む素振りを見せませんでした。牝馬とは思えないくらいのパワーもありますしね。それでいて、ハーツクライ産駒なので、まだまだ成長の余地を感じられるあたりが頼もしいですね。なにより、桜花賞という舞台で一緒に戦っていけるパートナーがいること自体が自分のモチベーションになります。
▲ノーワンは「牝馬とは思えないくらいのパワーもあります」と坂井騎手 (C)netkeiba.com
──この春は、GIの出馬表で坂井騎手の名前を見ることが増えそうな気がします。
坂井 そうなるように頑張りたいです! そういえば、菜七子もGIに乗ってますよね。本当に頑張っているし、刺激を受けます。同期として、もっと頑張らなければと思わせてくれますね。
──取材をするなかで、菜七子騎手からは芯の強さをものすごく感じますが、坂井騎手から感じるのは“野心”。デビュー当時から、すごく大きな未来を見据えているのを感じます。
坂井 はい、野心は持っています。ただ、将来を思うと、やっぱり減量が取れてからが本当の勝負だと思っているので、今はそのときに備えて技術を身に付けつつ、毎週毎週結果を積み重ねることで、少しでもアピールをしていく時期なのかなと思っています。もちろん、そのなかでGIを勝てれば最高ですし、桜花賞も狙っていきますけどね。
──ダノンファンタジー、クロノジェネシス、グランアレグリアなどなど相手も強力ですが、パートナーであるノーワンも、フィリーズレビューで大きな収穫を得ての一戦。最後に改めて手応えを聞かせてください。
坂井 確かに名前が挙がった3頭は強いと思いますが、フィリーズレビューで同着だったプールヴィルと互角のレースができたということは、ノーワンにも十分可能性があると思っています。また内枠を引いて、さらに馬場が渋ったりすればなおいいですね。満開の桜のなかでのレースは僕も楽しみですし、そのなかで最高のパフォーマンスを見せられるように頑張ります!
(文中敬称略、了)
「ニューワールドレーシングオーナーズ M.タバート氏より祝福メッセージ」
坂井君、おめでとうございます!! そしてありがとうございます!!
デビュー前から矢作先生が期待している話を良く聞いていましたし、機会があれば前向きに乗せたいとずっと思ってきました。
今回笹田先生から坂井君を抑えたと聞いたときに、何らかのご縁だと思って、期待が高まりました!
そして、凄い騎乗をしてくれましたね。ニューワールドレーシングの初重賞制覇になり、そしてノーワンの能力が認められることになったことは本当に嬉しいですし、感謝しています!
次はノーワン・ニューワールドレーシング・坂井君にとって大きなチャンスですね。楽しみにしています。
改めておめでとうございます!!