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【太論コラボ】コラム内にたびたび登場する“三津谷隼人騎手”ってどんな人?! ご本人を直撃! (後編)

  • 2019年04月21日(日) 18時01分
今週のface

▲「太論」にたびたび登場、三津谷隼人騎手の素顔に迫る


今回の「今週のFace」は、毎週火曜に好評連載中の小牧太騎手の連載「太論」とのコラボ企画です。コラム内でたびたび取り上げられてきた、三津谷隼人騎手との数々のエピソード。そこで、三津谷騎手の素顔を探るべくご本人を直撃。後編の今回は、人馬共に障害デビューを迎えるダンツカホウとの日々を語ります。

(取材・文=不破由妃子)


障害練習でダンツカホウが見せた、びっくりな行動


──障害でコンビを組む予定のダンツカホウには、平地でも度々騎乗されていましたよね。この馬で障害にチャレンジすることになったきっかけは?

三津谷 普段からすごく慎重な馬で、返し馬やレースの際にハロー掛け後の線とか人の足跡があると飛ぶんですよ。それを山内厩舎の厩務員さんや助手さんに「障害に乗ろうと思ってます」という報告をしているときに思い出して、「そういえば…」みたいな感じで話したら、「じゃあダンツで障害に行ってみたら?」という話になったんです。

 最初は冗談のような感じだったんですけど、実際に山内先生に話がいって、先生も「やってみるか?」とおっしゃって。それで一から馬を作らせてもらうことになったんです。

──そうなんですね。ということは、三津谷騎手がダンツの可能性を見出したことになりますね。

三津谷 いえいえ、これからですから。ただ、こんなに上手いこと話が進んでいいのかなって思いましたね。その話をしたのが2月の後半で、3月に入ってすぐに障害練習を始めたので。

──実際に練習を始めてみての手応えはいかがでしたか?

三津谷 いくつか段階があるんですけど、最初は障害の角馬場に行って、次に襷の“流し”という障害のところに行って、そこからどんどん大きい障害を飛んでいくんです。その“流し”といわれている段階まで行くのがかなり早くて、さすがの山内先生も「ちょっと早く進み過ぎじゃないか?」と心配されるくらいでした。

──やはり素質があったということですね。

三津谷 最初の段階ではそう感じましたね。ポンポンポンと段階を進んでいって、先輩たちからも「これなら大丈夫そうだね」と言っていただいていたので。だから、一度目から自信を持って試験に臨んだんですが…、それがもうむちゃくちゃで(苦笑)。試験も落ちましたけど、人間も落ちるかと思いました(笑)。

──それはまた…(苦笑)。予想外の出来事があったんですか?

三津谷 はい。障害コースの向こう正面の3つ目に大きな障害(いけ垣)があるんですけど、何頭も通っているから枝が折れたりしている部分があって、本来ならみんなその隙間を狙っていくんです。でも、そこで思いっ切り外に逃げて、一番生い茂っているところに突っ込んでいって(笑)。「あそこは大障害レベルのところだぞ」って、先輩たちはみんな笑っていました。ホントにむちゃくちゃ怖かったです(笑)。

──そんなことがありながらも、無事3度目の挑戦(3月28日)で合格されて。一緒に頑張ってきた過程で、新たな発見もあったのでは?

三津谷 そうですね。当然ながら馬も生き物で、それぞれに考えを持っていますから、嫌だとすぐに態度に出るんです。なかでもダンツカホウはすごくわかりやすくて、集中していないときはすぐに尻尾を振り出します。面白かったのは、障害を歩いて見せに行ったときに、いけ垣や竹柵の草を食べようとしたこと(笑)。「アナタね、今からここを飛ぶんですけど」みたいな(笑)。

 きっと気分屋さんなんでしょうね。でも、これからそうやって何頭も馬を作らせてもらえると思ったら、すごくワクワクします。人間が十人十色であるように、馬にも1頭1頭個性がありますからね。それをじっくり味わっていくのも面白いだろうなと思って。

──障害の場合、一から付きっ切りで馬を作っていくわけですが、障害ジョッキーのみなさんは「そこが一番面白い」と口を揃えておっしゃいますよね。

三津谷 それはすごくわかります。自分で馬を作るのは、絶対に楽しいと思います。

──競走馬はもちろんですが、ジョッキーもまた、平地とは求められる技術が違うんでしょうね。

三津谷 そうですね。でも、そればかりは実際のレースを経験するなかで身に付けていくしかないのかなと思っています。一から馬を作るということに関しては、安田翔伍先生が気に掛けてくださって、引退した競走馬を乗馬クラブに送り出すための馴致をしている甲賀ファームを紹介してくださったんです。乗馬用の馬にするには、もちろん障害の練習もするわけなので、何かしら通ずるところがあるだろうということで。

今週のface

▲「自分で馬を作るのは、絶対に楽しいと思います」と三津谷騎手


4億馬券の立役者


──ダンツカホウとともに、三津谷騎手も着々と新しい分野に踏み出されているわけですね。

三津谷 今は本当に練習あるのみという感じです。でも、毎日が楽しいです。

──チャレンジといえば、同期の野中悠太郎騎手も海外修行を敢行しましたね。やはり刺激を受けたところはありますか?

三津谷 それはもちろんです。ただでさえ言葉の壁があるなかで、アイルランドという一番難しい場所を選んだこともすごいなと思いました。関東と関西で離れているので、なかなかゆっくり話をする機会はないんですけど、やっぱり海外に行ったことで自信がついた部分があるのかなと思います。3月も絶好調でしたからね。

──相変わらず、人気のない馬をバンバン上位に持ってきてますよね。

三津谷 野中については、競馬学校時代から巧いなぁと思っていましたし、なにしろ努力家ですから。そういえば、“穴太郎”とかいわれてますよね(笑)。

──ですね(笑)。でも、穴をあけたときのインパクトでは、三津谷騎手も負けてないと思いますよ。ダイナミックアロー(2017年3月19日・阪神7R)やセフティーエムアイ(2016年8月21日・小倉12R)の単勝万馬券とか…。

三津谷 ああ、ありましたね。ダイナミックアローは、ダートでなかなかいい結果が出なくて、黒岩さんが障害練習を始めていたんですけど、久々に芝を使ってみるかということで阪神の2400mを走ることになって。そのときに、どうせならちょっと変わったことをしてみようということで、大逃げしたんですよね。そうしたら、最低人気だったんですけど、あれよあれよで残ってしまった(笑)。

 あのときは本当に馬って面白いなと思いましたし、馬にとっても自分にとっても引き出しが増えた一戦だと思うので、すごく印象に残っています。セフティーエムアイはWIN5の対象レースで、4億を超える配当が出てしまいました(笑)。

──4億馬券の立役者!

三津谷 立役者といえばそうかもしれません(笑)。たしか僕が小倉の最終を勝ってしまったせいで、何百と残っていた票が4票まで減ってしまって。そのあとの新潟最終は1番人気馬が勝ったんですが、最終的には1票しか残らなかったとか。それで4億2000万円(420,127,890円)ですからね。ずっとWIN5の最高額だったんですが、残念ながら今年の2月に更新されてしまいました(2月24日・471,809,030円)。

──平地でも引き続き特大万馬券を期待しておりますが、今度は障害でもぜひ!

三津谷 はい! そこは打倒オジュウチョウサンで(笑)。僕が障害で活躍することができたら、続いてくれる若手が出てくるかもしれないので、本当に頑張りたいです。

──大きなチャレンジであり、ここがまたスタートでもありますね。

三津谷 はい。5年目ですが、今年は僕にとってスタートの年でもありますし、来年、再来年につなげていくための準備期間かなと思っています。そのためにも早く障害レースに慣れて、平地でも障害でも騎乗依頼をもらえるようになること。今はそこが目標ですね。あと、僕はけっこうお酒が飲めるので、今年は小牧さんに飲みに連れて行ってもらいたいです!

──小牧さんの電話番号もゲットしましたしね(笑)。

三津谷 はい(笑)。『太論』の忘年会企画に呼んでもらえるように頑張ります!

(了)

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