
▲ユーザーからの質問にぶっちゃけトークがさく裂する小牧騎手
今回の『太論』は、ユーザーからの素朴な質問3連発。それらの質問に答えるかたちで、馬格の違いによって生じる戦術の変化や、遠征費の実情、調整ルームのルールなどについて明かしてくれました。今週も小牧騎手ならではのぶっちゃけトークがさく裂!(取材・文:不破由妃子)
大きな馬と小柄な馬、乗りやすいのはどっち?
──4月もユーザーからの質問がたくさん届いておりまして、今回はそのなかからできるだけ多くの質問をピックアップしたいと思います。まずは、こんな質問から。「3月16日の阪神10R(なにわS)で、超大型馬として有名なコンテナ号(598キロ・15着)に騎乗されていました。テレビの画面越しに見ても、他馬との大きさの違いが目に付くほど馬格のある馬ですが、コンテナ号のような大型の馬に騎乗する場合と、400キロ程度の小柄な馬に騎乗する場合、乗り心地や制御性など、ジョッキーとして違いを感じる部分はあるのでしょうか?」。
小牧 まぁ体が大きいぶん、跳びも大きいんでね。あんまり内でジッとしていても…とは思う。
──その馬本来の跳びで走らせたいということですよね。
小牧 そうやね。大きな馬は、やっぱり伸び伸び走らせたほうがその馬の良さが出るケースが多いと思う。大きい馬と小さい馬では、乗り心地も当然違うよ。跳びだけじゃなくて、目線も全然違うからね。
──どちらが乗りやすい、乗りづらいというのはありますか?
小牧 僕の場合は、どちらかといえば小さい馬のほうが乗りづらいね。体が小さいと首も短いケースが多いから、控えたりするときに窮屈になる。大きい馬はドッシリしている馬が多いから、その点では乗りやすいよ。
──続いての質問は、遠征についてです。「遠征についてお聞きしたいことがあります。遠征費はJRAから支給されるのでしょうか? また、夏場などは土曜日は小倉、日曜日は札幌で騎乗するケースもあると思いますが、決められた時間までに調整ルームに入れるのでしょうか?」。
小牧 遠征費についてはケースバイケースやけど、今はほとんど自腹やね。だから稼がんと赤字になる(苦笑)。馬主さんが出してくれるケースもあるけど、たぶん決まりはないんちゃうかな。ちなみに、JRAからは出ないよ。
──たとえば、メインレースの1頭だけで遠征する場合も同じですか?
小牧 うん。ただ、橋口弘次郎厩舎を手伝っていた頃は、メインレースで遠征する場合に限り、出してくれてた。たぶん馬主さんと厩舎のあいだで約束事があったんだと思うけど。
──移動についての質問も多いですね。入室時間が決められている調整ルームという制度がある以上、ファンにとっては謎が多いのかもしれません。
小牧 金曜日は夜の9時までに入る決まりがあるけど、土曜日に移動する場合は、厳密な入室時間があるというより、何時に調整ルームを出て、何時の新幹線や飛行機に乗って、何時に移動先の調整ルームに着いたかの報告義務があってね。
──あ、そうなんですね。そういったルールがあるのは知りませんでした。たとえば途中でご飯を食べるにしても、許容範囲があると。
小牧 そうそう。許されるとしても、軽くご飯を食べる程度や。それよりなにより、みんな次の日レースやからね。できるだけ早く調整ルームに入りたいと思うから、寄り道なんてせんよ。
──最後に、フィリーズレビューを勝ったノーワンについて。「調教で乗ったことがあると『太論』でお話されていましたが、実戦では別の騎手が乗ることがわかっていながら調教を付けるのは、気持ちとしては複雑なのでしょうか?」という質問です。
小牧 いや、全然複雑なことはない。それに笹田厩舎の場合、レースに乗る乗らないに関係なく、「自分の体のために跨らせてください」って僕からお願いして調教を手伝わせてもらっているから。だから、別のジョッキーが乗る場合、逆に一生懸命に乗るよ。そこはきっちり仕事せんとと思うからね。

遠征は稼がんと赤字になる(苦笑)。