■アイビスサマーダッシュ(G3・新潟芝1000m直)フルゲート18頭
【特注データ】3行でわかる! レース攻略の糸口 夏の新潟開催の「名物レース」である、アイビスSD。新潟芝1000m直で開催される唯一の重賞でもあり、この条件を得意とする馬が今年もこぞって出走してくることだろう。その最大の特徴は、やはり外枠の強さ。コース、レースともにハッキリと外枠有利で、馬券も外枠から売れているが、それでもまだ儲かる。つまり、ファンが思っている以上に、もっともっと外枠有利だということだ。
あとは、波乱傾向が強いのも特徴。レースデータでは人気サイドが好成績だが、レースデータにおける波乱傾向の強さを考えると、レースの配当傾向がさらに「荒れる」方向にシフトしていってもおかしくはないはずだ。コースとレースの両方に共通するのが、7〜9番人気が素晴らしい成績だということ。この条件に該当する馬は、今年もしっかりマークしておいたほうがいいはずである。
年齢別成績における5歳以下馬の強さや、斤量別成績における55キロ牝馬の強さ、関西馬が強く全体的に西高東低の傾向にあることなども、覚えておいて損はないデータ。「社台グループ生産馬が弱い」という小ネタも、最終的な取捨に迷った際には有効に機能すると思われる。
【コース総論】新潟芝1000m直 Aコース使用
★人気サイドの信頼度は低め。7〜9番人気など、穴馬の活躍が目立つコース。
★やはり圧倒的に外枠が有利。過剰に人気するが、それでも買う価値がある。
★差せなくはないが逃げ・先行勢のほうが好成績。後方に置かれるとアウト。
新潟競馬場の「名物」でもある、直線1000mの芝コース。実際に競馬場でスタンドから観戦していると、どのような状況なのかゴール直前までわからないという、ある意味とてもドキドキできるコースでもある。平坦かつ直線なのでクセがなさそうだが、実際はかなりクセが強いというのも、このコースの特徴といえる。
まずは人気別だが、1番人気など人気サイドの信頼度は総じて低め。内容を評価できるのは2番人気くらいのもので、アテにできるとは言いがたい。それとは対照的に非常に強いのが、トータル[10-11-9-111]で複勝率21.3%をマークしている7〜9番人気。さらに10〜12番人気や13番人気以下の超穴馬も侮れずと、ここは人気薄を狙ったほうが面白いコースといえそうだ。
次に枠番。外枠有利であるのがファンに知れ渡っており、実際に過剰なほど売れてもいるのだが、それでも外枠重視の姿勢は崩すべきではない。単純に内外を比較したデータにおいても、信頼度には2倍近い大差が出ている。開幕週ならばあまり馬場差はなさそうなイメージだが、それでもなんだかんだで外枠が来るのがこのコース。外枠である馬番13〜18番に入った馬を、素直に高評価すべきである。
最後に脚質だが、こちらはイメージ通りに逃げ・先行勢が優勢。最速上がりの馬よりも上がり2位の馬のほうが好成績というのも、その裏付けとなるデータだ。中団からの差しもそれなりには届くが、3着に終わるケースが多く勝ち負けに持ち込めていない印象。そして後方に置かれてしまうと、このコースではその時点でゲームオーバーだ。
【レース総論】アイビスサマーダッシュ(G3) 過去10年
・レースの要所!
★1番人気は高信頼度で回収値も優秀。コースデータよりも堅く決まる傾向。
★外枠の強さは開幕週でも関係なし。信頼度が非常に高く爆発力も十分ある。
★コースデータよりも差せるが、それでも先行勢優勢。前重視の姿勢を推奨。
★年齢別では5歳以下馬が好成績。実績上位の牝馬や関西馬の強さも目立つ。
レースの平均配当は、単勝886円、馬連2752円、3連複2万1719円と、低くも高くもない水準。単勝平均や馬連平均に対して3連複平均が高い印象で、ヒモ荒れ傾向の強さが感じられる。実際に人気別成績を見てみると、1番人気は[6-1-0-3]と高信頼度で、人気サイド全体の信頼度もけっこう高め。人気薄で7〜9番人気が強いのは同じだが、ふたケタ人気の成績がイマイチであることなど、コースデータとの相違点が多い。
ただし、このコースの「外枠有利」はいささかも揺るがない。外枠である馬番13〜18番は勝率15.0%、連対率22.5%、複勝率30.0%と他を圧倒しており、単勝適正回収値142.6、ギャップ値プラス1.4と爆発力も十二分。開幕週で馬場差はそれほどないと思われるが、それでも圧倒的に外枠のほうが有利なのだ。今年も、外枠重視の姿勢を貫きたい。
脚質については、「コースデータよりは差せるが、それでも先行勢が優勢」というのが結論。平坦コースで、序盤から一貫して速いラップが刻まれるコースでもあり、そうそう簡単に前は止まらない。上がり2位が最速上がり馬よりも好成績という点は、コースデータと共通。「先行→先行→差し」といった決着パターンを念頭に置いて、買い目を構築すべきだろう。
かなり重視したいのが年齢別成績で、ここは5歳以下の若い馬のほうが明確に強いレース。こちらは人気サイドでとくに強く、3番人気以内に推された5歳以下馬はトータル[6-4-2-7]で連対率52.6%、複勝率63.2%をマークしている。6歳以上馬もそれなりには上位にくるが、3着以内に2頭以上絡んだのは過去10年で一度だけ。「6歳以上馬は来たとしても1頭」という前提でフォーメーションを組めば、買い目はかなり絞り込めるはずだ。
別定戦なので、斤量も多少は気になるところ。まずは牡馬だが、こちらは馬券に絡んでいるのは斤量56キロ馬だけで、これより重くても軽くてもダメという結果である。逆に牝馬は、もっとも多い斤量55キロ組「以外」が狙い目。斤量51キロで出走できる3歳牝馬や、定量よりも1キロ重い牝馬は、高く評価しておきたい。
前走距離別では「前走でもスプリント戦を使われている組」が素直に強いという結論に。一昔前はダートからの転戦組が好結果を出していたりしたのだが、近年の好走馬は前走で芝1000〜1200mを使われていた組ばかりだ。あとは「小ネタ」として、社台グループ生産馬の成績がイマイチであるのも付け足しておきたいところ。この世の春を謳歌するノーザンファーム生産馬だが、この条件はハッキリ苦手としている。
【血統総論】 種牡馬別では、ダイワメジャー産駒、アドマイヤムーン産駒、ヨハネスブルグ産駒、キングヘイロー産駒をプラス評価の対象とした。なかでもとくに優秀といえるのがヨハネスブルグの産駒で、高信頼度かつ高回収値という素晴らしい内容を残している。それに次ぐ存在がアドマイヤムーン産駒で、こちらもコース適性の高さはかなりのもの。ダイワメジャー産駒も適性は高いが、こちらは2〜3着で狙ったほうがオイシイと思われる。
★出走予定馬 総論×各論 昨年の1〜3着馬であるダイメイプリンセス、ラブカンプー、ナインテイルズ。そして、5月に行われた新潟・韋駄天Sで好走しているライオンボス、アルマエルナト、ミキノドラマーなど、この条件のスペシャリストが集結。あとは、今年の函館スプリントSを制したカイザーメランジェや、CBC賞からのローテで出走するビップライブリーとラインスピリットあたりも、侮れない存在といえる。
最終的な出走馬の、おそらく半分程度しか把握できていない段階でのジャッジとなるが、トップ評価は「外枠を引き当てた場合の」
ライオンボス。邁進特別をブービー人気で逃げ切り、さらに韋駄天Sも好内容で1着と、素晴らしいコース適性の高さを見せている。今後も新潟芝1000m直のスペシャリストとなりそうで、この相手関係でどんな走りができるのか、じつに楽しみ。外枠が引ければ、ここでも勝ち負けに持ち込めそうだ。
二番手評価に「出走してきた場合の」
カッパツハッチ。手元の想定には入っていないが、もう帰厩しているので、賞金さえ足りれば格上挑戦してくる可能性が高いはずだ。前走の韋駄天Sでは勝ったライオンボスと互角の勝負ができており、その差は枠番やスタートひとつでひっくり返せるもの。また、牝馬が非常に強いレースであるのも追い風となる。引き続き、上位争いが期待できそうだ。
三番手評価に
カイザーメランジェ。7頭立てとなったのが大きかったとはいえ、前走の函館スプリントSで見せた内容は高く評価できるものだ。2走前の韋駄天Sではライオンボスに完敗も、その差はここにきての上昇度や順調さでカバーできそう。能力についても遜色はないとみている。父や母はもちろん、母父や母母に至るまで「サクラ」血統という、古き良き時代を感じさせる1頭だけに、なおさら応援したくなる。
以下はビップライブリー、ダイメイプリンセス、ラブカンプーという評価の序列になるが、このあたりは枠番次第で簡単にひっくり返る程度の差でしかない。枠番が出た後に、外枠から先行できる馬や、「7〜9番人気」という条件に該当する馬をしっかりチェックつつ、最終的なジャッジを行いたい。
■総論×各論・先々週の馬券回顧
読めてはいたが買えない(#^ω^)ビキビキそもそも原稿執筆段階では、1着の04マイスタイルと2着の06マイネルファンロンの「両方」が出走想定外だったのデスヨ(頭痛)。アナログに「真ん中よりも内から前に行ける馬」を選べば当たるレースだったとはいえ、原稿で名前を出していない馬を買うワケにはいきませんからねえ……。こういう場合にどうすればいいかは、なかなか悩ましい。
※コース&血統データは2015年以降、レースデータは2012年以降が集計対象です。
※ギャップ値(G値)は、当該条件における「平均人気―平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、優秀な内容となります。
【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!