秋の大舞台を見据えて実績馬同士が激突
25日(木)に行われる浦和の重賞・プラチナC。昨年新設され今年が2回目、南関東格付はSIIIだが、秋の短距離路線に向けて今後、重要なレースとなっていきそうだ。
というのもこのレースは、A1級58kg、A2級56kg、B1級以下54kg(牝馬2kg減)というクラス別定戦で、賞金やグレードタイトルによって加増されることがない。どんなに賞金を稼いでいる馬でも58kg(牝馬は56kg)で出られるため実績馬も出走しやすいという理由がある。
今回は、昨年の地方年度代表馬で9歳の今年もJpnIIIの東京スプリント(大井)を制しているキタサンミカヅキと、昨年JpnIIIのオーバルスプリント(浦和)を制したノブワイルドが直接対決となる。
今年の東京スプリントで重賞6勝目(ダートグレード競走は3勝目)をあげたキタサンミカヅキ(撮影:高橋正和)
先週、習志野きらっとスプリントを勝って意欲の連闘策。地元の快速馬ノブワイルド(撮影:高橋正和)
ノブワイルドは先週、船橋の習志野きらっとスプリントを勝ったばかりで連闘となるが、もともと予定されていたローテーションとのこと。勝ったからやめるというのではなく、重賞級の実績馬でも調子がよければ連闘するというのはいかにも小久保智厩舎流だ。
キタサンミカヅキとノブワイルドの地方での直接対決は昨年2回あった。さきたま杯(浦和)は、キタサンミカヅキが惜しくもハナ差2着で、ノブワイルドはネロとの激しい先行争いで7着に沈んだ。プラチナCは58kgのキタサンミカヅキが直線で抜け出して完勝、56kgだったノブワイルドはハナを取りきれず4着だった。
ここまで2度の地方での対戦でキタサンミカヅキが2勝。何がなんでも逃げたいノブワイルドに対して、好位や中団から前を見ながらレースをするキタサンミカヅキのほうがレースがやりやすいということはあるだろう。さらにノブワイルドは、上級クラスでレースをするようになってからはなぜか同型馬が多く、楽に単騎逃げということがほとんどない。
今回のプラチナCでは、この2頭に、目下3連勝中というワンパーセントを加えての三つ巴となりそうだ。
さてここからが本題。今回なぜこのレースを取り上げたかというと、今年のダートグレード戦線では地方馬の活躍があまり目立っていないところに、実績馬2頭が揃って出走してきたから。
今年ここまで地方馬でダートグレードを勝ったのは、前述したキタサンミカヅキの東京スプリントと、ラーゴブルーのマリーンC(船橋)の2頭だけ。ともにJpnIIIで、マリーンCは有力馬の1頭オウケンビリーヴが直前に競走除外となって、結果的に出走した中央馬は2頭と相手に恵まれた感じもあった。
ほかにダートグレードでの2着も、マルカンセンサー(TCK女王盃)、ブランシェクール(エンプレス杯)、メイショウアイアン(北海道スプリントC)の3頭だけ。GI/JpnIでは、帝王賞で地方移籍初戦のノンコノユメが、ジャパンダートダービーでミューチャリーが、ともに3着というのが最高の成績となっている。
こんなことを気にする人はあまりいないかもしれないが、1997年に交流重賞が中央・地方の統一グレードとなって以降、地方の年度代表馬はGII/JpnII以上の勝ち馬から選ばれている。中央馬が圧倒的優位にありながら、地方馬からも毎年GII/JpnII以上の勝ち馬が出ているというのは誇れることでもある。それがGIII/JpnIII勝ちかGI/JpnI入着級という中から年度代表馬を選ばなければならないという状況になってしまうとすれば盛り上がらない。
今年のJBCが、初めて浦和競馬場での開催となるということでは、今年も南関東でダントツリーディングとなっている地元浦和の小久保智厩舎はもちろんのこと、JBCを早くから目標にしている南関東の有力厩舎も少なくない。
そういう意味でも、JBCスプリントの舞台となる浦和1400mで争われるプラチナCでのキタサンミカヅキとノブワイルドの対戦は注目となる。ここは好レースを期待して、激励の“喝!”としておこう。