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【WASJ】最終戦で逆転V! 川田将雅騎手が結果を出し続けられる理由

  • 2019年08月29日(木) 18時01分
哲三の眼

▲WASJシリーズ最終戦で逆転Vを果たした川田将雅騎手(撮影:高橋正和)


今回、取り上げるのは2週連続の登場となる川田将雅騎手。重賞のキーンランドCを勝利したほか、各国のトップジョッキーが集結したWASJでは、シリーズ最終戦で鮮やかな“テン乗りV”を見せつけ総合優勝。開催国の代表として、その意地を見せました。現在はリーディングのトップをひた走り、絶えない騎乗依頼に応えるために全国を飛び回る川田騎手。状況・場所問わず結果を出し続けられる理由を技術的側面から解説します。(構成:赤見千尋)

「今後の海外遠征でも注目される存在に」


 キーンランドカップは1番人気ダノンスマッシュが勝利。好スタートを決めて、内を行かせて中団から進み、直線しっかり伸びて強いレースを見せてくれました。前走は除外だったので、騎乗した川田(将雅)君とは初コンビでしたが、上手い運びでソツのない競馬でしたね。

 川田君はワールドオールスタージョッキーズでも個人優勝して、普段の乗り馬じゃなくても安定して結果を出しています。今週は札幌競馬場でしたが、例えば競馬場が変わっても結果が出せるし、出してくれるんだろうなと。

 競馬場が変わっても、騎乗馬が変わっても、なぜ安定して結果を出すことが出来るのか。これは僕の勝手なイメージですが、馬の動きを円だと考えて、その円がどういう形でどう動いたらいいのかということがとても大事だと思っています。その円の描き方、その円に対する動かし方が、川田君はとても理に適っていると感じます。

 言葉だけで想像するのは難しいかもしれませんが、以前にもお話したように、バスケットボールのドリブルで考えてみてください。ボールの動きと人間の動きが合えば、手に張り付いたようにボールを動かすことが出来る。でも、ボールの動きに合わせられなければバラバラになって手から離れていきます。馬の動きも同じ原理。

 そして、その動きの円をどのくらいの大きさにするのかも大事です。円は狭い方が扱いやすく、コントロールしやすいし折り合いがつけやすい。でもそうなると競馬では後手に回ることが多くなってしまいます。逆に広すぎると前に進みづらい印象で、例えるならば手綱がブラブラな状態。それが有効な場面もあるけれど、効率良く転がっていくための円という形ではないわけです。

 川田君はだいたい安定して同じような円の描き方、馬との距離の取り方をしているように見える。返し馬では手綱が短い時もあるけれど、レースではそう見せないし、ブラブラということもありません。

 川田君の考えと僕の考えは違うかもしれませんが、周りの馬がどうこうとか、どこで仕掛けるとか以前に、自分の馬の一歩一歩をいかに走りやすくするかというのは、とても大事なことだと思います。僕から見ると、川田君が騎乗した場合、円が連動してバウンドしやすくなるというイメージ。馬のバウンド、円に対してのバウンドに騎手がしっかり合わせられているんです。

 例えばテン乗りの馬が、「僕こんなに走れたの?」「わたし、こんなに走れるの?」という感じで走っているように見える時がある。力が互角の馬ならば、川田君の展開に持ち込めれば結果に繋がる可能性が高いと、改めて感じました。

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▲最終戦はテン乗りのプレシャスブルーで勝利(撮影:高橋正和)


 WASJでは世界のスタージョッキーの騎乗が見られました。やはり、馬との間合いの取り方が巧いなと。単純な言葉で言うと、乗り方が大きいんです。コンパクトに乗ることも大事な場面はありますが、馬が大きく体を使って、大きな円で動こうとしているのに、そこにコンパクトに乗ってしまうと、その円をしっかり掴めなくなってしまいます。

 僕は現役時代にその部分をすごく研究して来たのですが、正常に前に転がっているボールにしっかり乗って行けている間合いというのは、とても大事だと考えます。

 今回は世界の有名なジョッキー、スタージョッキーの中に混じって、川田君がしっかり結果を出した。ポイントや個人優勝というのは後からついてくるものですが、自分のレースをして結果を出したことで、今後の海外遠征でも注目される存在になっていくのではないかと思います。

 新潟2歳ステークスは注目していたウーマンズハート&(藤岡)康太君が勝利。枠が枠だったのである程度いい位置につけながら進み、最後は若干苦しそうに見えたけれど、今回もすごい末脚を引き出してくれました。まだまだ伸びしろがありそうですし、今後がとても楽しみです。

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▲新潟2歳Sを勝ったウーマンズハート、大物の予感(撮影:下野雄規)


今週の注目コンビ


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▲マーメイドSからコンビ継続となるセンテリュオ&北村友一騎手 (c)netkeiba.com


 今週注目のコンビは新潟記念に出走するセンテリュオ&北村(友一)君です。

 センテリュオは脚の使いどころが難しいタイプに見えますので、北村君がどうエスコートするか注目しています。

(文中敬称略)

1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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