【シリウスS】ダート適性抜群の血統背景でさらなる前進を期待
同じ松田国英調教師の管理したベルシャザールのような変身も
この時期の阪神ダート2000mは2007年から。かつてはベテランの天下だった分野なのに、3歳馬が【4-1-1-10】。勝率も、連対率も光っている。今年の3歳馬は条件馬なので苦戦だろうが、キャリア(実績)は必ずしも重要ではないことを示す。また、最初からダート専門の出走馬が多くなった近年は、芝と同じように「世代交代」も早まっていることを示す。
2007年以降の12年間、ハンデ頭として勝った馬は0頭。57.5kg以上を課せられた馬もかなり不振で【1-2-6-15】。今年は休み明けの実力馬は見当たらず、JBCシリーズなど秋のビッグレースに向けての叩き台とはいえないが、重いハンデのグループはあまり過信できなかった過去の傾向に一応注意したい。
前回、初ダートのエルムSで見せ場十分のレースを展開した4歳タイムフライヤー(父ハーツクライ)に注目。快速型のドリームキラリ(ダート7勝)、リアンヴェリテ(ダート7勝)が競って先導した流れはきびしく、前半1000m通過58秒5のハイペースだった。ところが、初ダートのタイムフライヤーはかかるくらいの行きっぷりでこれを追走、直線に入った地点では先頭に並んでみせた。
今回も対戦する追い込み馬モズアトラクション(父ジャングルポケット)には並ぶ間もなく差し切られたが、初のダート1700mを1分42秒4なら、文句なしにダートのオープン馬の内容と考えていい。2歳暮れのホープフルS快勝のあと、芝のビッグレースではちょっと詰めの甘さで伸び悩んだが(もっとも大きく負けた皐月賞でも1秒1差)、方向転換したダート路線でたちまち展望が開けた。
母タイムトラベリング(父ブライアンズタイム)は、ジャパンCダート、帝王賞などダート49戦【16-7-8-18】のタイムパラドックスの全妹。兄妹のいとこには、有馬記念、天皇賞(春)など22戦9勝のサクラローレル(1996年の年度代表馬)のいるファミリー出身。牝系は欧州育ちだが、タイムフライヤーから数えて3代母Bold Ladyの父は輸入種牡馬ボールドラッド(USA)。いま再び全盛のBold Ruler系であり、そこにブライアンズタイムを配されたこの一族はダート適性抜群の背景を秘めているといえる。タイムフライヤーの兄マンハッタンロック(父マンハッタンカフェ)はダート戦だけに出走している。
2歳末にホープフルSを勝ち、日本ダービー3着のあと、C.ルメールでジャパンCダートを制した、同じ松田国英調教師の手がけたベルシャザール(現在はキングカメハメハの後継種牡馬)と同じような変身が可能ではないか。と、注目していたら、今回はホントにルメール騎手を配してきた。