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【白山大賞典】連覇を狙うグリムの前に立ちはだかる3歳勢

  • 2019年09月30日(月) 18時00分

GI馬を多数輩出した出世レース、大舞台へと飛躍する馬は!?


 10月1日(火)金沢競馬場で行われる『第39回白山大賞典(ダート2100m)』。金沢競馬場は近年“インコースを通った逃げ・先行馬が有利”な状態が続いていましたが、今年は冬休み期間中にコースの路盤改修を行ったため、その傾向が変化している点も注目しないといけません。

 中心となるのは連覇を狙うグリム。レパードSで重賞初制覇を果たしたのち、古馬と初対戦となった昨年のレースでは大外枠からのスタート。最初のコーナーに入るまでに内にコースを取り先頭に立つと、最後の直線では独壇場。後続を5馬身突き放し、従来の記録を1秒1も上回るコースレコード(2分11秒4)で圧勝、その強さを見せつけました。

昨年の覇者グリムが連覇を狙って出走(写真は19年マーキュリーC優勝時、撮影:武田明彦)


 その後も浦和記念2着、名古屋グランプリ3着、年が明けて名古屋大賞典1着、アンタレスS2着、マーキュリーC1着と抜群の安定感でここまでダートグレード競走4勝を挙げています。前走・エルムSは1番人気に推されながら7着でしたが、雨の影響が残った脚抜きの良い馬場(稍重)で差し馬が台頭したレースで、敗因は明確。1年ぶりの金沢競馬場で昨年同様大外枠になりましたが、“逃げ”にこだわらなくても結果を出している点から、馬場傾向が変わったことはむしろ好材料。実績・実力ともに負けられない戦いです。

 続いて2頭の3歳馬に注目。昨年の全日本2歳優駿を制したノーヴァレンダと2着デルマルーヴルが参戦。ともに古馬との対戦は初めてですが、昨年のグリムもそうであったようにここで古馬を一蹴する可能性もあり、連覇を狙うグリムにとっては非常に怖い存在。

 ノーヴァレンダの全姉は6歳まで現役を続け、牝馬重賞で上位争いを演じたブランシェクール。

ノーヴァレンダの姉、ブランシェクール(写真は19年エンプレス杯出走時、撮影:高橋正和)


 全日本2歳優駿を制したのち、伏竜S5着、ユニコーンS9着と結果が出ていませんが、姉同様に息の長い活躍に期待して、ひと夏を越して成長した姿を見たい一戦。今回初コンビの和田竜二騎手は2002年にスナークレイアースでこのレースを制しており、勝てば17年ぶり2回目の勝利です。

全日本2歳優駿の勝ち馬ノーヴァレンダが初めて古馬との対決に挑む(写真は18年全日本2歳優駿出走時、撮影:高橋正和)


 デルマルーヴルは今年に入ってヒヤシンスS3着、UAEダービー4着、ジャパンダートダービー2着、レパードS2着と勝ち切れないものの好走続き。今回は鞍上に金沢の吉原寛人騎手を迎えたことも注目点。地元コースを知り尽くした鞍上がどんな手綱さばきを見せてくれるでしょうか。

デルマルーヴルは地元の名手吉原騎手とのコンビでタイトル取りへ(写真は19年ジャパンダートダービー出走時、撮影:高橋正和)


 リアンヴェリテは大沼S、マリーンSを連勝したあと初めての重賞挑戦だった前走・エルムSで5着。グリムのところで前述したとおりハイペースで後続が台頭したレースの中、先行勢では最先着。ここも展開次第では巻き返し可能。

前走、初めての重賞挑戦ながら5着に健闘したリアンヴェリテ(写真は19年北山S優勝時、(c)netkeiba.com)


 テルペリオンは前走・マーキュリーCでグリムの3着に健闘。2走前・スレイプニルSでは2番手から直線で先頭に立つと、追い上げてきたアンデスクイーン(2着)に並ばせることなく1着。アンデスクイーンがのちにブリーダーズゴールドCを制したことを考えると、ここでも好走可能。フリオーソ産駒という意味でも活躍に期待したい1頭。

グリムにリベンジを果たしたいテルペリオン(写真は19年スレイプニルS優勝時、撮影:下野雄規)


 地方勢からは佐賀のグレイトパール。JRA時代の4歳時に平安S、5歳時にアンタレスSを制している実績馬。昨年12月に移籍し、2月の佐賀記念では2番人気に推されるも4着。地元の重賞・5月の佐賀スプリングCを勝ちましたが、前走・帝王賞は12着。かつての重賞2勝馬が、今回のメンバーで果たしてどこまでやれるでしょうか。

JRAで重賞2勝を挙げているグレイトパール。帝王賞12着から巻き返しなるか(写真は19年帝王賞出走時、撮影:高橋正和)


 地元代表は6月の百万石賞を制したティモシーブルー。JRAから移籍後、金沢では7戦4勝【4-1-1-1】と好成績を挙げています。初のダートグレード競走挑戦での経験を今後に繋げたいところ。

地元代表としてJRA勢に立ち向かうティモシーブルー(写真は19年百万石賞優勝時、撮影:谷口浩)


【今回のイチオシ馬】
・グリム
かつてエーシンモアオバーが連覇を含め4年連続馬券圏内(2012年3着、2013年1着、2014年1着、2015年2着)だったように力のあるリピーターにとって有利なコース。この後に続くGI・JpnI戦線を目指す意味でも良い結果を出したいところ。

【気になる馬】
・デルマルーヴル
先日の日本テレビ盃でクリソベリルが初の古馬との対戦をものともせず圧勝。果たしてクリソベリルが世代1強なのか?それとも3歳世代全体のレベルが高いのか?デルマルーヴルのレースぶりは世代間の力比べ的な意味でも見逃せない戦いです。

 金沢競馬場で行われる唯一のダートグレード競走・白山大賞典は、スマートファルコン、ニホンピロアワーズ、ケイティブレイブなどのちにGI・JpnIホースとなった馬たちを輩出してきたビッグレース。この先の大舞台へ向けて飛躍するのはどの馬か、目が離せません。

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埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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