厩舎×騎手の良いデビュー戦パターンはある?(須田鷹雄)
新馬戦に重宝されている騎手などの細かな発見も
セレクトセールで税込み6億円超となったアドマイヤビルゴがデビュー間近となり、しかも武豊騎手が騎乗予定ということで話題になっている。
同馬のように年明けデビューの馬は別として、ドラフト時期やその直後からデビュー戦が見えているような馬の場合、「新馬戦で○○騎手が乗るということは期待されているに違いない」といった類の憶測が飛びがちだ。
では実際に、「期待馬はこの騎手」といったパターンはあるのだろうか?
今回は、
・現4〜13歳の10世代で
・3歳6月までに中央のオープンで5着以内(該当馬の数を増やすため甘くした)という馬(以下「活躍馬」)を対象に、新馬戦の騎手起用について調べてみた。
・該当馬が30頭以上いる10厩舎が対象
・同一厩舎の中で「活躍馬」のデビュー戦に起用されていた数の多い3位タイまでの騎手を表記した結果が以下の資料だ。調教師のあとのカッコに入っている数字は(活躍馬の数/同期間で新馬戦を使った馬の数)、騎手のあとのカッコに入っている数字は(活躍馬の新馬戦に起用されていた数/同期間で同厩舎の新馬戦に起用されていた総数)となっている。
10年前まで含むので、既に縁が切れてしまっている調教師・騎手の関係もあるが、ともあれ資料ということでご覧いただきたい。
■矢作(47/299)
岩田(6/16) 、デムーロ(5/10) 、藤岡佑(4/26) 、中谷(4/14)
■池江(42/214)
川田(10/32)、ルメール(5/229)、福永(4/9)
■角居(37/210)
福永(6/25)、デムーロ(6/18)、岩田(5/25)
■堀(37/146)
石橋(9/31)、福永(5/15)、ムーア(4/13)
■音無(36/237)
松若(11/59)、福永(5/16)、北村友(4/40)
■藤沢和(35/183)
北村宏(10/43)、ルメール(9/27)、横山典(8/29)
■藤原英(35/222)
福永(10/43)、岩田(4/28)、浜中(4/20)
■友道(32/174)
福永(7/27)、デムーロ(6/10)、ルメール(6/21)
■須貝(30/247)
福永(4/28)、浜中(4/18)、戸崎(2/10)、岩田(2/19)、秋山(2/14)、デムーロ(2/13)、池添(2/6)、ルメール(2/13)
■安田隆(30/255)
福永(6/25)、戸崎(3/10)、北村友(3/47)、川田(3/17)
繰り返しになるが、厩舎と騎手の関係性がこの10年で大きく変わっている組み合わせもあるし、騎手の立場が変化していることもある。あくまで資料ということでご承知おきいただきたい。
そして、これだけ壮大にデータを展開してきたのに「それほど明確な傾向はないのでは」という印象がする。この厩舎がこの騎手でデビューさせてきた馬は大物になる確率が高い……というようなものも特には見当たらない。
福永騎手がさまざまな厩舎にデビュー戦で重宝されているとか、ルメール騎手は後々多くの活躍馬に乗っているわりにデビュー戦から乗っている割合は意外に低いとか細かい発見はある。しかし、デビュー戦で誰が乗るかについてはそう神経質になる必要もないし、厩舎の所属・元所属のような使い勝手の良い騎手でデビューした馬も、のちのち十分に出世しているようである。