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予想と反して大盛況となったゴールドコースト・イヤリングセール

  • 2020年01月15日(水) 12時00分

セール最高額は唯一のディープインパクト産駒


 マジックミリオン社が主催する「ゴールドコースト・イヤリングセール・ブック1」が、1月8日から11日までクイーンズランド州のゴールドコーストで開催された。

 まず市況から記すと、総売り上げが前年比4.2%アップの1億7793万2000豪ドル、平均価格が前年比3.6%アップの24万8508豪ドル、中間価格が前年比5.9%アップの18万豪ドルで、いずれもこのセールとしての歴代最高をマーク。前年は12.3%だったバイバックレートが、今年は11.7%に低下と、この上なくアクティヴでヘルシーなマーケットが展開された。

 実を言えば、セールを前にした段階で市場関係者の間で交わされていたのは、むしろ悲観的な観測だった。日本でも既に大きく報道されているように、ニューサウスウェールズ州で発生した山火事が一向に沈静化の兆しを見せず、セールの開催に直接的な影響はないものの、短期的に見て一般景気への影響は避けらない情勢にあった。

 更には、出資金詐欺と資金洗浄の疑いで告発されたフェニックス・サラブレッズ社(19年のこの市場で500万豪ドルを投資)や、コカインを違法に国内に持ち込もうとして身柄を拘束された馬主ダミオン・フラワー氏(19年のこの市場で217万豪ドルを投資)らは、当然のことながら今年のセールにその姿がなかった。あるいは、トップマーケットの常連であるハムダン殿下のシャドウェル(19年のこの市場で280万豪ドルを投資)も、今年は買い控えることが事前にわかっており、総体的に見て前年以上の需要があるとは考えにくい状況であった。

 それだけに、歴代レコードが樹立されるほどの好況に、関係者は驚きを隠せずにいる。

 そんな中、190万豪ドル(約1億4244万円)のセール最高値で購買されたのは、上場された811頭の中で唯一のディープインパクト産駒だった、上場番号385番の母オネスティープリベールズの牡馬だった。

 同馬を生産したのは、豪州の最大手アロウフィールドスタッドだ。2歳時にG3ウィデンS(芝1100m)を制した実績があった牝馬オネスティープリベールズ(父リダウツチョイス)が、現役生活を終えた直後の17年7月25日に日本に到着。南半球の繁殖シーズンに合わせてディープインパクトを交配後、首尾よく受胎した同馬が、17年12月1日に日本を離れて帰国。18年8月28日に豪州で生まれたのが上場番号385番の牡馬である。

 購買したのは、昨年10月のG1コックスプレート(芝2040m)でリスグラシューの2着になったキャステルヴェッキオらの馬主として知られるオッタヴィオ・ギャレッタ氏のギャレッタ・コンストラクション社で、実際にセリ場で手をあげて競っていたのも、キャステルヴェッキオの管理調教師であるリチャード・リット師だった。購買後の会見でリット師は、価格に関わらずこの馬を購買するように、馬主のギャレッタ氏から要請されていたことを明らかにしている。アンダービダーは、香港を拠点とする馬主のボン・ホー氏だった。

 今年のゴールドコースト・イヤリングセール・ブック1には、ロードカナロア産駒も2頭登場。母がG1愛千ギニー(芝8F)2着馬ディメンティカタ(父デインタイム)の牡馬(上場番号242番)を、ジョン・サドラー・レーシングが65万豪ドル(約4857万円)で、母グインネヴィア(父スペシャルウィーク)の牡馬(上場番号357番)を、チャイナ・ホース・クラブをはじめとしたパートナーシップが62万5千豪ドル(約4687万円)で購買している。

 更に、シャトルで豪州でも供用されているモーリスの産駒も14頭登場。ウィンクスの近親にあたる上場番号260番の牡馬が30万豪ドル(約2250万円)で購買されたのを筆頭に、12頭が購買され、85.7%%という高い売却率をマークしている。

 また、10頭上場されたミッキーアイル産駒は7頭が、12頭上場されたリアルインパクト産駒も7頭が購買されている。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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