スマートフォン版へ

【特集サウジC(4)】武豊、ミシェル騎手が出場 インターナショナルJCレポート

  • 2020年02月29日(土) 12時01分
2020 STCインターナショナルジョッキーズチャレンジ

サウジC前日に行われたインターナショナルJCには、世界から男女14人のトップジョッキーが集まった


今月29日に行われるサウジC。1着賞金11億、総賞金22億円。netkeibaではこの未知なる国際競走を1か月にわたって特集します。

第4回は武豊騎手や、現在、南関東の短期免許で騎乗しているフランスのミカエル・ミシェル騎手ら男女7人が出場した、招待競走「2020 STCインターナショナルジョッキーズチャレンジ」をレポートします。

(取材・文=橋本樹理)

第1回 合田直弘さんが解説「サウジアラビア競馬の世界」
第2回 M.デムーロ騎手が証言!サウジアラビア競馬のリアル
第3回 森秀行調教師を直撃 なぜ早くから海外に挑戦したのか?


武豊騎手をも圧倒!? 世界中で活躍するガールズパワーが砂漠の地で炸裂!


武豊騎手

3戦目で2着に入り、存在感を見せた武豊騎手


 デットーリ騎手、スミス騎手、ペリエ騎手、ムーア騎手に、日本の第一人者である武豊騎手。ファン垂涎の世界の名手に、英国を離れて米国で活躍中のソフィー・ドイル騎手、南関でファンを沸かせているミシェル騎手らも加わり、サウジCウィークエンドのオープニングにふさわしい面々が顔を揃えた。

 しかし、当日になってムーア騎手は全4鞍でオルティスJr.騎手への変更が発表された。先日、香港に滞在していたムーア騎手はサウジアラビア行きの飛行機に搭乗できず、クールモアのプライベートジェットに切り替えたため到着が遅れた(29日は騎乗予定)という。新型コロナウイルスの影響で27日朝からサウジアラビアが日本を含む諸外国からの入国停止措置を取ったが、それに巻き込まれた格好だ。

キングアブドゥルアジーズ競馬場

舞台となったキングアブドゥルアジーズ競馬場


 それでも第1戦(3R・ダート1400m)から熱いレースが待っていた。ペリエ騎手が最内から先手を取り、逃げ切り態勢かと思えたが、中団のインから追い上げてきたオールプレス騎手がペリエの内に入り込み、ゴール寸前で図ったような差し切り。サウジアラビア初の女性ジョッキーによる勝利で歴史に名を刻んだ。

 第2戦(4R・ダート1600m)は米国の殿堂入りジョッキー、54歳のスミス騎手が魅せた。ロケットスタートからハナを叩くと、後続との差をぐんぐん広げ、影も踏ませぬ圧勝劇で勝利を飾った。

 第3戦(6R・ダート1800m)にはちょっとしたハプニングも。パドックに姿を現した武豊騎手が再びジョッキールームに戻り、勝負服を着替えてきたのだ。用意されていたものが違っていたため、オーナーから指摘されたという。これには16カ国目の騎乗となる武豊騎手も「バタバタがありましたね」と苦笑い。

 レースは2番手で先行したスミス騎手が持ったままで直線に入り、再び圧勝。2位のオールプレス騎手、ミシェル騎手に15ポイント差をつける30ポイントで、初代王者へと王手をかけた。予想外のハプニングがあった武豊騎手も2着争いを制し、10ポイントを加算。優勝候補はスミス騎手、オールプレス騎手、ミシェル騎手の3人に絞られた。

 優勝賞金3万ドル(約320万円)をかけた最終戦(7R・ダート1200m)。押して押して先行集団の直後につけたヴォークト騎手が直線は馬と馬の間を割り、同じ女性のウィルソン騎手との追い比べを制した。ゴールの瞬間はガッツポーズを作り、喜びを爆発させた。

 結果は2、3戦で連勝して30ポイントを獲得したスミス騎手の逃げ切り。4戦目を勝ち、2戦目で3着に入ったヴォークト騎手は4ポイント差の2位。3位にはオールプレス騎手、ミシェル騎手が並んだ。

スミス騎手

見事に優勝を飾ったのはアメリカのスミス騎手


 会見でスミス騎手は「私の年齢で、勝つことができてうれしい」と笑顔。「この騎手招待でうまくやりたいと思っていたが、(実際に勝って)明日のサウジCが本当に楽しみになった。ミッドナイトビスーもこのトラックを気に入ってくれると思う」と翌日のビッグレースに手応えをにじませた。そして「優勝を飾れて誇りに思う。今まで乗ったなかで最高のダート。ここが大好き。また戻ってきたい」と連覇へ思いをはせた。

2020 STCインターナショナルジョッキーズチャレンジ

入賞を飾った3人の女性騎手。左からミシェル騎手、ヴォークト騎手、オールプレス騎手


 女性ジョッキー7人のうち3人が入賞し、2位のヴォークト騎手、3位タイのオールプレス騎手、ミシェル騎手の3人は一緒に会見に出席。スイス出身でドイツを拠点にしているヴォークト騎手は「ここにいることに非常にエキサイトしているし、今夜は特別な夜になりました。フランキー(デットーリ)は私のあこがれ。勝つことができてうれしい」と、顔を紅潮させた。

 オールプレス騎手は「この経験を楽しもうと、とくに期待はせずに来ました。女性が大きなレースで乗ることはクレイジーではないけど、多くの意味を持つんです」と、顔をくしゃくしゃにして喜びを表現。勝利こそなかったものの、3戦目で見せ場をつくったミシェル騎手も「スペシャルな経験。日本のダートで乗っていたことがつながったかな」と頬を緩めた。豪華メンバーの騎手招待を盛り上げたのは間違いなくガールズパワーだった。

 日本代表の武豊騎手は9、6、2、8着で、10ポイントの8位タイ。「勝ちたかったけど、(3戦目で)いいレースができて喜んでいただいた。次に乗るチャンスがあればまた頑張りたい」と、力を込めた。

米国のM.スミス騎手が総合優勝 M.ミシェル騎手とL.オールプレス騎手が3位タイ、武豊騎手8位タイ/インターナショナルJC

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

専属特派員による現地からの最新情報や、著名人によるレース展望・レポートなど、日本馬出走の海外ビッグレース情報をどこよりも詳しく、より早くお届けします。公開はプレミアムサービス限定となります。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング