競馬界の“救いの神”
規制を緩めればウイルスの感染が拡大する。規制を強めれば感染拡大防止にはつながるけど、経済が立ちゆかなくなる。何とも難しい状況に陥ってしまいましたね。
東京では感染者数の大幅増加が続き、都知事が記者会見で「感染拡大警報」のボードを掲げました。
「ウイニング競馬」の放送態勢もその影響を受けそうです。実は、来週から始まる新潟競馬には私が出張する予定でした。もちろん、現場でレースを実況するためです。
しかし、どうやら当分の間、テレビ東京本社スタジオでモニターテレビを見ながら実況する今の態勢を続けることになる見込み。ホテルも新幹線もできる限りの予約を済ませ、先日は中山競馬場に置きっぱなしになっていた双眼鏡を取りに行って準備を整えていたんですけどねぇ。
それはさておき、地方競馬全国協会から、6月の開催成績(馬券売上)が発表されました。それを見ると、無観客競馬が続く中、電話・インターネット投票は“好調”をキープ。4-6月の1日平均馬券発売額は、すべての競馬場で前の年を大きく上回っています。前年からのプラス幅が大きい競馬場ベスト5は以下のとおりです。
1位・高知=65.3%増
2位・佐賀=55%増
3位・ばんえい帯広=53.7%増
4位・名古屋=48.3%増
5位・盛岡=45.8%増
ほかにも、笠松が45.4%、園田が42.3%増をマーク。全国平均では27.2%の大幅増となりました。
ご存知の方も多いとは思いますが、地方競馬の場合、電話・インターネット投票はSPAT4、楽天競馬、オッズパークとJRAネット投票を通じて行われています。
このうち、SPAT4は南関東4競馬場が共同で立ち上げたシステムなので、4場で開催されるレースの馬券発売はほぼそのまま4場の“収入”となるわけです。
しかし、それ以外は、大ざっぱに言えば「ほかの“業者”に馬券を売ってもらっている」形で、そこには手数料が発生します。ということは、今の売上増加分がそのまま増収分にはならないわけで、本来は本場と直営場外の売上が伸びてほしいところ、だと思います。
でも、この状況下では電話・インターネット投票の売上増を素直に喜ぶしかないでしょうね。もしも、そういうシステムが未成熟で、スマホや携帯からスムーズに投票できなかった頃(7、8年前頃?)に、今のようなウイルス大流行が発生していたら……。
たぶん地方競馬だけでなく、JRAの屋台骨も揺さぶられ、生産界にも甚大な影響が及んだはず。つまり、競馬の存続が危ぶまれる状況に陥っていたかもしれません。それを考えると、電話・インターネット投票は実にありがたい“救いの神”と言えるでしょう。