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1日、1開催の売上げレコードをともに更新

  • 2020年07月30日(木) 18時00分

1日の売上げレコード更新は29年ぶりのこと


 つい数年前までは、ホッカイドウ競馬の売り上げが1日10億円に達することなど、夢のまた夢の話であった。ところが、今月になってから、1日あたりの馬券売り上げが2度も更新され、関係者を驚かせている。

 最初は7月2日(木)である。この日のメインは「グランシャリオ門別スプリント」(1000m、1着賞金500万円)。ホッカイドウ競馬所属の8頭により争われ、アザワクが58秒4のレコードタイムで優勝した。この日の南関の裏開催は浦和で、ナイターは門別のみという恵まれた条件でもあったが、交流重賞でもなければ、お盆休みなどに重なったわけでもないのに、終わってみれば11億3944万5570円もの驚異的な数字を叩き出した。

 従来の記録は、1991年10月10日、札幌競馬場において行われた第3回ブリーダーズゴールドカップの日の11億987万9300円という。因みにこのレースの勝ち馬はカミノクレッセ。2着スイフトセイダイに大差をつけて見事に1番人気に応える圧勝であった。プレジデントシチー、ホロトマイケル、アウトランセイコーなど、懐かしい馬名が並んでいて感慨深いものがあるが、当時は札幌競馬場でもホッカイドウ競馬の開催を行なっており、ブリーダーズゴールドカップは、秋の名物レースであった。祝日のこの日、よく晴れた札幌競馬場には多くの観客が集まっていたのを思い出す。

 以来、29年間も破られなかった記録が、地元メンバーだけの重賞レースの日にあっさりと更新されたのである。

 また、この日は、1開催(6日間)の売り上げレコードも塗り替えた。第6回門別開催は6月23日〜7月2日までの火水木、二週にわたって行われ、前半3日間は大井競馬と重複していたために数字が伸びなかったが、後半の6月30日〜7月2日の3日間は前述のように浦和開催と重なったことからナイターは門別の独壇場で、30日(栄冠賞)が10億4847万円余、7月1日が9億6583万円余、そして、2日には11億3944万円余まで数字が伸びて、6日間では46億1645万8000円に達した。

 従来の1開催における売り上げ記録は、1977年(昭和52年)10月29日〜11月5日、札幌競馬場での第4回開催の41億25万3000円というから、もうかなり大昔の話である。

 さらに門別単独開催になってからの記録は、昨年の10月29日〜11月7日の、33億978万400円という。1977年の記録はあまりにも古すぎるので参考外だとしても、昨年のオーラス開催6日間の記録と比較すると、一気に13億円もの上乗せになったわけで、ビックリ仰天という他はない。

 ところが、今月は、さらに驚く「2度目のレコード樹立」を記録した。7月23日(木)、3歳馬の3冠路線最終戦となる「王冠賞」が行われたこの日、何と3週間前のレコードをさらに更新する11億5925万2410円を売り上げたのである。

 王冠賞を制したのはコパノリッチマン。服部茂史騎手が騎乗。田中淳司厩舎の管理馬で、門別競馬場は濃い霧に包まれていたが、定刻通りにスタートが切られ、北海優駿優勝馬アベニンドリーム、北斗盃優勝馬レッドカード、復調の気配を見せるヨハネスボーイなどを抑えてコパノリッチマンが優勝した。

生産地便り

服部茂史騎手騎乗のコパノリッチマンが優勝した


生産地便り

口取りの様子


 やはりこの日も裏開催は浦和で、売り上げが伸びる要素が揃っていたとはいえ、わずかの間にこうして2度もレコードを更新することになろうとは正直思わなかった。

 さすがに今開催(第8回、7月21日〜23日、28日〜30日)は、23日の売り上げだけが突出して多く、それ以外の日は、船橋と大井との競合になるので、5億〜6億円台で推移している。とはいえ、トータルではひじょうに好調に開催を消化できており、このペースを守って行けば、間違いなく昨年の330億円をかなり上回る売り上げが期待できそうだ。

 厩舎関係者の1人は「正直言って、コロナのせいで今年は本場も各地の場外も観客が入れない状況でスタートしたので、かなり苦戦するんじゃないかと覚悟していました。でも、こんなに売れるとは本当に驚きとしか言いようがないですね。いや、むしろ、気持ち悪いと言った方が近いかな。あくまで今の状況は、特別なものですからね。この反動が怖くもあります」と話している。

 想定外に売れすぎていると、また何かの拍子に売り上げは落ちる。従来、他の“何か”に投じられていた資金が、ステイホーム効果も手伝ってたまたま地方競馬に回ってきているのだろうとは思うが、どなたかそのあたりを冷静に分析して頂ける方がおられないだろうか。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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