1日の総売り上げが17億円超えの大記録
今年はすでに7月に二度(2日、23日)、いずれも南関東が浦和開催の日に発売記録を塗り替えてきたことは以前触れた通りである。また今回も、裏開催は浦和で、お盆休みながら旅行やレジャーに出かけるのを見合わせ、ステイホームを余儀なくされている人々が少なからずいること、また7月の記録更新日(交流重賞ではなく、ホッカイドウ競馬所属馬によるローカル重賞がメインであった)の状況からも、この8月13日は新たな記録が生まれるのでは、という期待がかけられていた。
メインのブリーダーズゴールドカップは15頭が揃った。中央馬5頭、地方勢10頭という組み合わせだが、人気は中央所属馬に偏り、また、レース展開もかなり一方的なものになった。
距離は2000m。4コーナーポケットからのスタートである。ゲートが開くとまずマドラスチェック(横山武史騎手)、続いてプリンシアコメータ(岩田康誠騎手)、レーヌブランシュ(松山弘平騎手)という順で最初のゴール板を通過して行く。最内にアンバラージュ(松井伸也騎手)がつけ、シネマソングス(池添謙一騎手)、メモリーコウ(古川吉洋騎手)がその直後を追う。マドラスチェックがレースをリードする形で進むが、早くもかなり縦長の展開である。
各馬が最初にゴール板前を通過して行く
地方勢として唯一先頭集団に肉薄していたアンバラージュが、向こう正面で徐々に失速して行き、3コーナーから4コーナーを各馬が回る頃には、完全に中央馬5頭と後続の地方馬10頭との間が空いてしまった。このレースはとりわけ中央馬と地方馬との力量差が著しく、今年もまた完全に前を行く中央馬5頭の争いになった。
速いペースでタフな消耗戦になり、マドラスチェックが直線に入ったところで脱落し、二番手でレースを進めていたプリンシアコメータが岩田康誠騎手のゴーサインで一気に先頭に躍り出ると、そのまま独走態勢になり、1着でゴール板を通過した。岩田騎手の気合の入った声がはっきりと聞こえてくるほどの力のこもった騎乗ぶりであった。
岩田康誠騎手騎乗のプリンシアコメータが優勝
優勝したプリンシアコメータと岩田康誠騎手
2着には1馬身2分の1差でメモリーコウが追い込み、頭差の3着に1番人気のレーヌブランシュが入った。以下、シネマソングス(4馬身)、マドラスチェック(3馬身)と、上位5着までを中央馬が占めた。
プリンシアコメータは昨年、一昨年と二度このレースでは2着に敗退しており、今年ようやく待望の栄冠を手にしたことになる。父スパイキュール、母ベルモントフェリス、母の父アジュディケーティングという血統の7歳牝馬で、馬主は芳川貴行氏、美浦・矢野英一厩舎の管理馬。新冠・ベルモントファームの生産馬。通算成績は33戦8勝。2着7回。獲得賞金は2億4125万円。
口取りの様子
岩田康誠騎手と握手を交わす矢野英一調教師
この日は、最終レースに「第20回エトワール賞」が組まれており、1着賞金300万円をかけて9頭が出走した。3歳上オープンによる1200m戦で、4番人気ソルサリエンテがルナクレア、アザワクなどを抑えて優勝した。ソルサリエンテは6歳牡馬、父カネヒキリ、母ゴルフガール、母の父はKingmambo。ベテラン宮崎光行騎手が騎乗。松本隆宏厩舎の管理馬。馬主は西森功氏。新冠・オリエント牧場の生産馬で、通算成績は40戦17勝2着6回、獲得賞金は1843万円。
エトワール賞は宮崎光行騎手騎乗のソルサリエンテが勝利した
終わってみれば、この二つの重賞の発売額がそれぞれ7億2836万4700円、3億5774万600円となり、ブリーダーズゴールドカップ単体の売り上げが1レース当たりの発売記録を塗り替えただけでなく、1日の総売り上げ17億412万8140円〔SPAT4LOTO含む〕となって、7月23日に樹立した11億5925万2410円を5億4487万円も一気に上回る大記録が誕生した。
いくつもの好条件が重なった結果とはいえ、1日で17億円というのは、予想をはるかに超える数字である。これでホッカイドウ競馬の門別開催は8月13日終了時点で46日を消化したことになり、春以来の累計売り上げが280億円を超えた。残りは36日間。
11月3日には、JBCデーとしてJBC2歳優駿が行われる。このままのペースを守れたら、年間の売り上げ500億円も視野に入って来そうな勢いである。昨年の売り上げが約330億円なので、大幅に超えるのは間違いなく、今後、11月5日のラストデーに向かってどこまで数字が伸びてくれるかひじょうに楽しみになってきた。