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エポカドーロがアロースタッドに到着

  • 2020年09月09日(水) 18時00分

オルフェーヴルの後継種牡馬として大いに期待したい


 2018年の皐月賞優勝馬エポカドーロが、このほど種牡馬として繋養される予定のアロースタッド(新ひだか町)に無事帰ってきた。9月7日(月)、予定の午前8時きっかりに、大江運送の馬運車が入ってくると、厩舎前で止まり、後扉が静かに開かれた。付き添ってきた運送会社の社員が車内の仕切りパネルを外し、アロースタッドのスタッフが中でエポカドーロを後ろ向きに回してゆっくりと引いてくる。その後、踏板を一歩ずつ確かめるようにエポカドーロが慎重な足取りで降り立った。

生産地便り

アロースタッドに到着したエポカドーロ


 この日、日高地方はどんよりと曇り、馬運車到着の直前には霧雨が降っていたが、到着時間に合わせるように止んでくれた。アロースタッドにはユニオンオーナーズクラブの藤原悟郎社長始め、事務局の(株)ジェイエス社員、報道陣などが集まり、皐月賞馬の到着を見守った。

 エポカドーロは、疲れた様子も見せず、周囲を見回しながらスタッフに引かれて展示スペースをゆっくりと周回し、脚元に巻かれたプロテクターを外したり、簡単にブラッシングをするべく一度馬房に収容された。数分後、きれいに毛並みを整えられて再び報道陣の前に姿を現すと、まず中央で写真を撮るべく静止させられた。

 エポカドーロは、降りる直前に馬運車の中でゴトゴトと動いているような音が聞こえてきて、あるいは父オルフェーヴル譲りの気性の難しさを見せるのではないかと心配されたのだったが、私たちの前に立った時は、まったく動じる気配も見せず、初めて降り立った場所だというのに、実に堂々としていた。バランスの良い馬体なので、立ち写真の際にも、自分で自然にポーズを取ってくれた。現役時代は500キロ近い馬体重で出走していたように、大型馬とまでは言えないが、力まず自然に立つと実際よりも馬が大きく立派に見える。さすがGI馬という立ち姿の美しさである。

生産地便り

さすがGI馬という美しい立ち姿を見せた


 立ち写真の後、顔アップ撮影の際にも終始リラックスした表情で大人しくスタッフの指示通りに静止してくれていた。その後、また展示スペースを何度か周回して常歩を披露してくれたが、至って従順に歩を進めてくれ、一度も立ち上がることなくお披露目を終えた。

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終始リラックスした表情を見せていた


 藤原悟郎氏は「エポカドーロをまず無事にアロースタッドにお迎えできたことにホッとしています。この馬は皐月賞を勝っていますが、惜しかったのはダービーですね。あの時、落鉄してしまったことが残念です。できれば二冠馬の称号を与えてやりたかったと思います。なかなかこういう、自分たちが自由にできるGI馬を繋養するのが難しい時代ですし、エポカドーロは、これからシンジケートを組んで多くの生産者の皆さんに配合して頂けるようにと考えております。種付け料やシンジケート価格などに関しては今後追って発表いたします」と報道陣に囲まれながらコメントしていた。

 改めて2018年の日本ダービーの映像を見返すと、終始果敢に先行し、先頭で4コーナーを回ってからもピッチの速い走法でぐいぐいと加速しながらゴール板に迫っていたのが分かる。惜しくも2分の1馬身差でワグネリアンの強襲に屈したが、負けてなお強しの強烈な印象を残した。

 この3歳春が競走生活のピークだったのだろうか。その後、秋は阪神の神戸新聞杯から戦列に復帰したが4着、そして続く菊花賞ではフィエールマンの8着に敗退した。

 ラストランは翌2019年3月の大阪杯。復活をかけて挑んだこのレースも、鼻出血のアクシデントにより、10着と生涯初めての2桁着順に沈んだ。

 その後は再起を目指し調整に努めていたものの、ピーク時のレベルにまで戻すことができず、引退が決まった。これ以上、戦績に傷をつけるべきではない、という陣営の判断があったのだろう。まだキャリアがわずか10戦の5歳馬だが、この辺が潮時と引退を決めたのである。

 私事ながら、エポカドーロには当歳時にカタログ写真を撮らせて頂いたご縁がある。2015年のセレクトセールに上場する際に撮ったものだ。このセレクトセールでユニオンオーナーズクラブが目をつけ、3400万円で落札。その後、4500万円で募集された。藤原英昭厩舎に入り、10戦3勝2着2回3着1回、皐月賞を制したのは周知の通り。獲得賞金は2億7636万円。

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当歳時のエポカドーロ


 今後は種牡馬として新たな生活がスタートするわけだが、オルフェーヴルの後継種牡馬として活躍馬を送り出してくれることを大いに期待したい。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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