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本格ステイヤーの挑戦を退け15年ぶりの偉業達成

  • 2020年10月26日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・10/25 菊花賞(GI・京都・芝3000m)
 中団を追走したコントレイルがアリストテレスと併せ馬の形で伸び、激しい追い比べをクビ差制して無敗の三冠を達成しました。父ディープインパクトが15年前に達成した偉業を、その息子が見事に再現してみせたことになります。

 アリストテレスの執拗なマークに遭ったことで道中力んでしまい、それによってスタミナをロスしましたが、最後まで抜かせませんでした。高い能力のなせる業でしょう。父ディープインパクトも菊花賞の序盤で折り合いを欠き、三冠のなかでは最も苦労した一戦となったことを思い出します。

 コントレイルは血統構成から考えて2000mがベスト。能力の違いで2400mをこなし、3000mも勝ちました。このあたりは初めて無敗の三冠を達成したシンボリルドルフに似ています。同馬も菊花賞では2着馬ゴールドウェイを振り切るのに手を焼きました。

 アリストテレスはサドラーズウェルズのクロスを持つエピファネイア産駒。堂々たるステイヤー血統であり、この先、長距離路線では相当な活躍が見込める馬でしょう。コントレイルは、ベストディスタンスとはいえない長距離戦で道中力みながら、本格ステイヤーのチャレンジを退けたわけですから、能力の上限はきわめて高いといえます。稀代のスーパーサイアーであったディープインパクトが、その名声にふさわしい傑出した後継馬を誕生させたことを心から喜びたいと思います。

・10/24 富士S(GII・東京・芝1600m)
 中団の外を追走したヴァンドギャルドが直線で外から抜け出し、重賞初制覇を達成しました。2歳時のホープフルSでは直線で挟まれ、この春のマイラーズCでは出遅れと、肝心なところで運がなかった馬が、ようやく本領を発揮しました。母の父モティヴェイターは英ダービー馬で、凱旋門賞を連覇した名牝トレヴの父。2代母の父クエストフォーフェイムも英ダービー馬。母スキアは芝2100mの仏GIIIフィルドレール賞を勝ちました。マイラーに出たのは気性面の影響でしょう。

 成長力に秀でたタイプで、まだ4歳ですから、この先GI制覇のチャンスは十分あるはずです。父ディープインパクトは9月3週目から6週連続重賞制覇。今週行われるアルテミスS、スワンS、天皇賞・秋のどれかを勝つと、自己タイ記録となる7週連続重賞制覇となります。

今週の血統注目馬は


・11/1 栞S(3勝クラス・京都・ダ1900m)
 登録馬の父のなかで京都ダ1900mに強い種牡馬はゴールドアリュール。連対率23.9%は、2010年以降、当コースで産駒が20走以上した37頭の種牡馬のなかで第3位。このレースには産駒のクレスコブレイブとグトルフォスの2頭が登録しています。後者は4歳牡馬で、7月の大雪Hを除外されたため6月の日野特別以来の実戦となります。1900mは初めてですが、決め手を活かすレースで結果を出しているので、折り合いがつけば大きな不安はないでしょう。あとは仕上がり具合です。

今週の血統Tips


 サンデーサイレンスの系統はどのレースでも圧倒的な実績を誇るのですが、天皇賞・秋に関していえば、他の系統の頑張りもあって意外に勝てていません。直線の長い芝中距離戦、といういかにもサンデー系好みの条件にもかかわらず、直近の10年間の成績を見ると、キングマンボ系4頭、サンデー系4頭、ロベルト系とトニービン系が1頭ずつ、という割合です。首位タイではありますが、種牡馬ランキングの上位寡占度から考えると少ないといえるでしょう。

 ちなみに、距離が400m違うだけのジャパンCは、サンデー系7頭、キングマンボ系2頭、ロベルト系1頭。日本ダービーはサンデー系9頭、キングマンボ系1頭です。今年、人気を集めそうなアーモンドアイはキングマンボ系、クロノジェネシスはブラッシンググルーム系。やはりサンデー系ではありません。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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