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コロナ後初めての競馬場グルメは…

  • 2020年11月17日(火) 18時00分

金沢といえば寿司!ではなく競馬場の定番“焼きそば”を!


 無観客で行われてきた競馬も、制限された状態とはいえ、徐々にお客さんが戻ってきた。デアリングタクトやコントレイルの無敗の三冠を競馬場で見られたという人は、まことに幸運だったというほかない。さらに歴史的な対戦になるであろうジャパンCを現地で見られる人はうらやましいというほかない。生で見られた人は、競馬ファンとして一生自慢してもいいかもしれない。もし、世がコロナではなく普通の状態だったらどれくらいのファンが入ったか、というのは見てみたかった気がする。一時期、有馬記念などでは前売入場券を持っている人に入場が限られたことがあったが、もしかしてそのような状況になっていただろうか。

 地方競馬にもお客さんが戻ってきたのにともない、徐々に再開されているのが競馬場内の売店や食堂だ。無観客のころは、取材で競馬場に行けたとしても当然売店などは閉まっていて、競馬場で何か食べようと思えばコンビニなどで調達していくしかなかった。

 11月10日に訪れた金沢競馬場では、『ハッピーポイントカード』という金沢競馬場独自のポイントカードを持っている会員だけに入場は限られていたが、重賞が行われるということで、それなりにお客さんは入っていた。

 そういえばちょっと話がそれるが、お盆過ぎに一度金沢競馬場を取材で訪れたときにはガラガラだった北陸新幹線が、この日は満席とまではいかないものの、7〜8割方の乗車率になっていて、ちょっと驚いた。なるほど、これが『GO TO トラベル』の効果なのかと思わされた。

 で、閑話休題。お客さんが戻った金沢競馬場では、多くの売店・食堂が営業を再開していた。それにしても入場者が制限されている状態では売上も以前ほどは見込めず、お店を開けるにしても大変だろうなあとは思う。一部店舗が閉まったままだったのは、そういうことなのだろう。

 そういうわけでこの日の金沢競馬場でひとつ楽しみにしていたのが、競馬場で何を食べようかということ。金沢競馬場に限らず、競馬場メシはコロナで無観客になって以来だから半年以上ぶりのこと。

 金沢競馬場ならまず思い浮かぶのが、場内に2店舗ある寿司だ。しかし。競馬場で久しぶりに食べるのなら、やっぱり茶色い食べ物だろう。ということで、ほとんど迷わず向かったのが、競馬場の定番とも言える焼そば!

 またまた話はそれるが、1990年代には30あった地方競馬場が、その後次々と廃止になり、現在競馬が行われている地方競馬はちょうど半数の15場。その間、競馬場の焼そばがいくつ失われてしまったことか。続いている競馬場でも、店舗経営者の高齢化などにより閉店してしまったお店もある。

 現在続いている地方競馬の焼そばでも、金沢競馬場のものは私的ランキングで上位に位置する。パドック奥にある『たこ勝』というお店。赤いちょうちんが目印だ。焼そば、お好み焼き、たこ焼きのお店だが、ここは焼そばの一択。

 プレーンな焼そばが350円で、イカ焼そば、肉焼きそばが各500円。そしてイカ・肉両方のミックス焼そばもあり、これが700円。

 ん?ちょっと待て。プレーンの焼そばに、イカ、肉それぞれ追加でプラス150円なら、両方をプラスすると、350+150+150=650円ではないのか?というのが、もう何年も前からの疑問。ではあるのだが、“ミックス”にするとスチロール製のお皿自体も大きくなって、超大盛りとなるのだ。

 さらに。目玉焼きを乗せる、目玉イカ焼そば、目玉肉焼そばというメニューもあり、これがプラス50円。目玉ミックス焼そばというメニューはないのだが、「ミックス焼きそばに目玉焼きを」とお願いすると対応してくれて、これが750円。競馬場で食べる焼そばとしては高価だが、それが、コレ!

メニューにはない、目玉ミックス焼そば


 見るからに、かなりのボリュームでしょ。カツオ節と紅ショウガは自分で盛ることができるので、それをマシマシにすれば、焼そば版“ラーメン二郎”が出来上がる。

 舌にこってりまとわりつくソースでボリューム満点。五十を過ぎたオッサンには、カロリー的にも塩分的にも健康によくない食べ物であることは間違いない。これをたとえば午後2時過ぎとかに食べると、トシを重ねてちぢこまった胃袋には、競馬が終わったあとでも夕飯の入る余地はほとんどない。

 金沢といえば、まずは寿司!というのが普通だが、その選択肢を捨ててまで食べる価値がある焼そば……であるかどうかは、みなさんの判断におまかせします。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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