実はアクセントに絶対的なルールはない
先週の当コラムは、「中京」のアクセントがテーマでした。
その後何度か、『ゆるゆるばんば』や『さがけいば予想対決-佐賀記念スペシャル』(どちらもYouTubeLIVE。『ゆるゆるばんば』は今後も配信されます。詳しくはネットで検索してみてください)の中で、私も「中京」、「中京競馬場」を発音する機会がありました。
そのすべてで、“正当”とされる「東京」と同じアクセントで発音していたかどうか、ちょっと確信が持てません。どうも頭高のアクセントが耳に残っちゃっているようです。
かなり意識しないと正しく発音できなくなっているということは、頭高アクセントが“正当”ではないとしても“主流”になり、すでに定着した、と言えるのかもしれません。
「中京」のほかにも、まだまだ気になるアクセントを耳にすることはあります。「1着、2着、3着、4着、5着、6着、7着、8着、9着、10着」はどうでしょう?
これは、数字の後ろに「着」ではなく「曲」を付けたときと一緒のはずです。ところが、「2着」を「200」、「5着」を「癒着」、「3着」「4着」を「伸縮」と同じように発音するアナウンサーもいるみたいです。
それと「15番(頭)」。これは、「11番(頭)」〜「14番(頭)」、「16番(頭)」〜「19番(頭)」とは違います。「12番(頭)」のように「12」を平板で言ってから「番(頭)」を下げて言うのではありません。
まず「15」を頭高で「京子」と同じように発音してから、「京子」に「さん」を付けるように「番(頭)」を言います。ただし、「15番」は、人に呼びかけるときに「京子さん」の「さん」を高くするように、最後の「番」を高くする発音もあり、だそうです。
「15番(頭)」だけがほかと違うということは、そのほかのほうが圧倒的に“多数派”。専門家の分析によると、そのために、「15番(頭)」が「12番(頭)」などに“引っ張られて”しまいがち、とのことです。
フェブラリーSがあるのは「2月」で、桜花賞や皐月賞が行われるのは「4月」。そのアクセントは「部活」と一緒です。「5月」「9月」や「荷物」と同じではありません。ちなみに月が頭高になるのは、「3月」「5月」「9月」。まさか「部活」を、この3つの月や「荷物」と同じように、頭高で発音している方はいませんよね?(今の時代だから、全くいないとは言い切れませんが)
実はアクセントには、それは間違いでこれが正しい、という“絶対的”なルールはないようです。「中京」のように、本来は平板だが、頭高も定着してほとんどの人がそれをヘンだと思わなくなったら、それでOKとされることもあります。
とはいえ、アクセントの微妙な変化に違和感を覚えているきょうこの頃。「どっちでもいいじゃないか」と思えない私は、“頭の堅い古い人間”なんでしょうか……。