根岸Sを制し、フェブラリーSへ臨むレッドルゼル(撮影:下野雄規)
ロードカナロアを管理した安田隆行厩舎は、その産駒の出走回数も勝利数も断トツ1位を誇ります。1月31日の根岸Sをレッドルゼルで勝利し、同産駒のJRAダート重賞初制覇を飾りました。芝で圧倒的なスピードを見せた“世界のロードカナロア”に対し、レッドルゼルはダートのパワー型。一見、違うタイプに思える親子ですが、獲物を狙うような走り方に共通点があると安田景一朗調教助手は話します。日本で一番ロードカナロア産駒の調教に騎乗しているのは、おそらく安田助手。彼が感じる産駒の特徴、そしてレッドルゼルで臨む今週末のGI・フェブラリーSへの思いとは。
(取材・構成:大恵陽子)
※このインタビューは電話取材で行いました。
父に似て、寒くなるほど状態アップ
――根岸Sおめでとうございます。直線で進路がなくなりかけながらも伸びてきましたね。
安田景一朗調教助手(以下、安田助手) ありがとうございます。元々すごく期待していて、もっと早くに重賞を勝たせないとダメだなと思っていた馬なので、結果が出てホッとしています。
――外からは弟の安田翔伍調教師が管理するワンダーリーデルも迫っていて、白熱のゴール前でした。
安田助手 翔伍厩舎の馬でしたけど、何とか凌いでくれって思いました。昨年のカペラS(クビ差2着)を見て「フェブラリーS、いけるんじゃないか」と感じて、根岸Sは正直、落としたらダメなレースだと思っていたのでゴール前は力が入りました。すごく大きなアタマ差だったと思いますし、この勝利でコンディションや流れもますますいい感じで本番に向かえるんじゃないかなと思います。
このアタマ差は“すごく大きなアタマ差”(撮影:下野雄規)
――デビューの頃から20kg以上馬体重が増えています。最初の頃はどんな印象でしたか?
安田助手 最初は大人しくて利口な馬だな、としか思わなかったんですけど、新馬戦に向けての追い切りをしはじめた時、走りのアクションや背中の感触が「あ、この馬ちょっと違う!」と感じました。
――父のロードカナロアも速い調教をやり始めて印象がグンと良くなったと聞きます。
安田助手 ダノンスマッシュやダノンザキッドもそうですけど、15-15(1F15秒の調教)に行って「あ!」と感じる馬はやっぱり上のクラスまでいきますね。
――レッドルゼルは芝で新馬戦を迎え、2戦目でダートに転向すると大差をつけて圧勝でした。
安田助手 まずは芝から、というクラブ側の希望で、芝でデビューさせました。芝が合わないというよりも、能力がありながら体がまだまだできていなかったので、キレ負けしたかなと思います。調教では、掻き込むような走りでダート向きだと感じました。2戦目のダートでの走りは思っていた通りでしたが、2着以下をあんなに離すとは思わなくて、「やっぱり走る馬なんだな」と感じました。
――その後も好位から抜け出すレースで堅実に結果を残し、準オープン入りを果たしました。そのレースぶりが変わったのは、初めて1200mを使った昇級2戦目。中団インから鋭く差してきました。
安田助手 あのくらいから馬自身ももう一段階レベルアップしたと感じましたし、冬場が本当に得意で、寒くなればなるほどコンディションを上げます。1200mを使ったことで、「こういう脚も使えるんだな」というのも分かったので、次走で川田将雅騎手に乗り替わって最後の脚に磨きがかかってきた感じです。
――冬が得意といえば、父ロードカナロアも冬の方がよかったとか?
安田助手 ロードカナロアは