無観客でもウイニングランはしっかりと(撮影:下野雄規)
今年最初のGI、フェブラリーSで勝ったのは1番人気のカフェファラオでした。結果だけを見れば1番人気の馬が順当に勝利したレースですが、その裏には勝つべくして勝ったルメール騎手の驚くべき技術があると哲三氏は言います。特に注目したのはスタート後の20秒。そのわずかな時間でルメール騎手が見せた勝利への方程式を哲三氏が解き明かします。
(構成=赤見千尋)
展開を読むのではなく、展開を“作った”
JRAでの今年最初のGIフェブラリーステークスは、1番人気カフェファラオが強いレースを見せてくれました。騎乗したクリストフ(・ルメール騎手)はいつも巧いですが、今回の騎乗はパーフェクトだったと感じます。これまで勝って来たGIレースの中でも、思い描いたものがパーフェクトに近い形で表現出来たのではないでしょうか。
当日のダートの馬場状態、その中でどこを通った方がいいのかということだったり、メンバー構成や枠の並びを踏まえての相手へのプレッシャーの掛け方だったり。プレッシャーを掛けつつ、自分の馬をどう活かすかというところも含めて、すべてパーフェクトだったように僕には見えました。
若干スタートダッシュはついていなかったけれど、やや追っ付けて行って、先行しようとする馬たちにプレッシャーを掛けました。ハナを切った松山(弘平)君、少し外にいる馬たちも先行するタイプで、その馬たちに楽に先行させていない。
好スタートを切ってハナに立つと、すぐに抑えてスローペースにしようとするジョッキーもいます。おそらく息を入れて楽をしようという考えなのでしょうが、それだと周りの馬たちにとっても楽なんです。クリストフは