前走での坂上からの伸びは光っていた

　3場ともに馬場の回復程度が読みにくい。「フィリーズレビュー」の阪神はもっとも回復が早そうだが、連続開催がつづいているので、外差しが決まるコンディションに変化すると思える。追い込むタイプに不利はない。

　追い切りは地味だったが、オパールムーンはもともと調教では目立たない。だから、ここまで「4、7、5」番人気だった。前々走のファンタジーS(阪神1400m)では、勝ったメイケイエールを1秒0も上回る上がり「33秒5」で猛追し、0秒1差の2着。ハイペース必至の今回はチャンスだろう。外枠は不利ではない。

　中京の「金鯱賞」は、もちろんデアリングタクトと、負担重量差がジャパンCより2キロ縮まるグローリーヴェイズの首位争いに注目だが、馬場の回復が遅れると、ともにこのあとのGIが目標だけに、あまり無理をしない可能性(危険)がある。買い方が難しい。

　馬場の回復は遅れそうだが、あえて中山のアネモネSに挑戦。アナザーリリック(父リオンディーズ)から入りたい。阪神のフィリーズレビューを除外され、スマイルアモーレ、ベッラノーヴァが回ってきたが、現在は2着までに優先権の生じるトライアルなのに、 2002年の勝ち馬アローキャリー(公営出身で11戦目だった)以来、出走馬から桜花賞の連対馬を出したことがない裏街道のようなレース。

　クラシックを目指す馬の路線は大きく変化しているので、歴史が変わって不思議はないが、重視すべきポイントは中山適性にある。アナザーリリックの前回2着は平凡な全体時計だが、4カ月半の休み明けで初コース。前半は大事に控え、3コーナー過ぎから外を回って追い上げに入り、直線も外から上がり34秒2で同タイムの2着に突っ込んだ。とくに坂上からの伸びは光っていた。順調に使われていたストゥーティが3着。

　そのストゥーティ(アナザーリリックから0秒1差の3着)は、先週のチューリップ賞GIIで1着同着だったメイケイエール＝エリザベスタワーの首差3着。1分33秒9で好走し、桜花賞の優先出走権を獲得している。この比較からしても、アナザーリリックは1勝クラスにとどまる馬ではない。

　父リオンディーズ(父キングカメハメハ)は、残念ながら早期引退を余儀なくされたが、朝日杯FSを制し、春の2冠を5着、5着の注目馬だった。エピファネイアの半弟であり、今春から種牡馬入りしたサートゥルナーリア(父ロードカナロア)の4分の3同血の兄として、「シーザリオ産駒3兄弟」種牡馬となっている。

　初年度産駒のピンクカメハメハ(スイープトウショウの半弟)が、先日のサウジダービーを勝ち、意外性も伝えた。アナザーリリックもここで桜花賞に向かえるような快走を決めたい。すでに2勝しているルチェカリーナと、トゥルーアート、スンリが相手本線。